てっこつ番長! | さよさよ日記    

さよさよ日記    

 -ヘルメッポの逆襲-

   逆襲中につき、ペタ休止中(しゅみましぇん!)
   
   コメ返は、カメ並みの速度なので
   
   ご勘弁くださいましぃ!

ウチらのような商売にとって、安全で美味しい商品を

お客様に提供していくことは肝要である。

そして心地よい接客をすることも、不可欠なサービス業である。

(全否定してくだすったコメもありましたが…)

初めてのお客様の時は、もちろんどんな人がわからないので、

先様の出方次第でいかようにも対応できるような接客を心がけ

なくちゃならないので、結構緊張する。

でも何度か接するに従って、その御仁ともちょっとずつ会話

するようになり、徐々に親しい知己のような関係になってくる。
ま、そうなったらそうなったで、一線を踏み外さないように、

なぁなぁの関係にならないように、気を引き締めなくちゃならん。

サービスもどこまでが快適なサービスなのか、

その人その人で受け取り方が違うから、その見極めも難しい。


近所の中華屋さんのおじさんは、気心が知れてきたので、

ちょっと軽口を叩いたら、お客サマのご機嫌を損ねてしまい、

それから全く注文が来なくなったと嘆いていた。

お調子者のさよさよも他人事ではない。

ついつい口が滑ってしまうなんてこともよくあるので、

気をつけなきゃ、いかん!

サービスもきちっと線引きしないと、ズルズルと

いろんなことを頼まれちゃったりして、ホントに蕎麦屋なの?

って言われかねないことまでさせられちゃうこともあるのだ。

でも、人それぞれに節度が違うから、判断もかなり難しい…。



やっぱり予想通りの展開になった!

「1週間電話がなかったら、様子を見に来てよ」と

冗談交じりに言っていた、通称『番長』(よしたん命名)

ことTさんから電話注文が来ない。

一時は毎日のように出前注文してくださっていたのだが、

ここの所、頻度が落ちてきたので、

「あれだけ食べ続ければ、飽きるよねぇ」と軍団内で

話していたのだけれど、1週間電話が来ないのは初めて。

心配なので、出前下げにかこつけてお宅を訪問。


番長は最初、すっごいおっかねーお客様だったんだ。

何を持って行っても、『遅い』とか『冷めてる』とか文句の嵐。

それもマスティフも顔負けのご面相で怒るのだ。

でも、怒ってる割には毎日注文し続けてくださるのだ。

     

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出前を持って行く度に、今日はどんなことを言われるかと

内心ヒヤヒヤしながら届けに行くヘタレ必殺出前人。

気に入らないはずなのに、他にも出前する店は

あるはずなのに、注文してくださる。

どうして出前を取ってくれるのか不思議なくらい、

毎回ナンクセをつけられながら、お宅に伺っていた。

さよさよはマゾの心境を味わった。


でもね、あれやこれやと攻略法を考えた甲斐があったのか、

番長が諦めたのか(そうだとしたら面目ないんだけど)、

徐々に文句を言われることもなくなり、

番長から「ありがとう」と初めて言われた時は

嬉しいを通り越して、ビックリしちゃったくらいだった。

それから1年経った現在では、事業を畳んで、離婚して子供は

奥さんが引き取ったので、自適悠々で犬と暮らしているという

自分の身の上話など、ぽつぽつと語ってくれたりするぐらいの、

打ち解けた関係を構築するまでに至っていたのだ。


チャイムを押すと、大概少し時間が経ってから、

「はい」と野太い声で答えてくれるのだが、応答なし。

ノックしても返事がない。

声をかけながら、ドアノブを回すと、開くじゃん!

そしたら、いつもは閉まっている間仕切りのドアが全開

になっていて、部屋の様子が見て取れる。

部屋の中央に置かれたソファに横たわっている番長の姿が

目に飛び込んできた。

寝入ってるのか?と思って、「Tさん、丼を下げに来たんだけど」

って声をかけると、ゆっくりと手招きされる。

それもやっとって感じの動作。

部屋に上がらせてもらうと、飼い犬のフレンチブルドッグが

足にまとわりついて、行く手を塞ぐ。

どうやらお腹が空いてるみたいで、執拗に絡みついてくる。


番長は今まで見たこともないくらい弱々しい姿で、

自力で起き上がることもできない。

「具合が悪いんじゃないの?」「ご飯食べてる?」と尋ねるが、

返事もろくにできないようだ。声もかすれて聞き取りにくい。

水が飲みたいというので、どうにかこうにかガタイのデカい番長を

起き上がらせて水を飲ませるが、咳き込んであんまり飲めない。

そのうち白目を剥くような感じで意識も朦朧としているみたい。

こりゃ、いかん!と再び寝かせる。

その間も、ブルドッグが「キュン、キュン」と鳴いて、うるさい。

何日も餌をやっていないらしい。

番長の許可を得て、餌をやるが、すぐに食べ切る。


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食べ切るとまた足元で鳴く。

よっぽどお腹が空いていたらしく、3、4回餌をやった。

途中、がっついて食べたせいか、餌をひっかけて、リバース。

っと、思いきや、もう一度飲み込んじゃったよぉ。反芻してるのか?

牛だったのか?って、それどころじゃない!番長をどうにかしないと!


うちのオジジが脱水症状で動けなくなった時に酷似している。

たぶん、ろくに飲食していないと見た!

で、ソッコー救急車を呼ぶことを提案した!

脱水症状は命取りになるから、病院で診てもらった方がいいと。

番長の答えはNO!断じて首を縦に振らないのである。

「今夜、知り合いが来るから、大丈夫だ」と言う。

怪しい!さよさよが口煩いから、その場凌ぎの嘘言ってんじゃね?

「じゃ、夜、ホントに来てるかどうか、確認しに来ていい?」と聞くと、

「大丈夫」と返事する番長。

このまま放っておいていいのか心配だったが、仕事に戻る。

で、夜。カテキョの予定をキャンセルし、

救急車に付き添って乗ることも視野に入れて、
仕事が終わると、番長のお宅に駆けつけた。

やっぱりいないよ、知人なんてさぁ。

そのことを問い詰めると、それには答えずに、

「今晩、おふくろとアメリカに行くんだ」なんて世迷言を仰る。

おふくろさんは介護施設に入所してるのに…。

言ってることもおかしいし、意識もうつろだから、

これから救急車を呼ぼうと諫言するも、NO!

入院しないで点滴だけしてもらおうと説得するが、NO!

「呼ぼう」「呼ばない」の押し問答は30分以上続いたが、

頑として拒否。

赤のすっ他人が本人の意思を無視して救急車を呼ぶわけにも

いかないんじゃないかという気持ちと、ここで呼ばないのは見殺し

と同じことじゃないかという気持ちが交錯して、どうしていいのか、

全くわからん!

結局、後ろ髪をひかれつつも、断念して番長宅を出る。

どっと疲れていたんだけど、頭は冴えちゃって眠れん!

こうしている間にも、番長は死にそうになってるんじゃないかと不安になる。

強引に救急車を呼べばよかったのではないかと思っちゃうのさ。

思ったそばから、店と客の関係で、あんまり立ち入るのは拙いんじゃないか。

でも人道的立場から言ったら、あそこで帰っちゃったのはどうだったのか、

とかね、いろいろ考えちゃってなかなか寝付けなかった。

ま、いつの間にかオチちゃってたけどね。


で、寝坊。寝坊しながらも仕込みを終わらせ、番長のお宅に行く。

やっぱり、お節介なのだ。

危機的状況を知りながら、知らん振りなんて人間の風上にも置けない

ことはしちゃいけん!

でも、さよさよは強制力を持たないから、今日行って説得できなかったら、

民生員とか公の機関に委ねようという覚悟の下で出向いた。


ドアを開けると、女性がいた!

何だぁ、知り合いの人、今日来てくれたんだぁ。心配して損したぁ。

これで安心!と思ったら、知り合いじゃなくて、番長のお母さんの

ケースワーカーさんだった。

番長の様子を見に行くと、昨日よりも更に状態が悪くなっている。

ケースワーカーさんに昨日からの状況をお話して、

「この状態のままでは死ぬ危険性が大きいから、何とか福祉の方で

動いてもらえないか」とお願いしてみる。

するとケースワーカーさんが電話をして、社会福祉士さん登場。

これで帰れると思ったら、また状況説明をさせられる。

で、本人の納得ずくで救急車を呼んだ方がいいと判断。

女三人でかしましく「病院へ行こう」の輪唱が延々と繰り広げられる。

しかーし!徒労に終わる。

番長ってば、えらくガードが堅い。鉄壁の守りなのだ。

おまけに筋金入りのガンコ者。絶対に病院には行かないと言う。

あんなに脱力しちゃってるのに、マヂ切れする時は大声が出る。

「うるさい!余計なことするな!」って怒られちゃったよ。

で、やっぱり家族の説得が一番だろうということで、

息子さんの連絡先を調べることを社会福祉士さんが、

朝晩、様子を見に来るという役目をさよさよが担当することになった。

まだまだ足を抜くことができないようだ。


今日もまた番長の家に行くんだなぁと思ってたら、

社会福祉士さんから電話が入る。

朗報だった。

息子さんの連絡先が取れて、すぐに駆けつけてくれたらしい。

それでも病院へ行こうとしない番長。

でも強行に救急車を呼んじゃったらしい。

救急隊員の人達に長い間説得され、観念して運ばれたそうだ。

よかった、よかった!これで安心して寝られるよぉ。


でも、一人暮らしのお年寄りが増え続ける昨今、

こういうことが珍しくないくらいに起こるのかもしれない。

そんな場合に備えて、必殺出前人のベストな対応を

今からよーく考えておかにゃあならないなぁと考えさせられる

出来事であった。って、かなり難しい課題だなぁ。

やっぱり寝られなくなりそう…。


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     ちょっともっちーさん トコの画像っぽいなぁ、これ…