3章その3 城下町クエラド2
翌朝、宿屋のおかみにユティアを頼み宿屋を後にする
始めて大陸王に会えるのを楽しみにしていたのか、目を真っ赤に腫らして膨れていた。
歩いて数分で城に到着した
石造りの威厳ある建物。こんな冒険者が立ち入っていいのかと言うくらい、凄味があった。
入って行くのは、貴族や高そうな鎧甲冑を身にまとった騎士、商人そんなのばかりだ
数時間してヨシュア達は、やっと謁見の間へ通された
「いいか!ただ、挨拶してあとは、立ってるだけでいいからな」と小声でサブミナがつぶやいた。
恐れ多すぎて声が出ないヨシュア「一生に一度来れるところでもないなぁ・・・」
朝一番で行ったが、10数名待ちで一体どれくらい前から並んでるんだろうか
謁見の間はさほど広くはないシンプルな飾りに、護衛の近衛兵が二人ほど後ろを守ってるくらいだ。
壮年の男が一人いた大陸王クエラドだ。
「おお!サブミナ!待っておったぞ!用件は何だ?」
ずいぶんフレンドリーに挨拶をしてきた。
「サブミナの家はだいぶ昔から、お受け御用達の物を扱っている。
だからフレンドリーに接してくれるんだ」 とヨシュアは思った。
「クエラド大陸王、お久しゅうございます。晶精女王が何者かに殺害されましたおそらく、封印が弱まったものと見られます。」
話を聞いた大陸王扉を閉めさせて、サブミナに事の経緯を聞いた
「…そういう事か。最近、息子エイウスの様子がおかしいのもそのせいかもしれぬな」
「どうかされたのですか?」
クエラドの顔色が変わった
「最近、とんと姿を見せなくなったのだ。私も含め、城中の者すべてが全力で探しているのだが・・・民には口外していない。どうか内密に頼む。」
「仰せのままに。それでは失礼いたします」
サブミナ達が部屋を後にしようとした瞬間、クエラドが玉座を何か吹っ切れたかのように立って
二人の方へ駆け寄った。
「サブミナ、護衛の者!頼む!王子を探してくれ。たった一人の家族なんだ!もうお前しか頼るやつがおらぬ!」
「御意」
「俺・・・護衛だったんだ・・・」深くため息をつくヨシュアだった。
3章その3城下町クエラド3へつづく
3章その2―城下町クエラド
クエラド城下町だ。
この大陸の物流拠点であり、その置くには大陸王クエラドが住まう城がある。
「おのぼりさんじゃないんだから!」
あっけに取られる二人を恥ずかしそうに引っ張り町の中へ入った。
日はすっかり暮れ、街は歓楽街と化すたくさんの屋台や、飲み屋が軒を連ねるようになった。
酔っ払いの男が絡んできてもサブミナはさりげなくかわしていくが、ヨシュアはこのような場所が初めてということもあり、なかなか前に進まない。
「ヨシュ~なにやってるの!?」急かされ、さらに焦ってしまう
その時だ普段滅多に怒らない、ヨシュアの眉間にしわが寄った。
遊び人風の若い男が二人声をかけてきたのだ「お嬢さんたち、俺達美味しいお店知ってるんだけど、一緒に・・・」
ユティを抱えたヨシュアが男達へ一発ローキック入れて男達が倒れ、あたりがざわめきだした!
「ば、馬鹿!何やってるんだ!!!」サブミナが戻ってきて、大急ぎでその場をあとにした。
3人は歓楽街を後にし、宿屋へ駆け込み、簡単な食事とユティアの足の手当てを始める・・・
腫れていて、動くには痛みを感じる。
「こりゃ、私達二人で王様の所へ行った方がよさそうだ。ここで立ち止まってはどうしようもないからね」
「ユティ、ごめんね。明日は待っててくれる?」
ユティはぶつぶつ言いながらも、応じ、布団に包まって不貞寝をし始めた。
ヨシュアは部屋を出て、サブミナもいつもの事だと思いつつ床に就いた。
3章―その3へ続く
3章その1―大平野
皆に見送られて町を後にする。
サブミナは何度となくお付の者と町の外へ出ているが、あとの二人は外の世界なんて全く知らない。
あたりに広がる大草原。
子供のようにおおはしゃぎのユティアにポカーンとただただ見つめるヨシュア。
「すごく広いんだ~♪」
『こんなに広いんだ―迷子になりそう(゚Д゚;)』
「おーい!先行くぞ!!!!」遠くからサブミナが呼んでいる。
「待って~」
何もわからない二人はただただ、付いていくだけである。
サブミナは地図を広げて今どこにいるのか、次にどこに行くのかを二人に説明した。
「地図なんて本でしか読んだことないよ。始めてみた」
まだまだ、テンション覚めやらないユティアに
「コホン。。。聞いてよ!今いるのは、ルキア大平原。コレを川沿いへ南下して、城下町へ行こう。」
二人はうなずき、一行は再び歩を進めた。
しばらく歩くと、小さな森に入って行く。
昼間なのに薄暗い森。
時々、コレだけの静けさ―
森に響き渡る獣の声にユティアはビックリしていたが、他の二人はさっさと歩いていた。
「日が落ちる前に抜けないと、ココは賊が出るから。」とヨシュア達に告げた
ガザッ!不審な物音―
二人は短剣を持ち背を付け構えた
「ユティ!!!?」
二人は足元を見ると、転んでツタでもがいてるユティがいた。
さっきの物音はユティが転んだのだ。
足首が腫れてるのが判る。痛めたようだ
ヨシュアはしゃがみこみユティアを背負おうとするが、拒む。
「何でだよ!痛いんでしょ!!?」
「いいよ。歩けるもん」
数歩歩くとやっぱり痛がってしまう。
「ほら!けが人が無理をしない!」お姫様抱っこで無理やり抱きかかえるヨシュア
ユティアは顔が真っ赤になってしまい、言葉を失ってしまった。
『こんなに。。。がっしりしてたんだ。。。ヨシュの腕―』
「お、もう直ぐだ!早く抜けちゃおう」
二人は出口に向かって走り出した。
抜けたコロには真っ赤な夕焼けが当たり一面広がっていた。
3章その2へつづく
2章―発つ
支度をし終え、町を出る道中ヨシュアは気が重かった。
何度何回ミリーが赤の他人なら、赤の他人なら…と思い願ったが、現実は血のつながった実の妹。
夢の中は赤の他人でも目が覚めると妹と言う現実に引き戻される。
桃のような透ける頬、サファイアのような瞳、
雪のような白い肌、絹糸をつむいだようなつやつやの黒髪、あどけない優しい笑顔。
プルプルの唇に小鳥のようなはかない声。
誰にも渡したくなかった。
「あの日」から、ずっと、ずっと…妹だと思ってたのに、だんだんと異性としてしか見れなくなった。
妹としての愛情がいつしか、異性への愛情へと変わっていった。
だが、それも叶わぬ夢。
カッ!!!
うやむやな自分に腹が立ってきて、足元の石を蹴り飛ばした。
気持ちいいほどに遠くに勢いよく飛んでいく。
ガッ!
何かに当たった。やばいともなんとも思わない。
もどかしい気持ちでいっぱいなのだ。
「いてて…ずいぶん荒れてるじゃねーか!?」いつもの木の下で待ちくたびれた様子のサブミナと桜がいた。
どうやら、今けった石が当たってしまったのはサブミナのようだ。
ボーっとして通り過ぎて行く。
内心、ミリーを置いていきたくない、世界なんてどうでもいいという気持ちでいっぱいだ。
そう考えるとどうして、こんな体、聖者の末裔、ミリーの兄なんかに産まれて来てしまったんだろう…という葛藤が心の中を走り回る。
…い…おい!…おい!ってば!!!!
思わず耳元で吼えるサブミナの声にヨシュアははっとした。
「浮かないなぁ~」
「…う、うん。ごめん」うつむきざまにサブミナに謝った。
なんで…
なんで…
友達の顔も見れないなんて…
そんな自分が怖かった。
でも…
駄目だ!唯一の男がこんなんじゃ!
「さーて行こう!しばらくは帰ってこれないな…」自らを奮い立たせマントを翻した。
二人が静かにうなずいた。
門番が門を開けたとき
遠くから息を切らせ走ってくる―
ミリーだ。
ミリーが裸足で何かを持って走ってきた。
透明のうっすら光る石が付いたバレッタと指輪。
ヨシュアの母親の形見、ミリーも同じ物を持ってる。
「駄目じゃない~お母さんの形見。いつも肌身は離さず持ってるのに。」
「ミリーごめんな。ごめん…当分帰れないかもしれない」ミリーを力いっぱい思いっきり抱き寄せる。
目に涙を零すまい、零すまいといっぱい浮かべて
ミリーは、目いっぱい背伸びをしてヨシュアの顔を近づけ囁く
「!!ミリー…俺達必ず、必ず帰ってくるから。寂しいけど、待っててくれる…か?」
ミリーは泣きながらも笑顔を作り、静かにうなずいた。
「い、いって…らっしゃい」そっとヨシュアの胸から離れ、手を振って見送った
悲しくて、たまらなくて、去っていくヨシュアを見てられなくて門のところで泣き崩れてしまった。
いつまでも。町の入り口の門が閉まっても。
お兄ちゃん、お兄ちゃん…ずっとずっと叫び続けていた。
3章へ続く―
第一章…末裔の目覚め
のどかな田舎の町「ルキア町」ある日の朝の事だ…
田舎といっても小さいながらに工場や商店街のある「町」と化している。
田舎の朝の風景、農家は朝も早くから、田畑を耕し、馬や牛が食み、お母さんの朝食の匂いで家族達が次々と目を覚ます。
そんな中、1件の家だけが騒々しい。
「う・・・うわーーー!俺は!俺は!化け物じゃない!化け物じゃない!」
ひとつの部屋から青年の叫び声。
朝なのに青ざめ、泣き叫ぶ青年。それに動じず少女が兄を静めた。
「お、お兄ちゃん!また「あの夢」を見たのね?」
振り向き、現実である事に気づきほっとしたようだ。
「ミリー…なんで…あいつらはいつも、俺の事を化け物呼ばわりするんだ…」着ていたシャツを脱いで、下着一枚になった。思わず自分の体を見つめた。
自分自身が悔しくなってどうしたらいいのか分からなくなって、そばにいたミリーを抱きしめた。
誰に見られていたって構わない。
生まれ付いての全身の模様―年を取るほどに濃くなっていった。
「く…苦しいよ…ヨシュアお兄ちゃん。だって…この模様は…」
ヨシュアがミリーの髪を触ろうとした時…バーン!
突如ドアの開く音
二人の女が静寂を壊すかのようにヨシュアの部屋へ顔色を変え息を切らして入ってきた。
長期間の旅に出るような格好で―
「な!なんだよ…( ; ゚Д゚)」ミリーを抱えて硬直してるヨシュアに銀色の髪の女が強い口調で言ってきた
「なんだよ?お前!サディストが目覚めたの知らないのかよ!(#゚Д゚)ノ」
ヨシュアは驚きを隠せなかった。
自分自身、いつもの「夢」に翻弄させられていたから。
「サブミナ、言いすぎよ。夢、見れなかった?ヨシュ。」銀色の髪の女とは
正反対に静かに優しく頬を赤らめながら語る色白の女。
「じゃあさ、末裔じゃないんだ!行こう!桜。こんなシスコン男放っておいて。」
桜の手を引いたサブミナに待ったをかけたヨシュア。
目で、彼女達の話を聞きたいと…。
4人は床に円を描くように座った。
ミリーは立ち上がり、桜とサブミナの額に手を当て念じ、祈った。
すると、どこからともなくミリーの周りから風が吹き、ほのかな光が立ち込める。
ヨシュアが見たものは、聖女リリュウ・ハーネストがサディストの力によって封じられる姿。
サディストが封じられてた鍵「虹水晶」がかつての聖女の守り手だった守護騎士達によって持ち出された。
「7000年もの前に…俺らの先祖が封じたんだろ!?あり得ない。(((( ;゚д゚)))アワワワワ」
4人は沈黙した―
「行かないと…俺達…殺されるのか?…殺れる前に…大事な物を壊される前に…行かないと…」ヨシュアが、口火を切った。
男らしいところがあるじゃないかよ。といわんばかりに力いっぱいヨシュアの背中を叩くサブミナ。
背中にはもちろん真っ赤な手形。
下着一枚の彼の背中を叩いたせいだ。
「サブミナったら~」思わず笑顔になる桜。
「もう!お兄ちゃんに何するの!」とむくれ顔のミリー
「ったく~サブミナは手加減を知らないなぁ~支度をするから、ちょっと外で待っててよ。」とサブミナたちを部屋の外に出しドアを閉めた。
「なんで、ミリーちゃんだけ…私は…何なのかな…」ちょっと腑に落ちないユティア。
「やきもちか?幼馴染。あいつにはそれしか思ってないんだろ?」サブミナが問い返す。
……
締め出したのは訳があった。
あの模様を見られたくないからだ。
あの体の模様は、ヨシュアにとってはコンプレックスの塊。
全てを赦せる人にしか見せられない物だった。
閉められたドアの向こう。
見てはいけない光景が繰り広げられていた
「ん…は…ぁ…苦し…い…お兄ちゃん…」
いつもより激しい口付け。
口から滴れる透明の糸。
「ミリー…ミリー…俺は…お前が好きなんだ。離れたくない。お前も離れるな。俺以外の男に触れるなんて…」ミリーを自分の妹をそっと自分のベットへ寝かせる。
荒い吐息、今日はいつもよりも激しくヨシュアの手がだんだんミリーの顔から、服のボタンを外し乳房へと移る。
「ぁ…お…お兄ちゃん…だめ…」服に手が入りかけたその時、ミリーが静止をかけヨシュアは正気に戻った。
「俺は…俺は…きっとこの模様のせいだ…でも、ミリーがお前が妹としてではなく…」
トクン
トクン
トクン
「愛してる」
「お兄ちゃん。」
「『お兄ちゃん』なんて…あああああ!ダメだ!妹なんだぞ!血がつながってるんだぞ!」
早々にショルダーガードを付け、護身用の剣…旅支度を整え簡単に食事を済ませ、二人を迎えに待ちの入り口まで向かった。
2章に続く―
プロローグ
母なる星。リリュウハーネスト
真っ暗闇、倒れて転がる死体、たくさんの魔獣、その前には黒い羽の女。
カツーン…カツーン…徐々に女に迫り寄る。冷たい目をして、青い羽の生えた肌の白い青いの目をした女に近づいていく。
脅えるその女に躊躇もせず。
「あ…あなた…暗くても…わ、分かるわ…結界が…弱まったのね」もう腰が抜けて動けない青い羽の女は
後ずさりをして、手の震えを我慢して転がる剣を手にした。
「私はあなたに殺されない!闇天使サディスト・バディウ!」青い羽の女は喉元に剣を突きつけた。
顔色一つ変えず、喉元にあった剣を握り、剣先を払いへし折り、青い羽の女の首を思い切り掴み、壁に叩きつけた。
「…あ…かぁ…た…た…すけて…」
「7000年経つと、あんたも力が弱まるのね…もうお休みなさい!リリュウ・ハーネスト」そうささやくと、鮮血のような光がリリュウを包み、結晶にして姿を消した。
サディストを封じておくための鍵「虹硝石」を6人の手下の体内に埋め込んで―
大陸内へ散り散りにさせた。
第1章へ続く
