中学受験を予定している家庭であれば、昨年日テレで放映されていたドラマ「二月の勝者」をご存じであろうと思います。


ドラマの内容は、小6の生徒たちが志望校合格に向けて生じる様々な障害や葛藤を、スーパー塾講師黒木の指南により乗り越えて行く、中学受験活劇です。(なぜ「二月の勝者」かというと、東京都の中学入試の日が2月に集中しているため。)

 

「息子の開成中学受験を勝手に決め、成績が振るわないと怒鳴り散らす父親」

「娘の学力に合わない有名難関校の受験しか認めない、世間体重視の母親」

 

などなど、昔ながらの学歴偏重思想に過度に縛られた親の暴走をあぶり出していたり、中学受験の現場をよく取材して作られている印象でした。

 

我が家も毎回、小3息子と小1娘含めて家族で見ていました。

 

単純に私が興味があっただけでなく、息子と娘にも、中学受験とは何たるかを知ってほしかったという理由もあります。

 

我が家は2人とも小1からSAPIXに通わせています。

理由としては、首都圏の中学受験は競争が過熱気味であるため、座席を確保しておきたいというのが、大きいです。

なので、1年生の頃から受験対策をバリバリとやるつもりはなく、遊びなど他の予定があれば塾に行かないこともしょっちゅうです。

クラスが上がったとか下がったとか、周りの子との比較とか、勉強に対してそういう意識はまだ持ってほしくないと思っており、

テストを受けたときも、偏差値や順位には注目させないようにしています。

あくまでテストは、過去の自分との比較に意味があるし、今の自分のできていないところを理解するためのものだと口酸っぱく言ってきました。(2年前にも似たようなことを書いているのでご参考。7.偏差値という概念 | 共働きパパの共育論ノート (ameblo.jp)

 

しかしながら、特に息子は次小4なので、多少競争心を刺激していくこともそろそろ必要かな…と思っていました。

おそらく息子も娘も何のためにSAPIXに行っているかは理解していない。公文の延長くらいに思っていたと思います。

 

中学受験という世界があって、そのためにSAPIXに通っているんだ、という意義くらいは伝えておいても良いかな、と思い、

みんなで「二月の勝者」を見ることにした、というわけです。

 

パパとママは当然ながら真剣に見ていました。

 

娘はママに似てドラマが好きなので、集中してみていました。

 

しかし、一番中学受験本番に近い息子はというと、

 

コロコロコミックを読んでケタケタ笑いながら、ドラマは「ながら見」状態。

 

小学生男子にとっては、特に大人同士の会話のシーンなどは、意味もわからないし退屈らしい。

 

いやいや、あなたに一番見てほしかったんですけど…。

 

10月から毎週楽しみに見ていましたが、12月中旬に、ついに最終回を迎えました。

 

多くの生徒が、「個々人が本当に行きたい学校、個々人に一番合った学校に合格する!」という結末を迎える(これが、リアルな中学受験では、是非目指したいゴールかなと、思います。)一方で、

 

やはりドラマなので、「最難関の学校を目指し、見事合格」「最難関を目指したが、惜しくも不合格」というシーンも出てきます。

「最難関を目指す」というのは、やっぱりドラマチックだし、視聴者の心には刺さります。

 

ドラマにはたくさんの中学校の名前が出てきますが、ほとんどは架空の名称。

しかし、中学受験界の最難関である「開成」は実名で登場します。

 

ドラマでの、一度はいさかいを起こした「島津順」と「上杉海斗」が、ともに開成合格を目指し互いに励ましあう友情、神社でともに合格を祈願する姿は、なかなか熱くなるものがありました。

 

※画像はお借りしました。

 

 最終回を見終えて、のんびりしていると、コロコロコミック野郎の息子が急に開口。

 

 

 息子「パパ、おれ、かいせ…に行く!」

 

 

私「・・・え?なんて?」

 

 

息子「だから、おれ…」

 

 

「かいせんに行く!」

 

 

私「か、かいせん?海鮮?」

 

 

私「あぁ・・・開成のこと?」

 

 

息子「かいせい? うん。そう、かいせい。」

 

 

どうやら息子は「かいせん」と聞き間違えていたようだが、趣旨としては、開成中学に行きたいということらしい。

 

 

あのー・・・まさか、ドラマに影響されてないですか?

 

 

ながら見のくせに、どうやらちゃんと見ていたようだ。

 

 

私「いやー、まぁ、目指すことは悪いことではないけど・・・。たぶんね、とてつもなく難しいよ。パパは"お勉強"が得意な大人でしょ?でも、パパでもこれから3年頑張っても開成にはたぶん受からないよ。」

 

 

息子「ふーん、そうなんだー。」

(と言って、コロコロコミックに戻る。)

 

 

このブログでは子どもの成績については触れないことにしています。

(成績を公開すると、ブログの見栄えのために成績を上げることが目的化してしまい、自分の行動が影響を受けそうで怖いからです。それって、子どもを直視できなくなるってことじゃないかと。)

 

ですが、少なくとも現時点で言えるのは、息子は難関を目指せるような学力ではありません。


本人がやりたいなら見守りますが、最難関に合格するために子どもの尻を叩くことはしません。

親の受験でも親子の受験でもなく、子どもの受験だからです。

 

 

そして、たぶん息子は本気で「開成」と言っているわけではないと思います。

 

 

色んな中学校があって、難易度も様々で…なんてことは、おそらくドラマを見て初めて知ったことと思いますし、

 

 

何となくドラマのワンシーンから熱いものを感じて、発言したんだろうと思います。

 

 

放っておけばそのうち忘れるだろうと思っていたのですが、

 

 

学校で3学期が始まって、息子が今学期の目標を学校で書いた紙らしきものを見てみると…

 

 

「かいせいうかるためのべんきょうがんばる」

 

 

と、書いてありました…。(全部ひらがなで笑)

 

 

私「え、これって、先生に見られた?」

 

 

息子「うん。みんなで発表するんだよ。」

 

 

私「げ…、もしかしてもう発表しちゃった?」

 

 

息子「ううん。発表恥ずかしいから、おれだけやってない」

 

 

私「ほっ・・・」

 

息子は人前で発表することを極端に嫌がる性格(完全に私の血)で、一人だけ発表を免除されることが多いのだそうな。

最近はモンペ問題もあるし、先生も無理強いはしないのね。

 

 

いやー、これ、先生から絶対「親が無理に難関校狙わせてるパターン」だって思われるよね…

 

と、夫婦で苦笑いしながらも、私は自分の高校時代のことをふと思い出しました。

 

 

高2の秋、北海道へ修学旅行へ行った時のこと。

佐渡ヶ島からフェリーで新潟本土へ出向き、そこからさらにフェリーで北海道へ行きました。

 

 そこで、同級生とこんな会話をしました。


同級生「おめー、大学どーすんの?」


私「数学の先生になりてーし、大学行くわ。」

 

同級生「どこ大?」


私「うち金ねぇし新大かなー」

 ※新大=地元の国立大である新潟大学。しんだい、と呼ぶ。

 

 同級生「新大かぁ。おめー、数学結構できるし新大は低いんじゃねー?」

 

私「おー、そうかもしれん。じゃあおれ、東大にいくわ」


こんな安易な感じで、私の志望校は決まったのでした。


そして、そのままの勢いで北海道の本屋で東大の赤本を買いました。(結局センター足切りで、本番はあえなく敗戦でしたが。)


さらに思い返せば、「数学の先生になりたい」という夢も、GTOに感化された節もあったり、


※画像はお借りしました。



なんか、息子の言動が自分にそっくりだなぁー、


結局、人間って、直感とか衝動とかに突き動かされて生きてるんだなー


と、微笑ましく思ったのでした。