TBSドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり 最終話』は三浦春馬の追悼番組か? | さむたいむ2

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TBSドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』の最終話を観ました。

本来なら8話か9話までのドラマ作であるはずが、三浦春馬の死により急遽第4話で最終となり、エンディングは三浦春馬不在のまま終わりました。

 

これはスタッフ、キャストの三浦に対する温かい思いでしょう。追悼番組とただ銘をうつより、こうした終わり方は編集するのにも苦労があったはずです。鎌倉の九鬼家の居候でありながら、突然姿をくらまし一日が過ぎて行きます。

 

これは同時に玲子(松岡茉優)がなぜ「清貧女子」となったか、この最終章で明かしています。玲子の父は生きていました。突然の展開です。母が出かけていて玲子は糠漬けを探しに台所の戸棚から、糠漬けの壺を開けたところ、なかから沢山の現金書留の封筒が出てきました。差出人が父親であることを玲子は気づきます。伊豆に住む父に会いに行こう、と思い立ちますが、電車に乗ったものの迷います。もし猿渡慶太(三浦春馬)がいたら一緒に着いてきてくれたでしょう。しかし慶太は出かけていません。それで彼のペットの猿彦を連れて行くことにしました。

 

家を出ると同僚の板垣純(北村匠海)に出会います。彼は玲子のことが気になってしかたないのです。秘かに思いを寄せていました。板垣は「節約男子」の設定です。慶太は「浪費男子」。そもそもこのドラマは「おカネ」の使い方いろいろを面白く見せるものでした。

 

玲子の父は娘の好きなものを買い与えるために必要以上の買い物をしました。そのため会社の金に手を出し公金横領の罪で逮捕されました。それは玲子がまだ幼い頃でした。しかし自分の欲しいものを何でも買ってくれた父がそのために犯罪を犯したと気づくのです。玲子の「清貧」の考え方は『方丈記』から習ったものです。本当に必要なものかどうか、またそれに見合う価値があるかどうか。彼女は幼い頃からずっとその「清貧の思想」を抱えて生きてきました。

 

このドラマは明るくコメディ・タッチで描かれています。慶太の浪費は何不自由ない社長の息子で子供の頃から「おカネ」には無頓着でした。三浦春馬はとびきり陽気に演じていました。玲子に小遣い帖をつけるようにいわれます。慶太は元々優しい性格ですが、その「やさしさ」は玲子との出会いにより一層明確になってきます。

 

慶太の不在。これが最終話全体に広がっています。夜、庭にホタルが舞っています。三浦春馬を象徴しています。そして夜が明けて朝になり玄関の戸が開きます。玲子の顔が一瞬明るくなります。しかし見る間にそれが寂しく変わって見えたのは私だけでしょうか。