🍯 甘いひと匙の力
風邪でのどがヒリヒリするとき、「ハチミツ入り」と書かれたのど飴を見ると「なんとなく良さそう」と感じてに自然と手が伸びてしまう人は多いと思います。
ドラッグストアやスーパーの棚には、この時期はハチミツ入りの飴がたくさん並んでいて、この時期の「ハチミツ」は特に身近です。
しかし「本当に効き目があるのかどうか」と言われるとちょっと自信がなくなります。
たくさんののど飴が棚に並ぶ中で、「ハチミツ」だけを特別扱いしていい理由があるのかどうか、気になるところです。
その疑問に、実際の臨床データを使って検証しようとした研究があります。
いわゆる「風邪」にあたる上気道感染を対象に、ハチミツの「医療的な意味」を探ろうとしたものです。
一方で、中医学ではハチミツは「肺をうるおし、咳をやわらげる」食材として古くから扱われています。乾いた咳やのどの刺激感は「潤いの不足」とされ、ハチミツはその不足を補う働きを持つと考えられてきました。
中医学の見方と現代の医学研究がどの程度つながりをもつのか──そこには小さくてもしっかりとしたつながりがありそうです。
研究の意味を読み解きながら、中医学の見方も添えて、「ハチミツ」は「風邪」に対してどのような効果があるのか──続きを見ていきましょう。
🍯 ハチミツと咳──研究が目を向けた理由
風邪のときに出る「咳」は、つらい症状の一つですが、症状がつらいわりに、すべての人に確実に効く治療法が十分にそろっているわけではありません。薬を使っても「少し楽になる程度」のことが多いです。
その一方で、家庭では昔からハチミツがのどや咳のつらさをやわらげるものとして使われてきました。
ただ、これまでの臨床研究では、ハチミツの効果は「ある程度よさそうだが、比較する相手によって評価が揺れやすい」という状況が続いていました。
確かに良い印象は残るけれど、具体的にどの程度役に立つのかをはっきり示せていなかったのです。
そこで注目されたのが、複数の臨床試験をまとめて検討し、ハチミツが「どのような人に、どれくらいの改善をもたらしているのか」を整理しようとした今回の研究です。
日常生活で当たり前のように使われているものだからこそ、曖昧な印象で済ませず、客観的に確かめることに意味があります。
🍯 実際の研究の内容は?
今回の研究では、過去に行われた臨床試験を集め、上気道感染で咳などの症状がある人に対して、ハチミツがどの程度役に立ったのかを整理しています。
対象となったのは、子どもから大人まで幅広い年齢層で、年齢を限定せずに集められた研究の中から、合計14の臨床試験が条件を満たして選ばれました。
これらの試験では、ハチミツそのものをスプーンで飲む方法だけでなく、ハチミツとハーブ成分を組み合わせたもの、温かい飲み物に混ぜたもの、シロップとして加工されたものなど、形はさまざまでした。非常に身近な食品であるため、どのように摂取されてきたのかが試験ごとに異なっている点も特徴です。
比較の対象も幅広く、偽薬(プラセボ)、一般的に使われる市販薬成分(ジフェンヒドラミンやデキストロメトルファン)、さらにはカルボシステイン、サルブタモール、パラセタモール、ナプロキセンなど、多様な薬剤が使われていました。
研究によっては、ハチミツ単独か、あるいは他の成分と組み合わせたものかも異なっており、「実際の生活に近い形」でハチミツが扱われている点が特徴的です。
このように対象者・使用方法・比較相手が幅広いことで、研究全体として「現実の生活におけるハチミツの使われ方」が反映されており、日常の感覚に寄り添った検討となっているところが、この研究の魅力の一つです。
🍯 ハチミツはどれくらい症状を楽にしたのか?
集められた臨床試験をまとめて分析したところ、ハチミツは「症状のつらさを総合的にみた指標」で、一般的に行われる治療(のど飴以外の市販薬成分や処方薬などを含む「通常のケア」)と変わらない効果、薬によってはそれよりも改善することがわかりました。
具体的には、咳の「回数」や「強さ」がやや減り、熱が下がるまでの期間が短くなるといった違いが報告されています。
つまり、ハチミツは日常的に使われてきた印象と同様に、劇的に効果ではないものの、症状の緩和に役に立つ」ことが示されました。
🍯 研究結果をどう読み解くか──医学的な意味と限界
今回の解析では、「ハチミツ」が咳のつらさを和らげてくれることが示されました。
研究ごとにハチミツの種類や量、摂り方が異なっていたことや、比較された薬剤に統一がなかったことなど、評価に影響する要素は残っています。それでも、ハチミツには安心して使えるという大きな利点があります。
眠気が出やすい薬や、口の渇きが出てしまう薬と比べると、ハチミツは副作用を心配せずに日常生活へ取り入れやすい点が特徴です。試験でも重大な副作用は確認されておらず、身近にあって症状を少し楽にしてくれる食材という点は、日常の対処法として心強い存在です。
そして、ハチミツを使うときに必ず知っておきたい大切なポイントがあります。
それは、「1歳未満の赤ちゃんには与えないこと」 です。
ハチミツには、ごくまれに「ボツリヌス菌の芽胞」と呼ばれるものが含まれることがあり、腸がまだ発達途中の赤ちゃんでは処理しきれず、「乳児ボツリヌス症」という重い症状につながることがあります。
ただ、この心配が必要なのは乳児期だけで、1歳を過ぎた子どもや大人では通常どおり食べても問題ありません。
こうした注意点を踏まえれば、ハチミツは副作用が少なく、安心して取り入れられる対処法として、とても取り入れやすい選択肢になります。
🍯 中医学から見たハチミツ──「潤い」を補う
中医学では、咳は「潤いが不足している状態」と捉えることがあります。乾燥が続くことで肺や喉が敏感になり咳が出やすくなるという考え方です。
ハチミツは、この「潤い不足」を補う食材として古くから用いられてきました。とろみのある甘味が肺や喉を潤して、乾燥による刺激を和らげ咳を抑えやすくするとされています。直接「止める」というより、肺や喉の環境を整えることで咳を和らげてくれるものです。
今回の研究でわかった「ハチミツ」が「咳」を和らげるという働きと、中医学の視点と重なった部分と言えます。
🍯 ハチミツが届けてくれる優しさ
ハチミツには、咳やのどの違和感を和らげてくれる働きがあることが、今回の研究から見えてきました。
つらさが続く時期に少し「楽」な時間をもたらしてくれることに加えて、日常に取り入れやすいケアであることも大きな魅力です。
特別な準備は必要なく、家にあるスプーンひとつで取り入れられる手軽さは、ほかの対処法にはないものです。症状に寄り添う穏やかな働きは、風邪で過ごしにくい日々を支える助けになります。
中医学で大切にされてきた「潤いを補う」という働きは、咳を和らげる可能性を示した今回の研究と方向性が重なります。
古くから受け継がれてきた知恵と、現代の研究から得られた視点がつながり、ハチミツがもつ“支えとしての力”がよりくっきりと見えてきます。
いつもの暮らしの中に自然と置いておけて、必要なときに力を発揮してくれる存在──ハチミツは、そんな小さくても頼もしい「安心」を私たちに届けてくれます。
🙇 お読みいただきありがとうございます 🙇
体の健康、心の健康のために漢方や鍼灸、養生の知恵や心理カウンセリングが役立つことがあります。
「なんか生きづらいな」
「なんか体の調子が良くないな」
と感じている方へ──
漢方と鍼灸、心理学的アプローチを合わせたやさしい心身のケアで、日々の生活に彩りを添えるお手伝いをいたします。
タナココ(https://tanacoco.com)
「友だち追加」
お問い合わせにも便利です!
オンライン相談もこちらからどうぞ😊

