雇用1カ月延ばした 宮城・ソニー期間工(しんぶん赤旗より) | 労働組合ってなにするところ?

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2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

まず、東日本大震災の被災地の復旧・復興が、住民の立場に立った形で、1日も早く実現することを祈念致します。


それから、各団体の医療支援関連情報ページの一覧を下記にまとめておきます。



全日本民医連

東日本大震災 全日本民医連対策本部情報

http://www.min-iren.gr.jp/topics/2011/110314_01.html


日本医療労働組合連合会:お知らせ

東日本大震災≪最新≫関連情報

http://www.irouren.or.jp/jp/html/menu3/2011/20110420101349.html


日本医療福祉生活協同組合連合会

東日本大震災情報―医療福祉生協連のとりくみ

http://www.hew.coop/category/1_0/1_0_1



一紙の記事ばかりを取り上げるのは偏るのでよくないとは思うのですが、他にこの件を取り上げている新聞が見つからないので仕方ありません。

被災地、宮城県のソニー・仙台テクノロジーセンターに所属する期間工の雇い止め危機についての続報です。引用部分は青で表記します。



雇用1カ月延ばした/宮城・ソニー期間工

しんぶん赤旗  2011年7月29日

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-07-29/2011072901_01_1.html


 ソニーが東日本大震災の被害を理由に仙台テクノロジーセンター(宮城県多賀城市)の期間社員150人全員を雇い止めにしようとしている問題で27日、ソニー労働組合仙台支部(電機連合加盟)との団体交渉がおこなわれ、雇用契約打ち切りの期限を決めず8月末まで1カ月、雇用を延長することに合意しました。


契約更新に道


 ソニーは5月(職場によって6月)、期間社員に対し、3カ月契約を1回だけ更新し、雇い止めとすることを通告、7月末までに同意するよう求めていました。

 期間社員は22人がソニー労組に加入して交渉をつづけ、同意を拒否したまま暫定的に1カ月ずつ雇用延長させていました。会社側は雇い止め方針を変更せず、今回の交渉では、8月末をもって雇い止めされる可能性がありました。

 しかし、被災者を大量解雇することへ世論の批判が高まるなか、ソニーは「契約更新なし」という条項を設けず、1カ月の雇用延長を提案しました。今後の交渉によっては8月以降も契約更新される道が開かれたものです。

 ソニー労組仙台支部の松田隆明委員長は、「団結してかちとった、小さいようで貴重な成果です。さらに世論を広げ、正社員化をかちとりたい」と語っています。組合員も「これでまた1カ月たたかえる」と決意を新たにしています。

 期間社員たちは、ほとんどが5年以上も偽装請負や派遣社員、期間社員として働いてきており、本来、正社員として雇用すべき人たちです。


(後略)



まず、ソニーがなぜ3カ月契約を1回だけ更新し、その後雇い止めすることに同意するように期間工に求めたかというと、期間に定めのある雇用であっても複数回繰り返し更新されれば、特に問題がなければ雇用が継続されるという期待権が発生することが判例上認められており、一方的に使用者が契約を打ち切ることは解雇と同様と見なされるからです。

”解雇と同様と見なされる”とはどういうことかというと、使用者は雇用保険からの各種助成金を受けることができなくなります。ソニーのように規模の大きな企業が雇用保険からの助成金に拘るかどうかはわかりませんが、ハローワークに解雇と同様と見なされる離職票を持っていかなければならないということは避けたいことかもしれません。

労働者の立場からすると、雇用継続の期待権が発生する程度働き続けているのであれば、雇い止めを前提とした契約更新を拒む権利があると言えるでしょう。

ですが、契約更新を拒んだままの状態で現行の契約が終了してしまうと、大変不安定な立場におかれることになります。期待権が発生している状態では、雇用契約が切れたからといって自動的に雇用関係喪失ということにはならないはずですが、それを使用者に認めさせるためには団体交渉を行ない、それでも駄目なら裁判闘争に打って出るといったことになる可能性もあります。

有期雇用の現状はこのように不安定なので、有期雇用労働者の権利を確立するための法律の制定が求められています。


今回のソニーの期間工の方々は、団体交渉によって雇い止めを前提としない契約更新を実現しました。1カ月という短い期間ですので、完全に危機が回避されたとは言えませんが、ソニーが期間工であっても簡単に雇い止めできないということを自覚したということは言えると思います。

(今後も粘り強い闘いが必要であろうと思いますが、とりあえずは一歩前進であると喜びたいと思います。