リアルに伝わる店内プロモーション | 新時代の黒字経営術 明日からのビジネスをやりなおそう!

リアルに伝わる店内プロモーション

食欲の秋が過ぎつつあります。


これからもうすぐ日本酒の冬(うふっ)がやってきますね。


さて、今日は過ぎ行く食欲の秋にちなんで、飲食店の話をします。


飲食店といっても、豪華な日本料理ではなく、ファストフードのお話です(超庶民で、すみません。。。)


最近、仕事の場所の関係で、ランチで牛丼の松屋に入りました。

いわゆる、松屋デビュー!!


牛丼はあまり食べることが少なく、いつもはどちらかといえば朝定食で吉野家に行くことが多かった私ですが、たまたま通りすがりにあったので、勇気を出して入ってみました。


入る前までは、今、世間を騒がしている牛丼戦争の安売りの1社のイメージ。
安さを訴求しているイメージから『吉野屋以外はどうもな・・・』というのが心にありました。


入り口にある自販機でメニューを選んでいたら、一つのおしゃれな緑のマークがあるではないですか。

いつもはあまりジロジロPOPやメニューを見ない私も、このマークが気になって仕方がありません。


そのマークがこれ


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おしゃれなロゴでとてもいい感じですね。
簡単に何のマークかわかります。


このマークにはこんなフレーズが書かれています。

『体がよろこぶ自然味を』

『牛めしのタレは、化学調味料・人工甘味料・合成着色料・合成保存料を使用しておりません』


気になってホームページを見ると、こんな宣言が書かれているではないですか。

『松屋フーズでは、自然界の食品から作られたダシは身体に優しいとの観点から、化学調味料・人工甘味料・合成着色料・合成保存料を使用しないメニューの開発を推進しております。』

若い人にはあまりピンとこないかもしれないですが、中年ビジネスマンの私にとっては、リアルで具体的な内容として心に響いてきます。


40代後半の私からすれば、上記の添加物があるかないかは、生活習慣病に直結することだからであり、当然、子供への影響度も考えるからです。


しかもメニューによってこのマークがついていないものも正直に書かれており、真実味がなおさら増してきます。


これらは、簡単な覚悟では、なかなか書けない内容です。

なぜなら、ピンポイントで具体的な宣言だから、あらゆる人が裏をとればすぐに、ばれてしまうことだからです。


つまりリスクをとって公表していることがわかるから、見ている私のような一般ユーザーにも伝わってくるのでしょう。


以前はどちらかというと“安かろう、悪かろう”の松屋に対する私のネガティブなイメージが、“人にやさしい誠実な企業”というイメージに180度変わってしまいました。(まったく単純な私です。。。)


そこで“吉野家”と“すき家”の安全の取り組みをHPで見てみました。


まず“すき家”はこうです。


『「すき家」で使用している食材は、お肉も野菜もお米もトレーサビリティーを徹底して仕入れています。野菜やお米は、産地の確かなものを使用し、その栽培状況や農薬の使用記録まで確認しています。さらに専門のスタッフが定期的に現地に赴き、国より厳しい自社の基準で、肥料、飼料や農場、それら生産物の加工、流通工程まで全てチェックし、その安全性を確かなものとしています。加えて、このように入荷される食材について、残留農薬や細菌、その他の有害物質の検査を継続的に実施しています。』


このような感じで、取り組みはしっかりされています。


大きくはトレーサビリティーの徹底と有害物質の排除、食材の安全管理の徹底ということでしょうか。


これらも大変素晴らしい取り組みなのですが、消費者からすれば『それらは取り組んでいないととても不安だけど、やっていただかないと困りますよ』という事項であり、かつ、宣言の的が広すぎて、身近な事項として心に響いてはきません。


次は、私が贔屓にしてきた“吉野家”です。


『一連の報道で吉野家ディー・アンド・シーが、米国産牛肉の輸入禁止措置に対し「牛の全頭検査を批判している」「行政に向けた情報のみを発信しており、顧客の気持ちを考えていない」というようなご意見やご批判をいただくことがございました。上記を踏まえまして、私たちが考えている「安全と安心」についてご説明したいと思います。』


という“米国産牛肉に対する品質の安全性に対する説明”が主体となっているよう感じます。


吉野家にとっては、自社の味のこだわりであり、かつ、自社の強みである米国産牛肉の安全性の信用を取り戻すことは、いわゆる“生命線”となるため、この説明は企業にとっても重要なことはわかります。


ただ、私のように一般的な人は、米国産牛肉にこだわって牛丼を食べるわけではないため、生活の身近なところの視点から見ると、観点が違うような気がします。


つまり主語が相手ではなく、自社になっているのではないでしょうか。


松屋フーズの宣言の他社2社との決定的な違いは、その宣言が、 “顧客の幸せな未来”につながることが伝わっているかどうかということです。


松屋のフレーズは“健康で長生きできる自分の幸せな未来”を感じさせてくれます。


実は、このように最近のマーケティングは、(営業の場面でもそうですが) “あなたの商品を買ってもらう理由”を提供できているかどうかが、売れる条件となります。


商品の特徴”イコール“だから何”という視点が必要なのです。

つまり、その商品が、“買い手にとってどんなメリットがあるのか”という視点を、はずしてはいけないということです。

主語は、自社ではなく、相手(お客様)におかないと、商品を選んではもらえません。


松屋フーズは牛丼業界3強の一角にはありますが、ゼンショー(すき家)や吉野家ホールディングスに比べれば、まだまだ年商規模は小さいので、業界の中ではいわゆる“弱者”といえます。


“弱者”は、“強者”の盲点を突いた独自の売りを作って、ブルーオーシャンという独自の市場をつくることが経営戦略においては重要なのですが、松屋フーズのまさにそれを実践してファンを取り込んでいこうという姿勢には、強く共感できます。


松屋フーズの2011年3月期の連結売上高が702億円と13%の増収となり、純利益はなんと前年水準の倍以上の21億円を記録しました。

利益だけを見ると、吉野家ホールディングスよりもぐんと多いのです


この結果は、顧客のハートをつかんでいる報酬なのかもしれないですね。