田原総一朗著、ポプラ新書、2014年2月15日発行です。
(続編で、『私が伝えたい日本現代史1960-2014』もあり。)
とても読みやすい本でした。
これまであまり読んだことがない類の歴史本でした。
1934年生まれの著者が、各々の歴史的事件と、当時の自らの成長過程や事件の受け留め方を併記していて、TV等で著者のパーソナーティーを相応に知っていればなおのこと、その都度興味深く感じられる展開になっていました。
また、通常の歴史本の場合、根拠となる文献を注釈などで示しますが、該著は「歴史学者の○○から聴いた話では・・。」「当時の政界の裏事情に詳しい○○から直接聴いたところ、・・。」といった引用がなされていました。
歴史本としては、客観性の観点からは多少の問題はありそうですが、一方で、それがかえってとても読みやすく感じられました。オーラルヒストリーが研究手法の一手段として認知されつつあることが、よく理解できました。
何といっても、この著書の魅力は、「歴史を自分の言葉で語っている」点にあります。
著者のパーソナリティーをメディアを通してそれなりに認知しているからこその面白さもあると思います。本質論にはなりませんが。
それにしても、自分自身とは立場は異なるとはいえ、自分の言葉で歴史を語る醍醐味を改めて感じました。 これまでもさんざん試みてきましたが、今後はいっそう、自分の仕事に活かしていきたいと思いました。
個別の内容や、個々の歴史的評価の是非は、ここでは論じません。
ただ、もう一つ感心することは、著者にとっては、もしかしたらマイナス評価になりかねないことも意外に正直に書いていることです。驚きました。
大学に7年間在籍して1960年3月に卒業したこと(すぐに安保闘争)、入社試験の際に支持政党を問われて(これ自体がすごい話ですが・・)「社会党」と答えたこと、安保改定には当然のごとく反対していたが新安保の条文を読んだことが無かったこと等です。
このことへの思いが強く残っているからか、満州事変、日中戦争、太平洋戦争、独立&再軍備に加えて、安保改定&岸信介にも多くの紙面を割いていました。
マイナス面も赤裸々に告白している点には、かえって感心しましたが、このことも、もしかしたらこの著作の魅力なのかもしれませんね。
また折に触れて、読み返してみたい歴史本です。
[写真は、田原総一朗の著書『私が伝えたい日本現代史1934-1960』]
(2014.10.13撮影)