【ハピわく】陰陽師 by 岡野玲子 | 石ヶ森久恵のブログ

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脳全体を活用する。どのような場面、職場においても基礎力となる「ポータブル・スキル」として!

日本語で話をする上で、漢字は欠かせない要素になっています。

その欠かせない要素を良く見ると

日本語の隠れた意味が浮き上がってきます。


例えば私が意識しているのは「頑張る」

すごく良い言葉のように使われていますが、

分解すれば「頑なに張る

つまりいっぱいいっぱいの状態を頑なに行っていると言う

意味になります。


もう一つ「忙しい」

普段何気なく使っている言葉ですが

分解すれば「心を亡くす

思いやりや自分らしさを葬って行動している

状態になっていると言うことです。


言葉から受けるイメージは人それぞれでしょうが

受けたイメージに人は左右されます。

だから受けるイメージが悪い言葉は

極力使わず、色々と言い換えをするようにします。


ところで人の名前と言うのは

この世で最も短い「呪」である

と言うのは岡野玲子の陰陽師の第一巻で既に出てきます。

それ以来人の名前に対する意識が

より鋭敏になったわけですが…。


人の名前にはその両親や家族が

こういう人になってもらいたい」と言う願いが

最短の文字数で篭められています。

字画などで適当に決められている、と

主張される方もあるでしょうが

字画が決め手でも多くの文字の中から

それを選んでいる理由が必ずあるはずです。

それを自分と言う人間に最初に与えられた

定義、アファメーションと考えると

名前はおろそかにできないものだと思います。


陰陽師の最後の戦いにおいて

最も大きなポイントがやはり「名前」でした。

宿敵である秦道満、

最も扱いづらい味方である賀茂保憲、その子光栄、

お茶目ながら出世欲旺盛な藤原兼家、

清明の妻、真葛。

いずれも皆、名前に掛けられた「呪」に従って

その役割に気付き、全うしていきます。

いまだ名前と言う「呪」を与えられていなかった清明の子。

最後のキーを握っていたこの子に

過去、戯れに「ヽ」を加えた時、

清明はこの子供のもつ役割に

薄々気付いていたのかもしれません。


そして清明に最も近い親友源博雅。

清明が待ち焦がれた常世からの祝福を

雅楽の神の落とし子である博雅が与える。

メーテルリンクの青い鳥にアンカリングするような

その結末を岡野玲子は、いや原作者の夢枕獏は

第一巻の最初でイメージしていたのでしょうか?


これだけの拡散と集約を見たのは

永井豪の酒天童子以来と思いました。

陰陽師はいまだ終焉の影も見えない初期の頃、

彼女の義父、「手塚治虫」の名を冠した漫画賞の

栄えある第一回の受賞作となりました。

第一巻で提示された「名前=呪」と言うテーゼが

この13巻で完結のキーワードとなる精緻は

いまさらながら手塚治虫賞の第一回受賞作に

これ以上のものはないと思われます。


漫画と言う手法を使いながら、

気が遠くなるような文献、資料を漁り、組み立てて

それらを壮大な物語の大道具小道具に使ったこの一作は

サブカルチャーを枠を超えたんじゃないか
個人的に思っています。


気が向いた方は作者自身が書いたあとがきをご覧下さい。

シンクロの嵐です(笑)

求めよ、さらば与えられん。

そしてたった一人の作業であるように見える漫画が

いかに多くの人の脳、知識、経験、力、愛情、協力から出来上がったか

是非感じてください。


夢枕 獏, 岡野 玲子
陰陽師 13 (13)
永井 豪
闇の宴―酒天童子異聞