そして、1日も早い復旧・復興をお祈り致します。
それから、各団体の医療支援関連情報ページの一覧を下記にまとめておきます。
全日本民医連
東日本大震災 全日本民医連対策本部情報
http://www.min-iren.gr.jp/topics/2011/110314_01.html
日本医療労働組合連合会:お知らせ
東日本大震災≪最新≫関連情報
http://www.irouren.or.jp/jp/html/menu3/2011/20110420101349.html
日本医療福祉生活協同組合連合会
東日本大震災情報―医療福祉生協連のとりくみ
http://www.hew.coop/category/1_0/1_0_1
昨日は会議のために労働組合の事務所に行ったので、「連合通信・隔日版」を借りてきました。と言う訳で、久しぶりに「連合通信・隔日版」からの記事のご紹介です。引用部分は青で表記します。
1000円以上へ引き上げを
神奈川で50人が国を提訴 最賃で初の行政訴訟
連合通信・隔日版 2011年7月2日付 No.8480 p3~5
時給1000円に満たない地域別最低賃金は生活保護水準を下回っているとして、神奈川県内の労働者50人が6月30日、国(神奈川労働局)に対し、「1000円以上」への引き上げを求める全国初の行政訴訟(義務づけ訴訟)を横浜地裁に起こした。早期に原告を1000人に増やす予定で、広く社会に問題提起し、最賃の改定論議に大きな一石を投じたい考えだ。
計算方法に問題あり
最低賃金は毎年、都道府県ごとに改定される。2010年度の全国平均は730円、神奈川は818円で、東京に次ぎ全国2位。
「働く貧困層」の増加に関心が高まる中、最低賃金法が07年に改正され、生活保護を下回る最賃の是正が示された。逆転現象の解消に必要な時間額は、神奈川で800円台前半とされている。
訴状は、厚生労働省の中央最低賃金審議会が示す時間額の計算方法について「重大な問題がある」(図を参照)と指摘し、平均的な労働実態や生活保護行政の実際の運用方法などに沿って計算し直せば、「最低賃金の額は1400円を超える」と指摘した。
そのうえで、「全国平均1000円をめざす」とした昨年の政労使合意にも触れつつ、「少なくともただちに1000円以上の最低賃金を実現すべき」なのに、違法状態を是正しないのは「(決定権者である)神奈川労働局長の不作為だと批判。「裁量権の乱用で、法的に許されない」と断じた。
(中略)
支援母体である神奈川労連の水谷正人議長は「最賃で月150時間働いても年収は147万円。これでは到底生活できない。(健康で文化的な生活を保障する)憲法、最低賃金法の趣旨に沿った引き上げを求めていきたい」。1000人の支援サポーターを募るとともに、最賃改定の審議会委員への働きかけを進めるなど、裁判を通じ、広く社会に問題提起を行っていく決意を表明した。
〈用語解説〉
義務付け訴訟
行政事件訴訟法で位置づけられる裁判。行政の不作為により重大な損害が生じる恐れがあり、裁判のほかに解決方法がない場合に認められます。行政庁に「一定の処分」を求めるもので、神奈川県の最賃裁判の場合、神奈川労働局長に最賃の引き上げ決定を求めています。
「その手があったのか!」と感心してしまうような提訴です。
改定最低賃金法は、最低賃金の引き上げに一定の役割を果たし、徐々に地域別最低賃金を押し上げてきました。しかし、記事中にもありますように、基準となる生活保護水準を時給に換算する場合の計算の仕方に問題があり、地域別最低賃金の引き上げはまだまだ必要です。ですが、問題がある計算方法のままでは、不十分な水準の地域別最低賃金が「生活保護の基準を超えた」と見なされ、引き上げの流れが止まってしまうことになりかねません。
そんな訳で、現在の計算方法で生活保護水準の時給換算額に同じに地域別最低賃金が達したとき、その後どうやって引き上げを実現してくのかが大きな課題でした。今回の提訴は、その課題の一つの実現方法を示したものであると言えると思います。
訴訟となると費用もかかりますし、原告が支援者がどのくらい集められるかも問題となりますので、何処でもできるという訳ではないかもしれませんが、後に続く都道府県労連が出て来てくれることに期待しつつ、神奈川の裁判に注目していきたいと思います。
ところで、記事では図で示されている、中央最低賃金審議会の時給額の計算方法の問題点ですが、ブログでは図を描くのは難しいので、文章で説明したいと思います。以下のようになります。
原告らが指摘する国の「5つのごまかし」
比較対象である生活保護費を実際より低く見せるトリック
・生活扶助について、県内の地域別に複数ある生活扶助の平均値を採用。全県で生活保護より低い最低賃金をなくすなら、県庁所在地など県内で一番高い生活扶助基準を採用すべき。(地域別最低賃金は都道府県単位なので)
・住宅扶助について、家賃の実績値を使っている。生活保護世帯は公営住宅など安い物件への入居が促されているため、一般の勤労者世帯の家賃よりも低くなりがち。地域ごと、世帯人数ごとに定めた「住宅扶助の特別基準額」を用いるべき。
最低賃金(時間給)を月額換算する際、高くなるよう見せるトリック
・月額換算するため、現行最低賃金額に月所定内労働時間と税・社会保険料などの控除後の手取り割合を掛けるが、月所定内労働時間は厚労省の毎月勤労統計では平均155時間だが、換算の計算式では173.8時間としている。
・上記と同様に、月額換算の際、税・社会保険料控除後の手取り割合は0.859としているが、これは全国で最も低い沖縄の負担率を適用している。
・月額換算の際、稼働世帯で運用されている「勤労控除」(働くうえで必要な経緯)がまったく考慮されていない。
以上、5項目でした。
2011.7.8 誤字を訂正しました。