今朝は冷え込んだものの、昨日とは違った、よい天気の朝となりました。
冬の朝、現場へ向かうのはつらいものですが、寒い分機場には湿気が満ち満ちており、少し織りやすくなるのが楽しみでもあります。
機屋はメーカーということで、織機という機械を使い、糸を原料にして、布生地という製品を作るのが仕事です。
おそらく100年も昔からある仕事ではありますが、今では昔から比べたら考えられないほどの高速で、能率のよい機械を使って布を製織しています。
機械の中身はデジタル化が進み、微調整なども簡単に出来るようになりました。
しかしながら、湿度の多い少ない、温度の高い低い、等に代表される環境の変化に織りやすさは大きく左右されます。
そして糸の精度、前加工の出来の良さ、機械自身の調子の良さ、それを支える日々のメンテナンスが非常に大事になってきます。
布生地のよさが、手に取らないとわからないように。
製織という行為も、実際に織らないと永遠に生地が生まれることはない、机上の読み、考察、話し合いだけではわかり得ない部分があります。
考えてみると、デジタルに見えるがアナログの行き着いた形が現在の製織なのだと言えます。どんなに進んでも、人の手と目と意思がなければなにも生まれません。
だからこそ、だいたいの部分がしんどく、難しく、奥深い反面、楽しいこともたまにあるわけだと思います。
そんな私の仕事も、今日の天気のように、いつも良いときばかりとは限りません。出来るだけつらい時を少なくし、出来るだけ良い時季を多く迎えられるように、日々の努力をちょっとずつでも重ねていけたらいいな、と考えています。
モノを作り、それを売って生業とする仕事は素敵なことだと思います。
出来れば、ずっと続けていきたいものだと願いつつ、不安定な世の中の流れの中ではそれも儚い願いなのかも知れないな、と感じる11月末の夜です。