熱情を失った時代 | さむたいむ2

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今日も元気で

 

映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』のDVDを観ました。

コロナ禍のため劇場へは行きませんでした。

昭和44年5月13日、東大駒場の900番教室に三島由紀夫を招き、およそ1000人の全共闘の学生たちとの討論会のドキュメンタリーです。かなり三島よりに編集されています。単身乗り込んだ三島の心境は頻繁に煙草をくゆらす姿でわかります。学生たちも冷静な討論を楽しんでいるかのようです。実行委員の木村修氏が思わず「三島先生」といってしまった。彼が代表となって三島に声をかけたのですが、以前から三島の作品を読み、尊敬していたからでしょう。

 

三島の挑発に乗らず学生たちは冷静でした。一応大学の教授にはない親近感があったのでしょう。

三島をぶっ飛ばすために来たと息巻いている学生を窘める芥正彦氏は立派でした。赤ちゃんの抱いてきたというのも彼は三島と友好的に話そうと態度で示したに違いない。三島も最後は「諸君の熱情だけは信じる」という言葉を残します。

 

2時間ほどの討論会を半分ほどに縮小したのは構成のためでしょう。ただそのためにあの「熱情」が薄れているのは後世に編集したためでしょう。コロナ禍にあって批判的な意見が往来しているけど、世の中を変えようとする「熱情」は失われてしまっています。ワイドショーでは毎日コロナを報道していますが、ドラマや小説ではコロナが出て来ないのは何故だろう?