24日の電話相談の集計が報道されました | 労働組合ってなにするところ?

労働組合ってなにするところ?

2008年3月から2011年3月まで、労働組合専従として活動しました。
現在は現場に戻って医療労働者の端くれとして働きつつ、労働組合の活動も行なっています。

あまり知られていない労働組合の真の姿(!?)を伝えていきたいと思います。

12月24日の電話相談の結果報告が出るのを今か今かと待っていたのですが、本日の毎日新聞にようやく記事が掲載されました。関係者の皆さんは、今日まで生活保護の同行申請や対政府要請行動などでお忙しかったようです。

では記事をご紹介します。引用部分は青で表記します。



生活危機:08世界不況

生活苦深刻  悲鳴2万件  貧困電話相談で浮き彫り

 契約打ち切り 所持金数十円 「派遣は二度とやらない」

毎日新聞  2008年12月27日(27面)

http://mainichi.jp/life/job/news/20081227ddm041040059000c.html


 貧困問題に取り組む反貧困ネットワークなど16団体が24日に全国20カ所で実施した電話相談に、14時間で約1700件もの相談が寄せられた。対応できなかった電話も含めるとかかってきた電話は約2万件に達し、日本のあちこちで生活苦への悲鳴が上がっている現状が浮き彫りになった。参加団体は26日、内閣府に生活保護などセーフティーネットの強化を要請した。【清水健二、東海林智】

 ◇契約打ち切り、所持金数十円「派遣は二度とやらない」

 相談は「派遣切り」で住居を喪失した状態にある人や生活困窮者のために実施。生活保護関連が447件、解雇など労働関連が402件、多重債務関連が254件だった。年齢別では40代が235件とトップで、50代(188件)、30代(177件)が続いた。反貧困ネットの湯浅誠事務局長は「30代など働き盛りの方からの相談が多く、非常事態だと感じる」と話す。

 「所持金が数十円しかない」など相談は切実だ。埼玉県内の自動車部品メーカーの派遣契約を11月20日に打ち切られた男性(44)が電話した時の所持金は1500円余り。ネットカフェでの宿泊も、あと1泊できるかどうかだった。

 10月下旬、1年半続けた派遣の打ち切りを告げられた。職は見つからず、行く先もないまま12月20日に寮を退去させられ、「真っ暗闇のトンネルに入れられたような気分」。訪れたハローワークで24日、職員が新聞記事を見せて電話相談を勧めた。翌日に弁護士同行で、さいたま市に生活保護を申請。アパートの入居契約もでき、やっと希望が持てた。

 20代は出身地の北海道で車のディーラーをしていたが、親の入院費が賄えず退職。職を何度か変え、3年前に東京に来た。実家に戻っても、仕事があるとは思えない。新たな職を見つけ、生活が安定するまでは帰省しないと決めている。「でも、人を使い捨てにする派遣は二度とやらない」。力を込めた言葉に悔しさがにじんだ。



約2万件もの電話が殺到し、対応しきれなかった電話も多かったようですね。もし当ブログ経由の情報で電話相談のことをお知りになって、掛けてみたけれどつながらなかったという方がいらしたら大変申し訳ありませんでした。

今後の相談先情報ですが、各地域のハローワークは12月30日まで相談を受け付けているそうです。

また、フリーター全般労働組合は、越冬実行委員会を結成して年末年始の対応を行なうようです。詳しくはフリーター全般労働組合のブログでご確認ください。


Spiders’ Nest フリーター全般労働組合

「24・25日はホットライン! →年明けまで越冬」

http://d.hatena.ne.jp/spiders_nest/20081223/1230041790


その他の情報も、わかり次第お知らせしたいと思います。



24日の電話相談当日、報道ステーションがさいたま市浦和区の電話受付場所に取材に入っていました。おそらく、そこが25日午前0時までと、もっとも遅くまで電話を受け付けていたからでしょう。反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんもいらしていて、現状はとても深刻で、これは「命を支える活動」なのだと訴えていらっしゃいました。

でも、報道ステーションはその直後に連合のベア要求のことを報道し、あたかも非正規切りに連合が責任があるかのような印象を視聴者に与えました。この報道の仕方に私は疑問を感じます。

確かに、「コスト削減」と称して非正規労働者を利用する経営者に何も言えずにきた労働組合も多いでしょう。その意味で、連合に責任がないとは言えません。ですが、連合が8年ぶりにベア要求をしたということは、むしろ労働者のために闘う姿勢を取り戻したということで、合わせて雇用を守るために闘うという方針を打ち出しているのですから、それが何処まで成果を上げられるのかを見届けてから批判すべきだと思うのです。

なのに報道ステーションは、電話相談の中継の直後に、企業の非正規切りの現状を伝えるのではなく、連合のベア要求について伝えることを選びました。そのことによって、実際に非正規切りをしている企業の責任よりも、「連合がベア要求するのはけしからん」という誤った印象を視聴者に与えることになりました。そこに企業優先の日本社会の歪みを見るのは深読みのし過ぎかも知れませんが、そのような形での報道がなされたことが大変残念でなりません。

本当に報道がすべきなのは、連合のベア要求をたたくことよりも、企業が人をモノ扱いする姿勢を糾弾することであり、その企業を規制しない政府を批判することなのではないでしょうか。

第一に批判されるべきなのはどこなのかを見誤ってはならないと思います。