大規模修繕の調査から監理までをコンサルタントに依頼した場合の適正な費用は?
Q: 約200戸のマンションです。大規模修繕についてコンサルタントに調査から工事監理まで依頼した場合、費用はどれくらいが適正なのでしょうか?
1戸当たりいくらとかで換算するのでしょうか?
A: 工事監理の費用は、「1戸当たりいくら」で換算するものではありません。
工事監理報酬額の算定方法としては、「建築士事務所の業務報酬の算定基準」があり、そこには「直接人件費」+「経費」+「技術料」+「特別経費」の合計額としています。ただし、「直接人件費」の中にも一日当たりの費用ランク(A~F)があり、値引き等を含めて工事監理受託業者の営業方針も反映されたうえで算出されるものです。
大規模修繕工事のコンサルタンツ業務には「調査診断」「修繕計画」「修繕設計」「請負会社選定業務」「工事監理業務」などがあります。これらの業務の内容は、以下の要因によって異なります。
1)経年
建物が古くなればなるほど、コンサルタンツ業務の内容は多くなります。
例えば、築後10~15年目に行われる第1回目の大規模修繕工事と、築後20~30年目に行われる第2回目、築後30~45年目に行われる第3回目では、建物の劣化状況や範囲、調査・修繕内容は異なってきます。業務量が多くなればなるほど、コンサルタンツ業務の費用は当然多くなります。
2)建物の形状・構成要素
建物の形状や形態、構成要素などが多くなるほど、コンサルタンツ業務の内容は多くなります。
例えば、ごく単純でシンプルなデザインの建物と、1戸ごとの住戸形態が違う複雑な建物とでは、大規模修繕工事の調査・修繕設計の内容は異なってきます。また、建物を構成する仕上げ材、防水材、二次部材、建築設備の種類が多く、いろいろな構成要素で建物が作られていると、それぞれの部位、部材ごとの修繕仕様や工法も異なり、多岐にわたるようになります。
1)と同様、業務量が多くなればなるほど、コンサルタンツ業務の費用は多くなります。
3)コンサルタンツ業務の目的、内容
管理組合がコンサルタンツに依頼する業務の目的や内容によっても費用は異なります。
例えば、コンサルタンツへの依頼内容は、大規模修繕の設計・監理、鉄部塗装などの中規模修繕の設計・監理、給排水やガス・電気設備などの修繕の設計・監理、駐車場や駐輪場の増設計画策定や一団地変更の申請、屋外環境整備事業計画の策定、耐震診断と補強計画の策定、団地建物の建て替え計画の策定など、多岐にわたります。
それぞれの業務内容によって業務に要する作業量や難易度は異なります。
このようにコンサルタンツにかかる費用は作業量や難易度によって異なります。まずは経験豊富なコンサルタンツとよく話し合い、どのような作業内容を委託するかをまず明確にして、見積もりを依頼してください。
なお、お尋ねのなかにある工事監理業務には、常駐監理とスポット監理(週1~2日)などがあります。修繕設計の内容に沿って工事期間を決め、その間の現場確認業務と、事務所でのデスクワークや指示業務量から、工事監理業務の人日数を算定します。
コンサルタンツ業務は通常、若手の担当者とベテランの技術者の組み合わせで遂行されます。経験豊かなベテランか若手か、さらに技師の技術力によっても単価は異なります。
下は技術者のランクごとの1日当たりの直接人件費です。
業務報酬は、直接人件費(1.0P)に、事務所経費(1.0P)と技術料(0.5P)を合計した(2.5P×日数)で積算されます。
なお、算定基準にある「特別経費」とは、「遠隔地手当」や「特許利用」等の特別な費用のことを言います。
技師長 ・主任技師の経験5年以上のもの 51,000円
主任技師 ・技術士、又は大学卒業後18年相当の能力があるもの 45,800円
技師-A ・大学卒業後18年相当の能力があるもの 38,300円
技師-B ・大学卒業後8年相当の能力があるもの 30,300円
技師-C ・大学卒業後5年相当の能力があるもの 26,000円
技術員 ・上記各欄に相当しないもの 22,100円
調査診断から修繕計画・設計、工事監理を依頼した場合の報酬額は、概ね、工事費額の12~15%程度となります。
ご質問のように住戸数の多寡によって作業量の算定基準項目の数量に変動は出てきますが、「1戸当たりいくら」の積算方法は用いません。「1戸当たりいくら」の表現は、便宜上、先に算出した費用合計から算出しているだけのものです。