コラム・肝臓と肝 | 治る力

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鍼灸・マッサージを生業にしている者が思うことを
綴ります。ときに前向きに、ときに後ろ向きに

解剖学や生理学の教科書に「肝臓」についての記載は

もちろんありますが、「肝」についての記載はなく、

いわゆる東洋医学の「肝」は、西洋医学の肝臓とは、

同じものではありません。

東洋医学の肝は、五行学説の中での「肝」として位置づけられ

ます。五行学説とは、自然も人間の体も、すべて5つの要素に

分けられるというもので、東洋医学にとって不可欠な考え方です。

その5つとは「木・火・土・金・水」のことで、これを五行と称します。

肝は五行では木に、五志では怒に、五色では青に相当します。

 

本来「生長」や「昇発」「発散」といった性質をもつ肝は、木々が青空に

向かって枝葉を伸ばすように「のびやか」であることを好みます。

しかしこれが「怒」によって妨げられると、その矛先が体内に向いて

しまい、様々な病気や体調不良を引き起こします。とくに消化器は
その傾向が強く、疾患名で言えば、神経性胃炎や
過敏性腸症候群などがこれに当たります。
肝の不調によって、消化器(脾)がうまく働かなくなることを、
東洋医学では肝脾不和といいます。

 

精神的なストレスによって機能が低下し、本来の働きができなくなる

ということは、東洋医学の肝であっても、西洋医学の肝臓であっても

変わりませんね。人間の体ですから、当たり前といえば当たり前です。

 

青空の下でストレスを発散しよう。