@sammy_marley: 現地語しか通じない大衆食堂でローカルと一緒にご飯を食べたり、日用品をはるばる隣の集落の商店まで買いにいったり、旅の醍醐味だなぁとそのときは思う。だけどどこかに不便を嫌う気持ちもあって、そういう気持ちが観光地を「便利に」「快適に」「先進国好みに」変えてしまうんだろうな。


アジアのそれなりに有名な観光地なら、どこでもだいたい同じような店がある。

「ピザ屋」だったり、「レゲエのかかる店」だったり、「サッカー中継のある店」だったり、あるいは「サッカー中継があり、レゲエがかかるピザ屋」かもしれない。

そういう店はたいてい大勢の白人でにぎわっている。

僕もよく利用させてもらいつつ、「よくも個性のない似たような店ばかりあるものだ」と心の中で毒づいたりするのだが、そうした店の成り立ちに考えをめぐらせてみてハッとした。

彼らがボブ・マーリーをエンドレスでかけるのは、なにも店のオーナーやスタッフがレゲエ好きなわけでなく、「客が喜ぶ(と思う)からやっている」だけなのだ。

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観光地として栄える場所はそもそも、交通の便がよかったり、きれいなビーチがあったり、近くに有名な遺跡があったりする。

そこにまず集まるのは、裕福な旅行好きの欧米人だ。

近年は日本、中国、韓国、マレーシアなどアジアの旅行者も増えたが、観光地の「パイオニア」は圧倒的に欧米人である場合が多い。

人が多く集まれば、泊まる場所が必要になりホテルができる。

滞在期間が長くなれば、レストランやバーの需要も増える。

元々その土地に住んでいた人だけでなく、他の地域からビジネスチャンスを求めて移り住んでくる者もいるだろう。

なにかビジネスを始めるとき、当然一番数が多くてお金を持っている人たちをターゲットにし、彼らを客にしたいと考える。

土地に元からある食べ物やサービスを提供してみるが、どうも反応がよくない。

食べ物は口に合わないようで残しているし、民族の伝統的な音楽をかけてみても誰も興味を示さない。


この人たちはいつもなにを食べているんだろう?

この人たちが聴いているあのおかしな音楽はなんだろう?


商売に真剣なら、当然そうした疑問を持つ。

そして、おそらくは気のいい欧米の旅行者がよかれと思って自分たちの好みを教えこんでいく。


「なるほど、ピザやハンバーガーを出しておけば、3倍くらい値段が高くても食べるんだな」

「レゲエという音楽をかけておけば、喜んでビールを何本も注文するらしい」

「どうやらやつらは紙がないとトイレもできないらしい」


こうして少しずつ、客である欧米人や、欧米の文化に影響を受けたアジア人の喜ぶ店や宿が増え、観光地はどこも同じような風景になっていく。

欧米人自身がオーナーとしてそうしたビジネスに携わることも珍しくない。

お互いに見たことのあるはずのないスリランカとインドネシアの観光地が驚くほど似ているのは、驚くほどの理由でもなかった。

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こうした「先進国好みの観光地化」が一概に悪いとは考えていない。

僕自身そうした店には安心して入れるし、むしろかなり積極的に利用していると思う。

ただときどき、「これってどこでもできることだよな」と思って、ローカルな食堂にいく回数を増やすくらい。

むしろ、スリランカのキャンディで出会ったイギリス人バックパッカーの方が自嘲気味だった。

「ここはすごく"colonial"(植民地的)だ」

24歳、はじめてのバックパッカー旅で、金が尽きるまでアジアをまわりたいと言っていた。

旅の途中で30歳を迎えた僕より、何倍も繊細な感覚を持っているであろう彼には、同国の人間が「育てあげてきた」観光地がそう見えたのだろう。

彼を見ていると、どことなく、映画”Into the Wild”の主人公が思い出された。

彼を見習って、自分はこれまでの30年の人生で西欧的な文化・価値観にどっぷり浸かってきたことをせめて忘れないようにしたい。

その背景がある以上、自分が思う「中庸」は、おそらく本当にそうではないのだと。


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前回のエントリーを読み返してみて、「旅(旅行)」という言葉の定義を書かなかったため、意図が少し伝わりづらかったように思う。

「バックパッカースタイルでの周遊旅行(バックパッカー旅)」が、自分なりの「旅」の定義だった。


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「旅の定義を説明しない」ということ自体が、「旅はこうあるべき」という当時の自分の頑なさをよくあらわしているようで面白かった。

ただ、エントリーを書いたのは最近なので、未だに心の奥では「旅」をステレオタイプにとらえているのかもしれない。

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今でこそ、「チャリダー」「ライダー」「沈没」「流学」「サーフトリップ」など、様々な旅のスタイルがあることを学んだが、当時自分がいつかやらなければならないと思っていたのは、「バックパッカー旅」だった。

猿岩石のユーラシア大陸横断をテレビで観て育ち(古いけど)、『深夜特急』を手に取ったことのある人にはわかってもらえるのではないか。

世代が変わっても、ツイッターなどを見ている限りバックパッカーに憧れを抱き、いつかやってみたいと思っている人は少なくないように思う。

そうだとすれば、同じような想いでバックパッカー旅行をやってみて、「これは自分の旅のスタイルではない」という結論にいたった自分の経験も、誰かにとってヒントになるかもしれない。

そんな気持ちから、スリランカでの3週間のバックパッカー旅行で感じたことを具体的に書いてみたい。


【合わないと感じた点】

・リサーチ、移動、宿探しの繰り返しになってしまうこと

バックパッカーとしての周遊には、目的地のリサーチ、バスや鉄道での移動、宿探しが欠かせない。スリランカ一国が舞台だったせいかもしれないが、早々にこのサイクルに飽きてしまった。

・深い関係が築けないこと(出会いと別れのサイクルが速いこと)

バックパッカー旅では一ヶ所あたりの滞在日数は2, 3日から長くて1週間くらいだと思う。(数週間~数ヶ月滞在する場合もあるが、それは「滞在型」としてわけて考えたい。)短いサイクルで移動を繰り返すと、宿で出会う他の旅行者や現地の人との交流が深くなる前に終わってしまう。深い人間関係を持てないさみしさと、同じような浅い交流を繰り返さなくてはならない煩わしさがあった。

・非日常に慣れ、感動しなくなってしまうこと

旅のはじめは全てが目新しい非日常で、あらゆることに感動する。残念ながら、そうした感動は旅を続けるほどに薄れてゆく。いつしか、有名観光地に行って写真を撮ることが旅の目的のように感じられてくる。


【よかった点】

・思いがけないすばらしい場所(風景)に出会えること

期待していた観光地にがっかりすることもあるが、全く期待していなかった場所で感動的な風景に出会うこともある。なんでもないような場所であるほど、鮮明に記憶に残ることがある。

・自分の好みがわかること

バックパッカー旅では、普段行かないような場所を多く訪れることになる。好きだと思っていた遺跡めぐりに早く飽きてしまったり、それまで気にとめていなかったことに興味を感じる自分に気づくことがある。

・忘れられない出会いがあること

マイナス面としても書いたが、関係が浅い分バックパッカー旅での出会いは多い。中には数分話しただけで、出会うことを運命づけられていたかのように感じる相手もいる。関係がながく続くこともあるし、二度と会うことはなかったとしても、記憶に刻まれる一期一会もある。


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これらすべてのことは、私自身の性格、好み、年齢、旅の期間など、様々な要素が重なった結果の感想である。

5年早く同じ旅をしていたら感じ方も違っただろうし、国が違えば旅の印象も変わっただろう。

3週間ではなく、3ヶ月だったらバックパッカー旅の楽しさに目覚めたかもしれない。

あくまで、「こういうふうに感じた人もいる」という程度に受けとっていただきたい。

最後に繰り返しになるが、少しでも「旅(スタイル問わず)」に興味があれば、ぜひやってみてほしい。

期待した結果にならなかったとしても、決してむだな経験にはならないので。


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旅は自由の象徴で、多くの若い人にとっての憧れだろう。

僕自身、20代以来かなり長い間、「旅」「旅人」には特別な想いがあり、今でもそれは変わらない。

まだ旅をしたことのないひとには、ぜひ経験してみてほしいと思っている。

それと同時に、誰もが旅に向いているわけではなく、「旅にとらわれる」ことがあるのも事実だと思う。

これは自分の経験からそう思う。

それについて述べるため、少し自分自身のことを書かせてもらいたい。


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大学を卒業してはじめて就職した2007年4月から、一度の転職をはさみ、二社目を辞めた2009年3月までの記憶が薄い。

よく覚えているのは、再就職の合間にいった東北バイク一人旅と、初・海外一人旅となるベトナム~カンボジア旅行くらい。

どちらも一週間程度のせわしい旅だった。

就職浪人までしてようやく決まった仕事が長続きしなかった理由は簡単で、覚悟がなかったから。

「仕事」や「はたらくこと」、ひいては自分の人生に向き合えておらず、常に「今の自分は本当の自分ではない」と思っていた。

旅に対する想いが強かったのは、旅そのものを愛する気持ちよりも、自由の象徴としての旅、旅人に憧れがあった。

旅をする自由な自分こそが本当の自分なのだ。

もしくは、旅をすることで本当の自分になれるのだ、と。

その想いはカオサンという職場と出会ったことで高まりこそすれ、消えることはなかった。

仲間であるスタッフ、顧客であるゲストほぼ全員が旅人という環境は、自分もその一員なのだという誇らしさと、彼らと比べて旅をしてこなかった負い目を感じさせた。

一週間程度の短期の旅行を繰り返すうち、どこかで自分は100%旅にのめり込むことはできないと冷静に知りつつも、カオサンを離れて旅に出ることを決めたのはそうした理由から。

少なくとも辞める2年前からは、半年~一年の旅を具体的な予定として考えていた。

今おもうと、この時点ではまだだいぶ「旅」というものにとらわれていたと思う。

憧れだけをモチベーションに、自分には向かないであろう旅を続けることは、自分にとっておそらく幸せなことではなかったと思う。

幸運だったのは、旅に出る前にカオサンとサーフィンに出会えたこと。

前に述べたように、カオサンで働くことで旅への想いが強まった面もあるが、4年間で数えきれないほどのバラエティに富んだ旅人と出会えたことで、以前よりも物事を柔軟に考えられるようになっていた。

例えば、働きはじめたばかりのとき、ほぼ毎日どこにも出かけず宿で時間をすごすゲストが多いのに驚いた。

今では、「沈没だね」と普通のこととして受け止めるが、そうしたことはカオサンで初めて学んだ。

もう一つの幸運は、28歳ではじめたサーフィンに夢中になれたこと。

「バックパッカー」ではなく、「サーフトリップ」を旅の主目的に切り替えたのは出発の数ヶ月前だった。

自前のサーフボードを持っていくかは、航空券を買う直前まで迷ったのを覚えている。

2013年末でカオサンを離れ、念願の旅の一カ国目にスリランカを選んだのには、はっきりした意図があった。

熱中していたとはいえ、技術も未熟だし、サーフィンだけをよりどころに海外で何ヶ月もすごせるかわからなかった。

その点、スリランカは仏教寺院をはじめ、もともと観光地としても訪れてみたい国だった。

「サーフィンに飽きたら、バックパッカーになればいい」という保険をかけたのだ。

実際にスリランカでは、3週間のサーフィン生活ののち、3週間のバックパッカー旅行をした。

はじめての比較的長い期間のバックパッカースタイルでの旅で、期待通りいくつかの素晴らしい経験をすることができた。

一方で、目的地を決め、移動手段を調べ、現地で宿を探し、次の目的地を決める、というサイクルには早い段階で飽きはじめ、やはり「旅を目的に旅を続けることはできない」という確信は強まっていった。

数日早く予定を切り上げて海に戻ったとき、想像していた以上の心地よさと満足を感じた。

ロンボクに移ってから、Facebookにこんな投稿をしていた。


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白状しますけど、もう旅に興味がなくなってしまいました。

くる日もくる日も波(とそのあとのビール)ばかりを追い求め、それ以外にここロンボクの美しいものたちを見ようとしないのです。

サーフィンで人生が豊かになったのか、貧しくなったのかわかりません。

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こう書いてはいるが、この時もう自分にとってサーフィンが旅より重要なことはわかっていた。

ただ、「それでいいんだよ」と言ってもらいたかったのだろう。

ようやく長いこととらわれてきたものから自由になれたと思う。

「好きなことをやればいい」「楽しめばいい」と素直に思えるようになった。

後日のツイッターにはこんなことを書いていた。


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好きなはずのことなのにやる気がわかなくなったら、またやりたくなるまで待つのがいい。一週間、一ヶ月、一年経ってきっとまたやりたくなる。もしやりたくならなければ、それは多分そんなに大事なことじゃない。ほんとうに好きなことは、また必ずしたくなるから。

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旅が好きという気持ちは今も変わらない。

今はそれ以上にサーフィンに熱中しているだけで、いつかきっとまた旅がしたくなる。

そうしたら旅をすればいい。

あるとき旅への情熱がしぼんだように、いつかサーフィンへの熱も冷めるかもしれない。

そうしたらサーフィンを離れればいい。

とらわれず、そのとき好きなことを、飽きるまで楽しめばいい。

旅をして、旅にとらわれてみて、学んだこと。

これから旅をしてみたいと思っている人にアドバイスができるとしたら、こう伝えたい。

「ぜひ旅以外にもうひとつ好きなことを大事にしながら旅をしてみてください」


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