映画 八甲田山 | 石田紗英子 オフィシャルブログ

映画 八甲田山

奥入瀬〜八甲田を廻っている時に、
112年前に起きた
“八甲田雪中行軍遭難事件”を知る。
日露戦争に備えて、雪の八甲田山を
踏破する陸軍演習の際、
青森第五連隊210名中199名が
命を落としたというのだ。

新田次郎氏『八甲田山死の彷徨』を基に
1977年に映画化されている(『八甲田山』)。
零下20度(風も強く、実際の体感温度は
零下50度)の極寒で方位磁針は凍り、
ホワイトアウトのなか右も左もわからない。
兵士達は寝ることも食事を取ることも
ままならず、ただ身を寄せ合って
凌ぐしかなかった。
沢を登る途中に雪崩に巻き込まれたり、
発狂して裸になったりする様が
如実に描かれていて、
思わず目を伏せてしまった。

撮影は、事件と同等の気象条件の日を
選んで3年がかりで行われたそうで、
猛吹雪の中、頭や肩に積もりゆく
数十㎝の雪がリアルであった。
正にキャスト・撮影隊の渾身の一作である。

そう、一点だけリクエストさせて
いただくならば、
キャストの表情がもう少し見たかった。
雪の魔界を再現するために敢えて
暗いままにされたものと推察するが、
今のシーンは誰だったのかと巻き戻しして
確認したほどであった。

それが、なんと今4kバージョンになって
再編されているそうで、
高倉健さんや北大路欣也さんの精悍なお顔が
鮮明に映し出されているという。
是非、蘇った『八甲田山』が観たい。 


海や川の悲しい事故が報道される毎日。
自然の脅威を侮ってはいけないことを
改めて心に留めておきたい。