2020年4月1日、4月スタート。 | 滋賀・高島の機屋・サダ杉岡のブログ

滋賀・高島の機屋・サダ杉岡のブログ

滋賀の高島という地域で機屋をしている今年53歳の男のブログです。
仕事のこと・家族のこと・日々の日常で感じたことなどを綴っております。
大したことは書いておりませんが、それでもよろしければご覧ください。

新しい年度は、とても寒い雨の日になりました。


2月が暖かくて、3月がやや寒くて、4月がこんなに寒いのは本当に堪える。


(ちょっと寒いだけで、おじさんなので、関節などがとても痛む。)


でも新年度なのだ。


泣いても笑っても、この戦時中のような雰囲気の世の中(知らんけど)を乗り切っていかないといけないのです。


昨日


同学年で親しくさせていただいていた(つもり)の銀行の支店長さんが異動になったという驚きの報告をいただきました。


本当にびっくり。


しかしながら、わたしも50才手前、支店長さんも同年だとすると、脂が載ってくる年代(でないといけない)。


ということは、求められる場所が増える、変わる、移る、より大きなところへ行く、ということは大いにあることだし、なくてはいけないのです。


世の中の動き同様、そんなことはたくさんあるのだ、と自分に言い聞かせ、ご時世ならではの送別会ができない代わりとして、せめてわたしの拙いブログ上ではありますが、感謝申し上げます。


よねちゃん、短い間だったけどありがとう。


そんな日。


昨晩は、結局


午前3時前まで工場を稼働させました。


引き合いの多い「二重ガーゼ」の需要に応えるためには、結局、織るための時間を増やさないといけないのです。


メーターあたり、の商売ですし、そんな高いお金もいただけないわけですが、つまるところは今この生地を待っている方々が多くいらっしゃる、ということが本当に機屋としての励みになっています。


この生地はマスクになることが多いとは思います。


が、ウチの会社ですべて縫製までするわけではないので、電話でのお話をいただく一般の方や、買いに来ていただく方には申し訳ない限りですが、我が社にマスクはありません。


高島晒で下晒までする場合や、生機(きばた)で大阪や奈良や京都に送る場合など、色々あります。


とにかく、待っている方々が居られるとすれば、そのために急ぐこと、時間をかけて織ること、がわたしのできること。


ウチの社員さんも、わたしが入れない朝の時間や、留守にしている時間帯にも頑張って織って頂いています。


「この需要はいつまでも続かない。」


「そのうち終わるだろう。」


「織れる限度もあるから無理しないでも。」


そんな意見をたくさんいただきますが、「いま自分にできることをする」という思いが、わたしの今の原動力です。


それは、


所属するロータリークラブでの「社会奉仕」「職業奉仕」の考え方(職を通じて世の中に貢献することを目指す生き方)や、

若い時代にお世話になった青年会議所活動での地域貢献の考えや、


商工会青年部などでの地域活動などでの経験からそういうような考えに基づくものになります。


カッコつける必要もなく、人様が困ったときは(自分が弱ってるくせに関わらず)何かで役に立ちたい、そんなもんだと思うからです。


その証拠として・・客観的に見てもとても、この生地は、単体では儲かってるようにはとても、思えません。


皆さんに必要とされているから、わたしの会社の技術を活かして、織らせていただいております。


シンプルな織りで、しかしながら織るのに時間がかかり、とうの昔に日本で織ることを諦めた方が多い、海外から普段はやってくる安価な生地の代表格です。


原糸はインドネシア産になります。


(日本製の綿糸はあるにはありますが、ほとんど流通量が乏しいです)


コットン自体はブラジルやオーストラリア、アメリカなどの綿がミックスされているようです。



それらをタテ、ヨコに配します。


かんたんに言うと


ガーゼ生地を2枚、貼り合わせたような織り方をします。


その空間が熱を持ち、身体をふんわりとカバーします。


口に当てると少し暖かいのは、その空間の空気のせいです。慣れるとそれが気持ちよくなります。


(残念ながらこの織り方は「高島ちぢみ」とは呼べず、綿織物の中では一般的で普遍的なものです。マスク以外ではパジャマ用途やベビーなどのが多いです。)



(生地例)



ウチの会社の生地ですね。


それらの生地を織り、帰って寝て。


起きて。


8時過ぎに出社。


今日はとても、6時には起きられなかったな。子どもに一旦話しかけて、また寝たらしい。


二度寝は危険だな。


気をつけよう。


朝から、事務所で用事をしようと思ったら・・


木村織物の内藤社長が急に来られる。


領収書など渡し、今後の生地の打ち合わせをする。


(先だっての「二重ガーゼ」なのですが、木村織物さんでも織れるはずなのですが、なぜかウチや他社さんから買われている現状です)


頑張って織らないといけないのですが、他からも言われているし。


何社かある顧客のいずれも優先している状態で、悪く言えば八方美人なウチの会社の方針。


でも


必要とされている方に届けたいというだけのことなんです。


「ウチだけに売ってくれたらいいのに・・」というご意見があるのもよくわかりますが、そのことでご迷惑をおかけしないように、わたしは長い時間織ったり、台を増やしたりして対応しているわけです。


こんなご時世で、独り占めは駄目だと思います。


わたしは出来ることをするだけ。


そんなことを含めた打ち合わせをしたあと、高島晒へ向かう。


(また、散らかった商談机の上は片付かなかった・・テプラまで出したのに。時間がほしいぞ、もう。)


色々な打ち合わせをしたあと、やっぱり話題はまたマスクの件、になります。


今度はまた、テレビ局の取材だけでなく、生放送に出させていただく話も出てきまして。


(イギリスでない方のBBC、湖国の皆様おなじみのびわ湖放送さん。)



何だ、何なんだ。


困るな。


そんなことを思いつつ、12時前になってしまい、タイムアップ。


帰社。


遅ればせながら、12時過ぎから機織り。


懸案の増台計画も佳境を迎えて。


糸を増やし、接結部分を入れ。


これからは筬通し。


(おさどおし)と呼びます。


織物の規格の中で、きめ細かさを決める部分になります。


二重ガーゼの場合、ほとんどの会社さんではこの「おさどおし」を4本入れにされており、我が社でもそうしています。


筬通し。本当に気の遠くなる手順です。
  

5000本を超える糸を、一本ずつ選び、順番に4本をひとつの「おさ」に入れる作業です。


いくらネットが便利になって、いくらIT化が進んでも、この筬通しの作業は人間に分があります。


(実際は機械がする向きも出てきましたが、その機械がとても高価なので、たぶん合わないのです。)


その様子などを確認し、織機たちを一回りして。


風綿の掃除をして、機織りを続け。



・・


13時を過ぎても、会長が帰ってこないな。


ヤバいな、お腹が減った。


結果として・・


夜勤明けのわたしの身体に、今日初めての食事が与えられたのは、14時前後となりました。


電話が鳴って、事務所の方へ戻るわたし。


その横を、スーッと入っていく会長。


帰ってきた。


会長や社員さんには、12時や決まった時間帯に食事をとってもらうように工夫しているわけですが・・


わたしのことは誰も気にしてくれないのかな、と思ったらふと、悲しくなりました。


死ぬな。本当に。


(死なんけど。)


おにぎりとお蕎麦の昼食中、LINEが鳴りました。


少しお預け。


LINEに、初めて「すみませんが、ご飯を食べさせてください」と書きました。


サンプル依頼を受け、急いで佐川さんで送る。


逆に


昨日から依頼のあった分は、今日サンプルの吟味まで出来なかったので、不可。


明日以降にします、とお断りを入れました。


ごめんなさい。


デスクに就けなさすぎる。
 

届くはずの郵便もまだ来ない。



少し、気を鎮めよう。


時を戻そう。(@ぺこぱ)
 

「COFFEE WORKS PLUS」さんへ。


頭痛がマシになって、コーヒーを解禁したらしいヨメを誘って、コーヒーを飲ませていただきます。


お店は、多くの方だ。


すみません、間に入ります。


ヨメ、カプチーノ選択。


そして買って帰る豆を選ぶタイミングを逸し、マスターに任せることになる。




お願いします、マスター。


わたし、グアテマラのアイスコーヒー。


目が冷めましたですよ。


パキッと何かが鳴りましたですの。


おはようございます。


今日も頑張れそうです。




ごちそうさまでした。


豆と牛乳を買い、帰社。


ヨメの体調が戻ったら、来させていただこうと考えていた「COFFEE WORKS PLUS」さん。


来られてよかった。


休日にどこかにも連れていけないので、平日昼間にヨメとコーヒーを飲ませていただき、スミマセン。お許しください。


帰社してすぐに、高島晒へ向かう。


現場を抜けつつ。


サンプル生地をゲットするために仕上げ方向へ。




機械ってカッコイイですよね!




この風景を残すために、日本の、高島でないと出来ないものを残して、商売にしていくために。


わたしは頑張ろうと思うのです。


微力ですけど。


高島晒の事務所に戻ったところ、またマスク関連の案件が舞い込む。


マジですか?


高島市の学校の子どもたちへのマスク案件!わたしの大事な子どもたちも、よそ様の大事な子どもたちにも必要な!!


約一ヶ月前に、高島市役所某氏にお伝えした


「後で急げというてもできませんからね。」


という言葉が虚しいな。


市役所の課がたくさんあるのも知ってる。


人がたくさんおられるのも知ってる。


連携が難しい、情報の共有がしにくいのもなんとなくわかる。


でもそれ以上に、すでに伝えているマスク生産の難しさについて全く理解されてない、というのが悲しい。


イコール


市役所側の方々が、わたしたち生産者のことをないがしろにしている感じがして、悲しみを通り越して、むしろ残念。


プロセス無視、意見聞かず。


急な納期、ない予算、無茶振り。


そのいずれも


製造者、地場産業者を大事にしているまちのやることではないですよ。


ぼかぁ、馬鹿だけどそう思うな。


でも


前向きに。


できる策はあるかもしれない・・と思って、全く連絡をしてこられない縫製屋さん(銀行さんがつなぐという約束をされていた先)に電話すると、既にマスク関連でキャパが埋まっている、とのこと。


でしょうね〜。


全て遅かったか。


・・と思いつつ、諦めるわけにもいかない。


子どもたちはまちの宝なのだ。


その子どもたちを守るため、制菌抗菌加工された「高島ちぢみ」生地で彼らを覆う。


覆いたい。


覆わせてください。


やれることを考えつつ、各方面に打診しつつ、市役所の方に連絡しつつ。


よし。


見えた!!


たぶん。


帰社、事務所のことが一向に片付かない中、待ちわびた郵便が来たのを確認。


(待受ポストの奥に!ヨメ氏、見過ごしてたんちゃうんか!?と激しいツッコミ)


慌てて、その件で動き。


そして帰宅。


夕食を18時からいただきます。


挽き肉炒め、お味噌汁、にんじんシリシリ系。


ごちそうさまでした。


食事が一番楽しいです。

 
子どもたちと風呂に入り、癒やしの時間終了。


19時から、機織り再開。


今日も頑張ろう。





何時までできるかな?



信頼する社員さんに、何とか前述の「筬通し」を作業していただきました。

 
感謝です。


大変な作業、本当にスミマセン。


それでも、この糸で織りなす布が、いつか誰かの役に立つことがあるとして、頑張りましょう。


本当に中島みゆきさんの「糸」のような歌詞のことを、今わたしは考え続けて生きています。


耐えて、生きて、またその「糸」がスナックで流れるのを酔いながら聞けるその日が来るまで、頑張りましょう。


では、おやすみなさい。