埼労連第22回定期大会報告 | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

9月18、19日の2日間、埼玉労働組合連合会、埼労連の第22回定期大会が開催されました。のべ346名が参加し、討論では36名が発言しました。

その全てを振り返ると、久しぶりの休日がつぶれてしまいますので、今回は原冨議長(今大会で退任され、顧問になられました)のあいさつと討論の特徴をご報告したいと思います。


まず、原冨議長のあいさつです。

原冨議長はこの一年間の政治状況を振り返り、「国民が第一」を基本とするとしながらも新自由主義の巻き返しが続いていることへの懸念を指摘しました。

厚労省の国民生活基礎調査によると、2008年の1世帯あたりの平均所得は前年比1.6%減少して547万円で、1994年のピーク時に比べると17.6%、世帯あたりでは117万円の収入源だそうです。2009年はさらに落ち込んでいると予想されます。2009年の雇用者報酬は253兆円で前年比10兆円の減少、1997年比で26兆円落ち込んでいるそうです。

こうした状況の中で、賃金闘争は自らの要求を実現することであると同時に、日本経済を立て直すための課題となっていると原冨議長は指摘しました。

私たち埼労連は、民間労働者の春闘、公務員の賃金闘争、最低賃金の改善、公契約における適正な賃金確保の4つの柱で賃金闘争を進めています。最低賃金については、この4年間で埼玉の最低賃金を63円、年平均で16円引き上げました。まだ不十分であるとはいえ、その前は8年間で23円、年平均3円の引き上げでした。公契約の適正化については、秋の自治体キャラバンや春闘時の対自治体要求によって、公共工事や委託業務の現場労働者、自治体非正規労働者などの賃金・労働条件の改善が進んでいます。それは地域の労働者全体の賃金水準にも波及しています。公務員賃金については、公務員バッシングに対して住民の暮らしを守る公務・公共サービスのあり方を問い、労働者全体の賃金引き上げを官民一体の共同闘争で発展させようとしています。民間賃金と公務員賃金を抑え込む賃下げスパイラルに対抗し、分断に連帯に応え、地域を一体化させていくために、地域労連の果たす役割が重要です。

埼労連は、この1年で6つの単産が組織を実増させ、8つの単産が基本的に現勢を維持しています。そして、3月の評議会以降、6つの新しい組合が結成されました。地域でも地域総行動や何でも相談会など、地域の労働者全体を視野に入れた運動が取り組まれています。労働者全体の厳しい状況に目を向け、力を結集していき、働くものの暮らしを支える労働者福祉運動を重視し、新たな福祉国家をめざして進んでいくときであることが提起されました。



第22回定期大会の討論の特徴の一つとして、公務労働者からの発言が多かったことが挙げられます。

人事院勧告、埼玉県の人事委員会勧告が出され、民間賃金の水準が下がっていることを理由に公務員の賃金も引き下げられています。その背景には、財界・大企業が労働者を分断しようとしている分裂攻撃があります。1995年に日経連が発表した「新時代の日本的経営」により、意図的に格差がつくり出されてきたことがわかります。しかし、そうした構図が多くの国民には見えず、相対的に恵まれていると見られている公務員にバッシングが向けられています。しかし、そうして恵まれているように見える人を叩くことが、際限なく賃下げを繰り返していく賃下げスパイラルを引き起こしています。その悪循環を断つためには、すべての人に人間らしい生活ができる賃金が保障されるような社会にしていくことが必要です。

もう一つの特徴は、地域の共同の行動が広がっていることが発言されたことです。

自治体への要求を掲げて行なわれる地域総行動の参加団体や参加人数の拡大、地域ごとに行なわれる何でも相談会、9条の会などと連携した平和行動などです。

討論のまとめでは、分断に対抗するには地域全体の連帯が必要であり、単産組合が地域の行動に積極的に参加するとともに、官民が一体となって地域の生活を守り、地域の子供達の教育を守るために、学習し、行動していくことが提起されました。マスコミの公務員バッシングなどを打ち破るには口コミ、人つながりで実態を伝えていくことが必要であり、国民世論が変わればマスコミも変わらざるを得ないということも指摘されました。

12万人の仲間を結集している埼労連が、全国の労働組合運動の中で果たしている役割は大きく、これからも組合員でよかったと思えるような組合であることを目指していくことを提起し、埼労連第22回定期大会は締めくくられました。


今回は簡単ですが、以上で報告を終わります。




続いて、「ユニオン」と「労働ニュース」アーカイブ様からの情報提供です。


http://mainichi.jp/area/mie/news/20100818ddlk24040157000c.html

労働相談会:非正規や外国人ら対象 9月毎週土曜 /三重
日時 9月の毎週土曜日(4、11、18、25日)、10~15時
場所 ▽松阪市上川町の市労働会館▽伊賀市ゆめが丘1のゆめぽりすセンター▽四日市市日永東1の市勤労者・市民交流センター東館、
弁護士と社会保険労務士各1人とポルトガル語とスペイン語の通訳が待機
事前申し込みが必要で、実行委員会事務局(059・225・2855)まで。
主催 「勤労者地域安心緊急サポート実行委員会」