録音技術の発達は音楽界を大きく変えた出来事の一つだろう。
録音は良くも悪くも、一つの独立した芸術作品になっていると思う。演奏会、ないし演奏とは全く別物だ。
演奏は再現性がほぼ有り得ないものだが、(聴く人の状態が常に変化していることを考慮しないと)録音は逆に再現しかできない。
そして演奏会の生録音を除き、録音は録り直し、繋ぎなど様々な加工ができる。録音されたもの、特にCDは「その当時完成し得る最も良いと考えられたもの」を固定した形であり、一回性の強い演奏とは異なる作品性があると思う。
一昔前はきっと演奏を直で聴くことが、今より格段に機会は少なかったとしても「普通」であったと思うが、現在はあまりにも簡単に録音を聴くことができ、むしろ演奏会に行くことが特別なことになっているだろう。
昔は様々な録音に触れることも難しかっただろうし、想像もしなかっただろう。だからこそ素晴らしい音楽を求める力も大きかったのではないだろうか。さらに、作曲家が生きた時代は録音がそもそもなかった時代なのだ…
そこら中に良い録音が溢れ、手軽に聞ける現在、我々はどう録音、音楽と向き合うのか。よく一人一人が考えねばならないと思う。