私が理解したシンポジウムの意味合いとしては、スタジアムをまちなかに作ることのメリットについて、具体的なビジョンや事例を挙げて市民の理解を深めたい、というものです。
サンフレッチェ広島の球団、監督、選手、Jリーグ事務局、スポーツ庁、日本政策投資銀行、といったスタジアム建設に関わりのある方たちの話を聞きました。
まずはスポーツ庁から基調講演があり、続いて日本政策投資銀行からも基調講演がありました。スタジアム改革の今後の方向性、といったテーマです。様々な具体例や興味深いデータが示されておりました。資料については著作権の関係もあり、ここでアップしませんが、後日サンフレッチェ広島のホームページでこの様子がアップされると思います。
現在、県、市、商工会議所の3者での議論が進められています。先日は基町地区の住民への説明会が開かれました。
これまでの議論で感じるのは、ある程度の詳しいデータは示されるのですが、どれも可能性を示すものではなく、どちらかと言うと課題を列挙するものでしたので、今回のシンポジウムはそれと全く対極のアプローチで面白いと思いました。
具体的には、旧市民球場跡地と中央公園のどちらが良いといった話は一切出ていません。もちろん具体的な数値が示されるわけでもありません。ただ、まちなかスタジアムがあることのメリット、こんな可能性がある、こういったいいことがあるよ、という前向きなビジョンや、まちづくりにおいての夢または可能性を様々な事例を挙げながら市民と共有することができたと思います。スタジアム建設に向けての全くの逆のアプローチだなと感じました。
7月4日には、市議会において都市活性化対策特別委員会が開かれ、その議題の1つにサッカースタジアム建設があがっています。しっかりと中身の濃い議論ができればと思い、サンフレッチェや市民の声が聞けるのかな、とシンポジウムに参加しました。
以下、シンポジウムでの印象的な発言を書き留めておきます。いつものことですが、テープ起こしによる正確な記録ではないと言うことをお断りしておきます。
・エディオンスタジアムでもこれまで積み上げてきた経済効果は500億円ぐらいあると思うが、これは一体どこに行ってしまったのだろうか。スタジアムがまちなかにあったとすれば、しっかりお金が落ちたであろうに。
・多機能化、複合化という潮流がある。愛されるスタジアムでなければいけない。
・コアなファン以外の層へのアプローチが必要。
・スタジアムは「ホーム」スタジアムでなければならない。
・カープの成績とズムスタとまちづくりの相乗効果を考えればまちなかにスタジアムがある意味がわかる。周辺のまちづくりへの効果が大きい。ご当地らしさ溢れる地域のシンボルになってほしい。
・サッカー専用スタジアムとそうでないスタジアムでは、熱気が全然違う。選手のパフォーマンスも違ってくる。専用スタジアムにはパワーと一体感がある。エネルギーの伝わり方が違う。
・3世代で楽しめる場所を提供できれば素晴らしい。
・便利な場所であれば行きやすく帰りやすい。それはつまり足を運びやすいと言うこと。
・競技者のためのスタジアムから見る側に立ったスタジアムへ。つまり郊外から街中へ。
・座席数よりも、屋根かけやアクセスといった質が大切。
スタジアムの経済効果についてきちんと計算したデータと言うのは実はない。
・球団の経営を勝っても負けても安定させるのはフロントの責任であり、そのためには、まちなかにスタジアムがあることはメリット。
・海外ではスタジアムに足を運ぶのは教会に礼拝に行くような感覚。
・(Jリーグスタジアム建設担当者より)J1の平均観客動員数は32,000人であり、できれば30,000人規模のスタジアムは欲しいところだ。
・ヨーロッパでは小さなクラブでもラウンジなどが充実している。試合の前も後も含めて半日は楽しめるイベントになっている。ピッチと観客席が近すぎて、ウォームアップの時、数人しかできないといった不便さはあるが、それでも臨場感を大切にしている。まるで劇場みたいだ。選手が試合終了直後ラウンジに上がってきてファンと交流したりもする。
・終了後は疲れてはいるが、次の試合までは実は最も時間が離れている時でもある。ファンとの交流は、選手の社会性を鍛える。誰に支えられているかを学ぶ良い機会である。
・スタジアムはサロンでなければならない。みんなが社長、みんなが監督といった雰囲気で余韻に浸り、語り合える場所が無い。
・サンフレッチェはクラブとしての発信力はJリーグトップクラスだ。
・人が笑顔でやってくる場所。