はじめに

 

さて、前回、おおよその説明は済んだ。ここからは具体的に見ていきながら、どのように郡と市町を設定するか実際に見ていこうと思う。

これを47都道府県毎に1記事にしたら、相当かかることになるが、今回は説明がてら、私の地元である長崎県について説明していきたいと思う(次回からは2~3県ごとになる予定だ)。なお、前記事の通り、長崎県は道州制において全域「九州」とすることにしている。

 

大体は市町村圏ごとにまとめることにするが、市町村圏の規模そのものの統合・分割も検討する。また、現在の市町村・市町村圏・通勤圏に食い違いがある場合は、個別に対応していくものとする。

 

さて、市町村圏ごとに見ていくことにしよう。

 

長崎地区

長崎市(旧長崎市・香焼町・伊王島町・高島町・三和町・野母崎町・琴海町・外海町)、長与町、時津町、西海市大瀬戸町。

 

まず、郡の範囲について。

長崎市・長与町・時津町は文句なく今後も長崎地区として扱うのが適当だろう。

問題は大瀬戸町だ。西海市そのものが佐世保地区として扱われているうえに、大瀬戸町は丁度長崎と佐世保の中間にあり、どちらの通勤圏とも言えない状態だ。しかし、実際問題、西海市の他の町は完全に佐世保寄りだが、ここだけは確かに長崎寄りだ。ということで、大瀬戸町は長崎地区に戻す。

なお、諫早市多良見町は長崎市の20%通勤圏ということで、県央地区を外れ長崎地区として扱うことにする。

 

以上を整理すると、従来の長崎地区に加えて諫早市多良見町をもって新たな郡を設置する。

全域が旧西彼杵郡にあたるが、今回、あえて西彼杵郡の名前は使わない。なぜなら、「西彼杵半島」はほとんどが佐世保地区に入ることになっているため紛らわしく、そもそも西彼杵の「彼杵」も、元来東彼杵町の地名だからである。ここは、無難に長崎郡と名付けることにしようと思う。

 

さて、郡が決まったところで、後は市町についてだ。「長崎郡」を構成する(合併前の区分で)1市11町のうち、上の表で色がついているのは、長崎市(赤)、香焼町・伊王島町・高島町(青)である。

すなわち、この時点で残る8町はそのまま動かさずに残留と言うことになる。ただし、前回も述べた通り、市への昇格基準を変更したため、長与町・時津町は人口2.5万人以上ということで市になる。

 

先に3町の話をしたい。これらは平成の大合併前において、全国的にも特に面積の小さな自治体であった(というか全国1位・2位が高島と伊王島だった)。

香焼町は現在の長崎市においても深堀とのつながりが深いため、わざわざ残す必要もないし、伊王島も橋が繋がった今、それらとまとめても差し支えないだろう。

高島町は人口が500人を割りまくっており、こちらも容赦なく他の地区に合併させる。合併させるなら、航路が出ている長崎しかないだろう。ということで、高島は長崎市の飛地となる。伊豆諸島が東京都に属しているようなものだろう。

 

あとは長崎市だ。長崎市のうち、中心部から距離的・地理的に離れた場所を独立させていく。

現在、長崎市は大きく中央・南部・北部・東部に分かれているため、これを流用することとした。図は長崎市の公式サイトからである。

まず、南部地区にあたる土井首・深堀(加えて香焼・伊王島)をもって1市である。DID人口が1万人以上あるため「市」となるのだ。これの名前を決めるのはちょっと大変だ。ここは南長崎であることを考え、南陽市とか適当な名前を付けておくことにする。

東部地区いわゆる東長崎地区をもって東長崎市。こちらのDID人口はもっと多いうえに総人口も4万人以上なのでおなじく市だ。長崎市に東長崎市では多少紛らわしいかもしれないが、「東長崎」で通っちゃってるからなあ…。名前はこのままでもしょうがないだろう

北部地区のうち旧市すなわち三重地区はもちろん三重町だ。

この時点で残された長崎市は、人口36万、面積145㎢。今回、人口の上限を30万人と決めたため、もうすこしわけたい。ということで、茂木地区(ただし今回田上周辺は長崎市に残すことにした)を茂木町、それに西浦上・滑石地区を浦上市として分け、残りを長崎市とした。

 

以上より、長崎郡は、長崎市・浦上市・南陽市・東長崎市・長与市・時津市・茂木町・三重町・三和町・野母崎町・外海町・大瀬戸町・琴海町・多良見町の6市8町となった。

 

最初なので、詳しめに説明したが、以後、できれば端折っていければと思う。長いと読みにくいでしょ。

ただ、最初なので、必要な説明は追々入れていくので、前半の記事は少し長めになることをご容赦願いたい。

 

佐世保地区・北松地区

元々これらの地区は別々の広域市町村圏だったが、平成の大合併を経て今ではひとつの地区として扱われる。

さて、北松地区は広域市町村圏としては伊万里・北松地区として佐賀・長崎の県境を跨ぐ全国唯一の越境広域市町村圏だった。そういう特殊事情があったわけだが、県単位で地区分けするうえではこの「1.5地区」をひとつとして扱うのが具合が良いのであろう。しかし、佐賀県側の伊万里地区自体も、ぶっちゃけ佐世保地区とのつながりが深い。

そこで、今回、佐世保地区と伊万里北松地区を合併させてしまうこととした。

 

佐世保市(旧佐世保市・小佐々町・吉井町・世知原町・宇久町・江迎町・鹿町町)、西海市(大瀬戸町を除く西海町・西彼町・大島町・崎戸町)、東彼杵町、川棚町、波佐見町、佐々町、小値賀町、平戸市(旧平戸市・田平町・生月町・大島村)、松浦市(旧松浦市・鷹島町・福島町)、そして佐賀県から伊万里市、有田町(旧有田町・西有田町)。


これらの地域は、大村都市圏にあたる東彼杵町以外をぜんぶぜんぶ佐世保地区としてひとまとめにしてしまう。

これらは東彼杵郡・北松浦郡(そもそも佐世保市は上2郡の境界上に発達した都市である)、それに西彼杵郡と佐賀県西松浦郡まで含んでいる。東西彼杵郡は一部のみだが、北西松浦郡は全域を含んでいる。さて、先に言ってしまうと佐賀長崎両県にまたがる東西南北松浦郡は、南松浦郡は五島郡に改称し、東松浦郡は存続し、北・西松浦郡がひとまとめになってしまう。今回、東松浦郡に対する郡として、この佐世保地区全体を「西松浦郡」としてしまう。西松浦郡=伊万里有田という観点からすると、地元民ほど違和感が強いネーミングだとは思うが、ご容赦いただきたい。

 

佐世保郡に属する市町村は平成の大合併前の単位で4市20町1村とかなり多い。ただし、表に色がついているのは佐世保市・平戸市、松浦市、伊万里市(県外の為この表にはないが)の4市が赤字であるのみであり、21町村はそのままとなる。ちなみに、村の廃止により大島村が大島町になるだけで、市に昇格する町はない。

 

ということで、赤字になっている4市の分割だ。

・平戸市:本庁地区(平戸・中野)→平戸町、中部出張所(紐差・獅子)→紐差町、南部出張所(津吉・中津良・志々伎)→津吉町に。本庁地区は1.1万人しかいないため平戸「町」に降格。

・伊万里市:黒川・波多津→黒川町、南波多町、松浦・大川→東陵町、山代・西山代→山代町と4町を切り出し、残り(中心部と二里町)を伊万里市に。残った伊万里市も実は3万人以上がおり、結構な市街地を形成していることが見て取れる。

・松浦市:志佐・調川・今福→志佐町、御厨・星鹿→御厨町に。

・佐世保市:本庁・日宇・大野→佐世保市、早岐・宮村→早岐市、相浦・皆瀬中里・黒島→相浦市、柚木町、三川内町、江上・針尾→針尾町に。

 

さて、もう一つ問題がある。実は、長崎県には大島が2つあり、大島町と大島村だったのだが、村の廃止により2つの大島町ができることになった。ということで、これに対する対策が必要だ。

さて、大島「町」の隣には崎戸町がある。こちら、大島と陸続きになっている蛎浦島・崎戸島と離島の江島・平島からなる。江島・平島は蛎浦島・崎戸島からかなり離れており、五島に近い。ということで、これら2町を五島の有川町に編入し、それ以外と大島を合併してはどうか、という話である。既に大島と崎戸を総称する名称として常用される「大崎」町として同名回避に成功した。

 

以上より、佐世保郡は佐世保市・早岐市・相浦市・伊万里市・柚木町・三川内町・針尾町・小佐々町・佐々町・吉井町・世知原町・江迎町・鹿町町・宇久町・小値賀町・川棚町・波佐見町・西海町・西彼町・大崎町・平戸町・紐差町・津吉町・田平町・生月町・大島町・黒川町・南波多町・東陵町・山代町・有田町・西有田町・志佐町・御厨町・鷹島町・福島町の4市32町となった。

 

県央地区

諫早市(旧諫早市・森山町・飯盛町・高来町・小長井町・多良見町)、大村市、雲仙市(国見町・瑞穂町)。

 

既に話した通り、多良見町を長崎郡として手放し、逆に東彼杵町を佐世保地区より編入する。
今回、郡の名前が決めきれない。郡をいくつも跨ぐ形となり、特に諫早市と大村市が中心都市となるわけだが、それらの都市規模も変わりがないことから、どちらか一方の名称を取るのは不可能だ。したがって、私の信念から言うと、総称する地名が存在するのなら瑞祥ないし合成の形で新たに命名するしかない。

ということで、今回、大村湾、諫早湾、橘湾という3つの海に囲まれた特異な地形から「三海(ミツミ)郡」と名付けることにする。

 

さて、次は市町を分ける。平成の大合併前の区分で2市10町で、例によって大村市・諫早市が赤字で、あとは黒字だ。

ただ、大村市と諫早市も中心部が中央にあり、そこからそんなに遠くない場所に郊外部があるため、分けづらい。

しいていうのなら、諫早市は有喜地区が山を越えたやや遠い位置にあるが、有喜地区は狭小で、正直独立させるほどの規模がない。したがって、大村と諫早の分割は取りやめたいと思う。

香焼や伊王島のように極端に小さいわけでもないため、そのままとしたい。なので、変更は一切なしである。

 

したがって、三海郡は、諫早市・大村市・森山町・飯盛町・高来町・小長井町・愛野町・吾妻町・南串山町・小浜町・千々石町・東彼杵町の2市10町となった。

 

島原地区

島原市(旧島原市・有明町)、雲仙市(吾妻町・愛野町・千々石町・小浜町・南串山町)、南島原市(深江町・布津町・有家町・西有家町・北有馬町・南有馬町・口之津町・加津佐町)。

南高来郡の東側だが高来郡とする。実は「高来」は元々島原半島側の地名なんだって。高来町は北高来郡だから混乱しがちだけど、あれは歴史的には間違いということになる。

 

市町を分けるが口之津町が青字であるのみだ。そして、口之津町もそんなに小さいわけではないので、そのままだ。

 

したがって、高来郡は、島原市・瑞穂町・国見町・有明町・深江町・布津町・有家町・西有家町・北有馬町・南有馬町・口之津町・加津佐町の1市11町となった。

 

離島

五島・壱岐・対馬とあるが、正直、本土のように境界について議論することはないため、ひとまとめに扱う。しいていうなら、五島は、前述の通り崎戸町江島・平島を編入し、上下五島をひとまとめにするぐらいである。

したがって、五島郡・壱岐郡・対馬郡を設置することとする。

 

すべて平成の大合併前の基準であるが、五島郡は1市10町、壱岐郡は4町、対馬郡は6町であり、このうち五島・福江市、対馬のうち4町が赤字である。

福江は…正直分けづらい。おそらく、久賀島や椛島を優先的に分けることになると思うのだが、これら、いずれも人口が500人もおらず、分けられない。これは大村や諫早同様、分割困難と言うことでそのままにしたい。ちなみに、福江市街はDID人口が1.0万あるため、総人口2.1万ではあるが市に残留となる。

郡部だが、前述の通り、江島・平島は有川町に編入する。また、上五島町を青方町、新魚目町を魚目町に改称する。

あとは対馬4町だ。上県町は合併前の2村単位で分割すると、人口・面積ともに均等に分けられるため、仁田町・佐須奈町として分割したい。

厳原町は4町村合併だったと記憶しているが、うち旧佐須村が最も規模が大きいため、その部分を佐須町として独立させ、残りを厳原町とする。

美津島町も旧町村ごとでの分割も考慮したが、旧船越村の規模が小さかったため、分割は断念し、そのままとした。

上対馬町は正直、無理に分割しなくてもいい規模なのだが、南部の旧南陽校区(旧琴村)が、現在峰町の東部校区となっているため、この南陽地区を峰町に編入とする。残りは、比田勝と呼びならわされていることから、比田勝町と改称する。

また、同じく島名+方角となっている上五島町についても、青方町に改称とする。

 

以上より、離島3郡の市町の一覧は以下の通りである。

五島郡:福江市・富江町・玉之浦町・三井楽町・岐宿町・奈留町・若松町・奈良尾町・青方町・魚目町・有川町の1市10町。

壱岐郡:郷ノ浦町・石田町・芦辺町・勝本町の4町。

対馬郡:厳原町・佐須町・美津島町・豊玉町・峰町・仁田町・佐須奈町・比田勝町の8町。

 

さて、長崎県の分割が終わった。7郡14市83町の一覧と地図である。

こんな感じで全国やっていきます。