言いたいことがあったので、遅くなりましたが、忙しい中、時間を作って投稿しました。

 

 

落語家の定義は難しい。

そのことは、1年半前にこちらに書かせてもらった。要するに、主要5団体に属している(もしくは上方落語協会に認知されているが所属していない落語家)ならその地位は安定しているが、そこを出て「フリーランス」という形になると(この場合は、一般的な芸能事務所や色物を扱う演芸団体に属していても、落語家の5団体に属していない限りはフリーランスとする)、途端に定義が難しくなるのだ。

 

この時にプロの落語家とは何かということも書かせていただいた。あくまで私独自の基準でしかないのではあるが。

まあ、話がややこしくなるので、ここからは東京であることを前提に話をするが、

・プロとして活動する師匠に入門すること。

・前座修行を修了すること。

・現役の師匠について活動するか、真打に昇進していること

これが、プロの落語家としての活動の条件だと思う。

 

以上を踏まえて、これらの動画を拝見した。

 

これらについて、三遊亭はらしょうさんの主張と、それに対する私の意見を述べていこうと思う。

 

・ツイート

「三遊亭はらしょうは、三遊亭円丈の弟子として現役で活動しています。
しかし、もう引退した、或いは無断で活動していると誤解をされている方が多くいる為、仕事への影響が出ており死活問題となっています。
今後も精進して参ります。よろしくお願いいたします。」

→「三遊亭円丈の弟子として現役で活動」…引っかかる文言だが、この後散々述べることになるので今は言わないでおく。

芸人としての活動はもちろん現役であることは疑わないし、円丈師の許しを得て再開したのも知っている。それを疑うことはないので、仕事への影響が出ているのは純粋に不憫だが、「落語家」としての活動をするにあたってはいくつか解決してほしい問題がある。これからそれについて指摘していく。

 

・「これはキャンペーン。未だに破門を解かれたことを知らない人がいる」

→周知活動よりも、やはり落語家としての身分を確かなものにするための活動が必要だと思う。

破門を解かれたのは、私は知っている。でも、そのような宙ぶらりんな活動をしているから知らないか認めない人が多いのでは?

 

・ある方のコメント「復帰しているのは知ってます。円丈門下の色物弟子として復帰してるんですよね」。そのことが紛らわしいんですよ。色物として復帰したが、今は落語家だ。

→経緯はわかった。最終的には円丈門下の落語家として再スタートを切ったわけだ。だから、今の活動を落語家としての活動と認めるとしよう。しかし、後述するが、そこには問題点がある。

 

・円丈が破門にしたはずだが、当人がそれを忘れていた。結局、一度落語協会を除名になっているので、色物という形でしか門下に戻せなかった。

→ここは、さすがに同情するポイントではある。10年以上前の故人が先走ってしてしまった行動を取り消せと落語協会にも求めにくい。それは馬雀さんの措置以上に難しい。

後編の動画では馬雀さん曰く「前座なら即時除名になってもおかしくない」ということだった。それは馬雀さん(二つ目で破門)の場合との大きな違いだろう。

本当なら、例えばもう半~1年ほど追加の前座修行をして、協会に二つ目として復帰するとか寛大な措置を落語協会に求めたいところだが、それは所詮素人考えなんだろうな。

馬雀さんの言っていた「あまりに理不尽な理由で破門でそうなることについては、団体としてそれでいいのか?」という意見については全面的に同意する。その後の提案についても、さすが司法を通じて復帰しただけあって、納得できる意見だったので、動画の該当部分を見てほしい。

 

・特殊な立場なので、円丈が亡くなった以上、どこかにいくなんてことはない。二つ目という肩書もないし。

ここが私が一番納得のいかない部分だ。

確かに、円丈師は亡くなった。でも、東京では真打でない以上は(もとより、芸歴的にも、連雀亭に出演していることからも、二つ目相当なのだろう)、落語家として活動する以上は、存命の師匠につく必要がある。

だから私は、はらしょうさんは、円丈師の死から「東京で落語家として活動する者の身分を維持するための行動」を、「特殊だから」「例外だから」と言い訳して逃げていると断定する。

「二つ目でもない」という文言に至っては、身分制度で動いている東京落語界なので、「私は江戸落語家ではない」という宣言にも等しい。

フリーランスの落語家でも、東京にいる限りは、身分制度はちゃんとしてるんだよ。らむ音さんや、廃業したけどブラ坊さんも前座から二つ目になったんだよ。第一、はらしょうさんは前座の途中で破門されているので、そもそも「二つ目昇進」すらもしていない。

まあ、馬雀さんの言う名鑑掲載や連雀亭出演から、その辺はなんとなく事実上昇進が認められたものとして目をつぶるにしても(一応、その「例外」は認めておく)、「俺は二つ目じゃない」なんて、東京で落語家として活動する者のセリフではない。

 

・ブログで「はらしょうは落語家ではない」と長文で書いていた暇人がいた。これは落語家でこれは落語家でないみたいなカテゴライズしていた。その人は落語家に関する情報を発信しているが、はらしょうは発信しないと書いている。

ああいうのを書く奴全員、知識が浅い。書く前に俺のことを調べろ。

「あなたは落語家じゃない」…違う。俺や師匠が落語家だと言えば落語家だ。お前の浅い知識で落語界を語るな。

例外ってものがあるんだ。例外が理解できないお前の思考回路がストップしている。

古い演芸ファンによくいるんだが、当人をねじ伏せてあんたは違うという(馬雀「主観を否定する感じ」)

「例外なんや」で終わったらいいのに、足を引っ張りやがる。

すみませんね、誹謗中傷にならない記述を心がけていますが、上記が結構口汚い感じで言っているので、私もぼちぼち語気が強くなってきますよ。

そのブログが誰のブログかは知らない。もしかしたら、ウチかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。

…まあ、少なくとも私は調べてから書いたはずなんだけどね。その知識が浅いというのなら、じゃあもっと積極的に発信してくださいよ、って感じ。

まあ、それ以前に、この文言は「はぁ?」と思った。

世の中、自称すれば落語家なのか?それは、違うと思うけどな。それで名乗っていいんなら、私も明日から名乗っていいかな?主観でやっていいんなら、それでいいのか?それは違うと思うけどね。客観的に、落語家として認められるボーダーに多少違いはあっても、「自称する」は認められないと思うけどね。

そんなんガーシーとかが「東笑亭ガーシー」を自称すれば認めていいって言うのと一緒だけどね。…といってたら、はらしょうさん、ガーシーとのイベント開くんだってね。それ、悪いこといわないからやめた方がいいよ。余計、落語ファン…いやファンどころか業界内からも認められなくなるから。ぼちぼち、そういう「自称落語家」は落語家だ、と主張する方向にもっていくのなら、私も、そのほか落語ファンの何割かもあなたを落語家として認めたくなくなるけど、それでいい?

…まあ、その話はいいや。一旦ガーシーのことは忘れる。ガーシーの例は極端にしても、落語家に、弟子にしてあげると言われ、そうすれば、自動的に落語家を名乗っていいのか?まあ、立川流で言うところのCコース的な、そういう「洒落で弟子にされた人」とはらしょうさんを同一視するつもりはまったくないんだけど、じゃあ、プロの落語家であるんなら、「例外」に逃げずにちゃんと筋を通してほしいわけ。

プロの落語家としての条件がいくつかあるんなら(私が冒頭で提示した条件がすべてとは言わないが)、それをできる限り満たしてほしいし、あなたのような「例外」を認めたら…。落語家の定義が問われかねないよ。そのうち第二第三のガーシーが…って言ったら極端かもしれないけど、過去にあった司馬龍鳳問題とかそういう感じのやつは増えていくことだろう。

じゃんじゃん例外を作りまくること。これが「色々考えている」ということなんでしょうか?例外を増やしたがらない我々は思考停止してますか?

 

そのうえで、ここからははらしょうさんが言う「暇人」のブログが私のものだったと仮定したうえで、それに対するコメントを述べるので、もしはらしょうさんがこのブログを読んでいて、そのブログが私の物ではないのなら読み飛ばしてほしい。

別に私はあなたを「落語家と思ってない」からあんなブログを書いたのではなく、職業落語家としての定義は人によって多少変われどもある程度のラインというのはあると思うので、少なくとも私を含む何割かが思う「ライン」より上にいてほしいと思ってそう書いたのだ。だから、円丈師なき今、誰かしら現役の真打落語家の門下についてほしい。そうすれば少なくとも私はあなたを落語家と認める。ということなのだ。

それが無理難題だというのなら、私個人にとってあなたは「その程度」だと思う。しかし、それもあくまで私個人の意見なので、それでも受け入れられないのならそれまでであり、私は少なくともブログにまとめている「落語界の動向」に掲載しないという方針を取り続けるだけだ。別に一個人サイトである当ブログにおいてそういう措置をするだけで、活動自体を否定する、妨害する意図はないので、それだけは理解してほしい。…少なくとも、「発信しない」という意図ではない。

言っとくけど、私ははらしょうさんの活動の足を引っ張りたいのではない。はらしょうさんの活動は知っているから、大手を振って「落語家」と呼びたいからそう提案しているだけなのだ。悪いことを言っているわけでないことだけは強調しておきたい。

 

…結論から言えば、私ははらしょうさんの落語家としての活躍ぶりは認めていますが、プロの落語家としての身分があるかというと、「円丈師の喪が明けて以降は、無い状態」と考えます。(喪が明ける、というのは、師匠と死別した落語家が新しい師匠につくのがその辺のタイミングであることが多いからです)

はらしょうさん本人は、「円丈がなくなってから、普通だったら兄弟子のところに行くところを、特殊な事例なのでそういう立場にはない」と主張しています。

まあ、兄弟子のところに行くのが現代では一般的な流れです。しかし、何らかの事情で兄弟子を頼ることができない状態としましょう。

そうなった場合ですが、別に、ここ20年近くそういう例がないだけで、別に兄弟子の元じゃないとやり直せないわけじゃないです。落語協会の別の師匠の身内に直ったのならそれでいいですし、芸協や立川流に行くのもいいでしょう。…おそらく、これら2団体であれば前座修行は一からやり直しでしょうけど。

もしかしたら、円楽党なら、前座修行もほぼやりなおさずで二つ目に、でそんな間を置かずに真打に上げてもらえるかもしれないですね(全楽師という前例あり)。元々の三遊亭のよしみで、そこにいくのは一行の価値ありかもしれませんよ。…円丈師と円楽6師は仲良かったですけど、それ以外の伝手はそんな無いように見えますので、難しいかもしれませんけどね。

まあ、それぞれの師匠が属する団体に所属させてもらえずとも、既に落語界での身分が一部認められている以上、あとは「誰かしら真打の落語家の身内になること」だけだと思うので、それさえきちんとすればで、立派に活動を続けて、真打を目指せるでしょう。

是非とも頑張ってください。