「1861年の新聞広告とウイスキー」からの続きです。
前回の最後に、E & J Burke, Ltd.に、別の「営業名」があった可能性に言及しました。
どこで見つけたかというと、世界の商標を検索できる WIPO Global Brand Database データベースです。
NamesタブのHolder欄に「John Burke」と入れて検索しました。
Edwardを抜いた理由は、「Edward &」と「Edward and」のどちらで登録されているか不明だったから。
この検索によって、同社の商標が多数ヒットしました。猫の絵柄も、複数あります。
そして検索結果の中に、「LAWSON'S LIQUEUR WHISKY. W LAWSON DUNDEE」というブランドの登録があり、Holder欄には「EDWARD & JOHN BURKE, LIMITED also doing business as W. SWANSON AND COMPANY, Dublin, Ireland」との記載がみられます。
一覧では出願日が表示されないのですが、該当する商標の行をクリックすると詳細情報が表示され、登録日が判明しました。
この商標は、カナダで1891年4月16日に登録されています。
「Lawson's Liqueur Whiskey」というブランドが見つかったため、これをGoogleで検索してみたところ、次の説明文が手に入りました。
強調は、こちらで付しています。
| William Lawson was born in Scotland between 1853 and 1859, and subsequently migrated to Ireland. By 1888 he was working as exports manager at E&J Burke’s blending, bottling and export company in Dublin. The following year the name W Lawson & Co, Dundee and the label ‘Lawson’s Liqueur Whiskey’ were registered to Edward & John Burke – confusingly also trading as W Lawson & Co – by William Lawson. In 1890 Burke’s became a limited company, with Lawson acting as company secretary. The following year he was appointed a director of the firm, but in November 1903 he was dismissed by Burke’s, although the reasons for this are not clear. William Lawson's | Scotch Whiskyより抜粋 |
どうやら、こういうことのようです。
実際、たとえばオーストラリアの『Morning Bulletin』紙の1890年11月10日号の一面に、下の画像の広告が出ています。
Burke社による広告で、商品リストの中に Lawson's Liqueur Whiskey が含まれます。
1871年に「猫印」ウイスキーを輸入したとされるカルノー紹介と、E & J Burkeとの結びつきは特定できていませんが、仮に同社の「BURKE’S Fine old Irish Whiskey」が猫印だったとしても、そもそもE & J Burke名で輸入していたかどうかも、わからなくなったということです。
すでに相当に手がかりが出ましたので、きちんと調べれば関係を特定できるだろうとは思います。
ただ、そこまで没頭するのもいかがなものかと思いますから、本件は、これで一旦終了といたします。
（完）
【追記】
ウイスキー調べで思ったのは、ウイスキーという飲み物自体、想像以上に奥が深いということです。
たとえば、
「見た目にもこだわる、ウイスキーの粋な飲み方＆探し方」
ここに、ウイスキーと氷の話があります。
私自身はウイスキーを１滴も飲まないのですが、非常に興味深いので、機会があれば次回は氷とウイスキーにまつわる特許でも追いかけてみようかな、と、思います。
■関連記事 （連載です）
猫印ウイスキーと、オーストラリア商標
猫印ウイスキーと、カナダ商標
Burkeウイスキー、輸入業者は？
カルノー商会、発見！
1861年の新聞広告とウイスキー
WIPOで1800年代の商標検索 ←現在地。