大規模な噴火発生 噴煙は1500メートルに ムラピ山
今回の噴火は二〇〇六年当時より規模が大きく、政府はしばらく断続的に火砕流が発生し、火口付近の集落に流出する恐れがあるとして、山頂から半径十キロ以内に立ち入らないよう避難勧告を発令、警戒を強めている。
断続的に噴火を繰り返しているムラピ山は三十日、今回の火山活動で最大規模の噴火が発生、噴煙は高さ千五百メートル以上に達した。三十一日も噴火を繰り返すなど活発な活動が続いている。火山灰で視界が悪化し、三十日からジョクジャカルタのアディスチプト空港に離発着する航空機はソロへ回され、乗客はバスで移動するなど混乱が生じている。
三十日午前零時四十分ごろ、火口で大規模な爆発が発生、二十六日の噴火と同様、火砕流が山頂南部カリアデムのグンドル川へ三・五キロほど流出した。噴火による揺れは山頂から十二キロ付近の地点でも感じられた。三十一日も夕方までに計五回噴火し、火砕流が発生した。
火山地質災害対策局長のスロノ局長は「二十六日の噴火は、溶岩ドームが崩壊し、山頂から道筋をつくる初期段階のものだった。三十日の噴火は予測していなかったが、溶岩ドームにはまだ流出していないマグマがあることを示す。同様の噴火は今後も発生する可能性がある」と指摘した。
避難勧告が発令されている火口から十キロ以内の集落で、家畜の世話などで自宅に戻る住民は後を絶たず、危険地域を巡回している陸軍特殊部隊(コパスス)が強制的に退避させている。
スロノ局長は「山頂から十キロ以内は依然警戒する必要があるが、火砕流は十キロを超えて流出することはない」と予測。山ろくに居住している住民に対し、パニックにならないよう呼び掛けた。
降灰は、最多の二万五千人以上の避難民が出ているムラピ山南西部の中部ジャワ州マグランをはじめ、南方のジョクジャカルタ市街地、インド洋に面するジョクジャカルタ特別州バントゥル県など広範囲に及んでいる。
三十一日には、プルノモ・ユスギアントロ国防相がスレマン県の国軍兵士の救助活動を視察。避難所も訪れ、被災者に救援物資を届けた。
ユドヨノ大統領は外遊先のベトナム・ハノイで、「住民は政府が発令した避難勧告を守ってほしい」と述べ、勧告を無視して家に戻ったりする住民に注意を呼び掛けた。
ムラピ山の支援活動について「緊急支援はインドネシアが行うが、その後の支援については友好国にも協力してほしい」と呼び掛け、未曾有の被害が出た二〇〇四年末のスマトラ沖地震・津波で、インドネシア政府はアチェ・ニアス復興再建庁を通じ、国際支援の窓口や管理を行った実績があると強調した。
大統領は近日中にムラピ山を訪れ、被災者を慰問する予定。
■火砕流は時速300キロ
ジョクジャカルタ火山研究調査所(BPPTK)のスバンドリヨ代表は二十九日、「今回の噴火は、火口の中心部からほぼ水平に火砕流が噴出したため、非常に高い圧力で家屋や電柱、樹木をなぎ倒していった」と説明した。
一九九四年、九七年、二〇〇一年、〇六年に発生したムラピ山の噴火では、溶岩ドームが形成され、この溶岩の破片が崩れ落ちて川に流れ込んでいったが、今回はこのプロセスが非常に早く進展し、川だけでなく村落を直撃したと指摘。
流出した火砕流も三十三分間にわたり、最大時速三百キロの速さで降下したため、被害が広がったと分析した。
現在、火山警戒レベル四段階のうち3(シアガ)の火山は、北スラウェシ州カランゲタン山(一八二七メートル)、小噴火が起きている北マルク州のイブ山(一三四〇メートル)の二つがある。
2(ワスパダ)が発令されている のは、スンダ海峡にある活火山、アナック・クラカタウ山と、八月に噴火した北スマトラ州トバ湖北部のシナブン山(二四六〇メートル)。
アナック・クラカタウ山も断続的に噴煙を噴出しているが、火山地質災害対策局長のスロノ局長は「観光客が訪れても安全な状態」と話している。