「姐さん、姐さん」
「どうしたの?」
陽は今、総悟と外出している
彼女の希望でかぶき町を探索しているのだが・・・・
「なんでよりにもよって旦那のところなんでィ」
2人が立っているのはスナックお登勢の目の前、つまり万事屋の下だ
「ううん、銀じゃなくて今日はお登勢さんに用事」
「あのばばぁにですかィ?」
総悟は怪訝な顔をするが渋々陽に続いてスナックの中へと入った
「こんちわ~」
「陽様、おひさしぶりです」
店の中ではカラクリメイドのたまが掃除をしながら出迎えている
その横にはある意味凶器の猫耳女、キャサリンが煙草をふかしている
「あ、たまさん! お登勢さん居ますか?」
「申し訳ございませんが、お登勢様はただいま出かけております」
「そう・・・。じゃぁかわりに渡しといてくれる?」
陽は着物の裾から分厚い封筒を取り出すと、たまに手渡した
「ずいぶん遅れちゃったけど、たまってた3か月分の家賃」
「了解しました」
たまが店の奥にしまったのを確認すると、陽は「ありがとう」といって店を出た
「姐さん」
「なぁに総悟君」
少し上にある総悟の顔を見ながら陽はニコリと笑った
「あんたも大変ですねィ・・・」
先ほどの札束を思い出しながら総悟は苦笑いをした
「まぁ、その事は承知で住んでるからさ」
総悟side
俺に笑いかける彼女はどこか姉上に似ている
今頃どうしているだろうか・・・・
あ、そういえば来週嫁入り先の家が江戸だから来るって言ってたな
よし、姐さんを紹介してあげよう
「総悟君?」
ボーっとしていると視界いっぱいに姐さんが映った
俺を見上げる瞳は24のくせしてグリグリに大きい
淡い茶色の瞳に俺の顔がある
その瞳は何もかもを見透かしているように綺麗で・・・
「・・・いや、なんでもありやせん」
「そう?」
「それより姐さん、来週の水曜辺り空いてやすか?」
隣で犬っころみてぇに笑ってる姐さんの手をさり気なく自分の手に絡ませながら話し掛ける
「水曜日? ちょうどお休みだけど、なにかあるの?」
「はい。俺の姉上が嫁入りに江戸にくるんで紹介しようと思いやしてね」
「総悟君のお姉さん?!」
俺に姉が居ると知って姐さんは目を大きく広げた
「あ、会う!! お友達になれるかな?!」
「なれやすよ。なんたって姉上は心が広いんでね」
小さい頃に見たばっかりの姉上の笑顔を思い出しながら俺は笑った
「よかった~・・・。 でも総悟君のお姉さんか~。美人さんなんだろうね」
「あったりめぇでさァ」
「楽しみだな♪」
でも
姐さんも綺麗で、可愛くて、器用で、優しくて、強い
俺の自慢の姉上でさァ。