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 全員で生き残る!と宣言するのはいいのですが、それが可能な根拠を示さねばなりません。まず、生存に必要な条件を求めましょう。

 

<水の収支~生存に必要な条件>

 宇宙基地内での水の収支を考える。

 まず、実質的に失われる水について考える。宇宙基地外へと『自然に』失われる水は存在しない。老廃物等を含むことで利用不可能になり、廃棄された水のみが、宇宙基地内から失われていく水と捉えることができる。

 次に、水の増加について考える。人は代謝にともない、体内で水を発生する。グルコースであれば、

   C6H12O6+6O2→6CO2+6H2O+686kcal 

であるから、基礎代謝およそ1500kcalとすると、一人当たり、
   6×1500/686=13mol  つまり  13×18=236g=236mL/人・日

の水を発生する。

 よって、ヒトの老廃物とともに最終的に捨てられる水の量が1日一人236mLを下回れば、宇宙基地内の水の収支はプラスとなる。言い換えると、尿を濃縮し、破棄する尿の量を1日1人236mL以下にすることが、生存に必要な条件となる。

 条件が出ました。人の1日の尿の量が1Lくらいなので、およそ4倍の濃縮です。なんとかなりそうです。4倍に濃縮してから捨てれば、水が足りるのです。希望が見えてきました。
 
 次は、濃縮と精製および回収です。
 

(続く)