2013はたらく女性の埼玉集会 分科会 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、最低生活基準を切り下げようとする動きに抵抗し、労働者のいのちと健康と働く権利を守り、東日本大震災の被災地の復旧・復興が住民の立場に立った形で1日も早く実現することを目指して、声を上げていくことを提起します。



かなり間が空いてしまいましたが、11月23日に開催された「2013はたらく女性の埼玉集会」の分科会の報告です。

分科会は5つ行なわれ、第1分科会は「憲法大好き!~くらしに生かそう~」(憲法)、第2分科会は「いやしの香り手作りしましょう」(アロマセラピー)、第3分科会「これでいいの?私たちの働き方」(労働)、第4分科会は「さよなら 腰痛、肩こり~元気に働き続けるために~」(健康)、第5分科会は「子どもを取りまくメディアとつきあうには?~テレビ、ケイタイ、ネットなど~」(子育て・メディアリテラシー)でした。

私は第1分科会に参加したのですが、書記を担当したため、意見交換の部分のメモは実行委員会に提出し、手元にありません。なので、助言者の講義の概要のみご紹介します。


助言者は、弁護士の谷川先生でした。弁護士登録7年目の若手女性弁護士です。

まず、憲法について考えるに当たって、私たちが憲法についてあまり考えてこなかったために、現在のような社会状況になってしまっているのではないかという問題提起がされました。よって、憲法の価値を再認識し、具体的な行動につなげることが必要だということが指摘されました。

そこで、憲法の歴史、存在意義についての説明がされました。憲法は、絶対的な権力者の圧政に苦しんでいた人々が声を上げ、人権を獲得し、その人権を守るために仕組みとして生まれました。人権が、国家権力の濫用によって侵害されてきた歴史に鑑み、国民が国家権力を制限する法規として憲法は存在します。それが立憲主義という考え方です。日本国憲法は99条で憲法尊重擁護義務を定めていますが、これは権力者側に憲法を守らせるためのものです。そして、11条と97条で、基本的人権は人間固有の尊厳に由来するとしています。また、日本国憲法の特徴として、9条と前文で平和主義を定め、統治機構についての条文では権力を集中させない仕組みを定めていることが指摘されました。

憲法がそのような役割を持つものであるから、権力を濫用したい為政者は憲法を変えたがるのであり、改憲を警戒するのは当然のことです。


そこで、自民党の憲法改正草案はどのようなものかということが説明されました。

まず、自民党の改憲草案は、文面は現行憲法よりもわかりやすいが、何を主張しているかがわかりにくいという特徴があると評価されました。逆に、現行憲法は使っている言葉は難しいけれど、じっくり読むと素晴らしいことが書いてあるとわかるということが指摘されました。

具体的には、第一に、自民党改憲草案は立憲主義憲法を破壊するものであるということが指摘されました。改憲草案の102条では、国民に憲法尊重擁護義務を課しています。憲法は国民ではなく、国家権力を制限することを目的としているはずなので、これは憲法の目的を否定する条文です。

第二に、人権保障が後退していることが指摘されました。基本的人権を人間固有の尊厳に由来するとした97条が削除され、13条などでは、「公益及び公の秩序」というあいまいな概念で人権が制限されるとしています。現行憲法では、「公共の福祉」によって人権が制限されるといしていますが、これは判例によって確定している概念であり、人間のより根源的な自由と権利を優先するという考え方です。

第三に、自己責任が原則になっていることが指摘されました。改憲草案の前文では、家族や社会全体が助け合うということが前提とされ、社会保障が削減されていく恐れがあります。

第四に、天皇を象徴から元首にしようとしていることが指摘されました。つまり、天皇の権限をふくらませようとしているのです。

第五に、平和的生存権を否定していることが指摘されました。前文から「平和のうちに生存する権利」が削除され、国防軍の制定の動きもあります。また、現行憲法では「平和主義」というタイトルになっている第2章が、改憲草案では「安全保障」になっているそうです。

以上のような特徴を持つ改憲草案の狙いは、日本を米国とともに「戦争する国」に変えること、弱肉強食の新自由主義的な改革を推し進めること、「戦争する国」、「新自由主義の国」への国民の統合です。

つまり、特定秘密保護法案などによってアメリカと一緒に戦争をできる条件を整え、国の社会保障に対する責任を放棄し、国と郷土を守る義務を国民に課し、天皇の権能をふくらませて国民を厳しく統制しようとしているのです。

特定秘密保護法については、国民には何が秘密なのかわからず、秘密と知らずにブログに書いただけで逮捕されかねず、日常生活にも影響し、身近な人がチェックされる可能性もあるということが指摘されました。11月21日には特定秘密保護法に反対する1万人の日比谷集会・デモが行なわれましたが、埼玉県でも弁護士が中心となってデモを行っているそうです。

このような憲法破壊を阻止するためには、国民が国家権力の暴走を食い止めるという立憲主義を再確認し、憲法を学ぶ活動を通して国民に憲法の価値を浸透させることが必要だということが提起されました。


講義の概要は以上です。


分科会終了後は、最寄駅まで短時間ですがパレードを行ないました。

参加者数は次の実行委員会で報告される予定ですが、私は仕事で出席することできません。後から資料がもらえたら追記したいと思います。