浅田次郎の短編集『鉄道員(ぽっぽや)』は表題作「鉄道員」の他に「ラブ・レター」「悪魔」「角筈にて」
「伽羅」「うらぼんえ」「ろくでなしのサンタ」「オリヲン座からの招待状」と全8編からなっています。
先日DVDで映画『鉄道員』を観てふたたび私は読み返しました。映画が良く出来ていたので小説をまた読んでみたくなったのです。浅田次郎という作家はサービス精神に溢れています。これでもかという過剰な表現が時に煩わしくおもうのですが、読むほどに活字の間から映像が浮かんできます。
それは作家の書くスピードと読者の読むスピードという兼ね合いに成立するもので、その過剰さは押し付けではないのです。「ラブ・レター」「角筈にて」「うらぼんえ」にその傾向があり、「悪魔」や「伽羅」のミステリーに惹かれます。「ろくでなしのサンタ」は手慣れたもので一気に読みきってしまいます。、小説としての完成度はやはり「鉄道員」の方ですが、「オリヲン座からの招待状」はもっと詳細に描けば長編小説になるでしょう。
読者とは勝手なものでつい読み易さを優先してしまいます。