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仏 |人の書かするおはしけり

1.書かする
 この『する』は何?
 
1-1 『書か(未然形)+する(『す』の連体形)』説
 動詞が2つ連なることが多々あります。『書く』で動詞を二つ連ねてみます。現代語で。『書き留める/書きなぐる/書き記す』。
 『書する』は、活用形がちがいますね。『書する』となるはずです。文法的に言えば、未然形『書か』ではなく連用形『書き』を使う、となるでしょうか。
 
1-3 『書く+する(助動詞)』説
 動詞でない『する』には、使役の助動詞『す』があります。活用は 
    せ||す|する|すれ|せよ
おや、サ変動詞の『す』
    せ||す|する|すれ|せよ
と連用形が違うだけやん。
 助動詞『す』は、未然形接続なので『書かする』でピッタリです。
まとめると、
 『書』は動詞、『書』は使役の助動詞
なんだ、この辺の方言と同じやん。
2.おはしけり
 『おはす』は、『あり、居り、行く、来(く)』の尊敬語だそうです。現代語の『いらっしゃいます』を考えると、確かに『有る居る行く来る』が表せます。(『行く』『来る』の用法には地域差があります。)
 
意味は、『人が書かせた仏もいらっしゃいました。』なんやけど、どこに?
答えは次の行で。

妻子|また衣着ぬ妻子などさながら内にありけり

内なのね。妻子置いて逃げたと?

良秀それも知らず
 ただ逃げ出でたる

〃 |ことに
〃 |向かひのつらに立てり

 教科書では、『知らず』で読点『、』が打たれています。この場合、『ず』は連用形です。これは、古文勉強ノート4で否定した「連用形に点を打つ」じゃん。いいんだ、連用形で点を打っても。

 というわけで、ここでは読点ではなく、句点を打ってみました。原文に句読点はありません。(反抗期かっっっwww)

 

 さて、ワカランのは、その次の行。

  『ことにして』ってなに?

1.こと

 漢字を入れてみると、事、殊、異が考えられるのですが・・・悩んだ結果、

 こと=something

でうまく理解できそうです。(現代語でも同様の『こと』の用法はあった気がしますが、例文が思いつかない程度には使われていないようです。)

 somethingが大したものという意味になる例。

    Her performance was really something.

 someoneが大した人という意味になる例。

    Gerber was determined to be someone.

 

 一人でも逃げ延びたわけだから、確かにそれはsomethingでいいのじゃなかろうか。教科書ガイドでは『幸いなこと』と訳されていますが、『こと』がいつも『幸いなこと』なのではないと思われます。

 

 つづく『して』の動詞『す』には、『みなす』という意味があります。教科書ガイドでは『幸いなこととみなして』という訳になっています。

 

 妻子のことは知らなかったので、ひとまず逃げ延びただけでも、まずは良かったと良秀は思った、ということでしょうか。

 

 教科書ガイドでは『知らず』を『気にかけずに』と訳していますが、普通に『知らずに』という意味ではだめなのでしょうか?また、『知っていたけど気にかけなかった』なのでしょうか?

 『それも知らず、』(読点をうつとして)がどこに繋がっているのか、『こと』の指す範囲はどこなのかによって、解釈が違って来ると思うのですが、そこは後ほど考えます。選択肢で突かれてきたら絶対間違えそう。 

 
 次が『見れば』となっているので、『幸いなこととみなして』というのは、決して「お、炎が観察できるぞ、ラッキー、良く見えるところに行こ!」という、『これ幸いとばかりに向かいに立って炎を見た』という意味ではないようです。