『古文勉強ノート』の企画を後悔し始めている今日この頃www、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
続けます。
焼け跡を見て、頷いて=納得して、笑いだしたところからです。カメラは良秀に。
it |「あはれしつるせうとくかな。
良秀|年ごろはわろく書きけるものかな。」
〃 |と言ふ時に
1行目は語彙力勝負?
- 『あはれ』=”ああ”
- 『しつる』=”大変な”
- 『せうとく』(しょうとく=所得)=”もうけもの”
- 『かな』(詠嘆の終助詞)= ”~だなぁ”
- 『年頃』=長年
『しつる』はウラがありそうやね。バラしてみると、
- 『し+つ+る』
- 『し+つる』
- 『しつ+る』×『しつ』という動詞は無いそうです。
の可能性があります。
- 『し』は動詞『す』(せ|し|す|する|すれ|せよ)の連用形でヤマ張り。
- 『つ』と『つる』は完了の助動詞『つ』(て|て|つ|つる|つれ|てよ)の終止形と連体形。
- うしろに『せうとく』(名詞)が来ています。
以上から、
し(『す』の連用形)+つる(『つ』の連体形)+『せうとく』(名詞)
がピッタリです。(過去・完了の助動詞は、『り』を除いて連用形接続です。)
意味は”してしまった”とかマジメに考えるとわからん。”やった”とします。『せうとく』は”もうけ”、『かな』”だぜ”。まとめて、”やったもうけだぜ”で完璧な訳だw。否定的な『しつる』は”やっちまった”とできるのかな?
『つ+る』の可能性も考慮しましょう。『る』単独で助動詞なのは、完了の『り』 (ら|り|り|る|れ|れ)があります。とすると、
し(『す』の連用形)+つ(『つ』の終止形)+る(完了の『り』の連体形)
となりますが、『り』は已然形接続(ラ変は連体形で已然形代用)だったので、終止形からは繋がりません。そもそも完了+完了とかあると?
『しつ』に関しては、『無い』と言い切れる知識を持てるはずもないので、『しつ』は動詞かもしれない、として、他にありそうなものがあれば、それを選択するということになるでしょう。
最後の『もの』は、現代語の”~したものだ”と同じ使い方なんやね。
ー |とぶらひに来たる者ども
こ |「こはいかに。
良秀|かくては立ち給へるぞ。
it |あさましきことかな。
もの|ものの憑き給へるか。」
者 |と言ひければ
ここでは、発言者の『者ども』が最初に示されました。
『こはいかに』、『かくては~』の指示語『こ(これ)』や『かく(このよう、こう)』が入ったフレーズは、精密に理解しようとせずに、言い回し全体でマルっと頭に入れておくのがいいかもしれません。指示語の『さ』とかも、おそらく。
教科書だけでもまだまだ沢山読めるので、いろいろ出てくるでしょう。
続きまして、(一つとばして)
良秀|かくては立ち給へるぞ。
もの|ものの憑き給へるか。」
に敬語表現『給ふ』が入っています。『給ふ』は、”~なさる”という”尊敬”を添える語で、補助動詞と言うらしいです。
訳してみますと・・・
- ”お立ちになっています”・・・これは普通。
- ”ものがお憑きになっています”・・・もののけ様が?お憑きになった?
『もの』憑くという動詞から逆照射して”もののけ”。で、”もののけ”がお憑きになったということで、もののけに敬意を表すこういう表現は、嫌いじゃないです。さだのおかもよくやります。え、そうじゃない?あくまで良秀さんに対する敬語?う~む。日本語って不思議。
『ものの』の『の』が微妙なニュアンスを醸し出しているのかもしれません。この『の』は古文では主語を表すと習いますが、『の』を『が』で置き換えればいいかと言うと、そうではない気がします。
続きまして、
もの|「なんでふものの憑くべきぞ。
『べき』の意味の取り方が難しいですね。『べき』=shouldでなんとなくわかる気もしますが、こういうときは『しつる』=”やった”みたいに理解すればいいのです。
”なんで、もののけが憑かなあかんの!?”
およそ完璧です。”~せなあかん”=shouldです。ホンマか?
さて、試験的には、『べき』は強い推量として”~はずだ”と意味を取って、さらに修辞疑問文扱いで、
”どうして霊が憑くはずがあろうか、いや、ない。”
と”いや、ない”を入れて、反語的に訳さないと減点くらうと思われます。
こんなんしてるからねぇ。
良秀のセリフ、まだまだ続きますが、今回はこのあたりで。
