腰痛には、慢性のもの、急性のもの、慢性期の中の急性のもの
があります。
急性期から慢性期への移行期を亜急性期とする場合もあります。
急性腰痛に関しては先に述べた通り。
慢性腰痛は、整形外科的な腰痛と内臓体壁反射としての腰痛に
大別できます。
・姿勢性腰痛
良くないとされる姿勢を取り続けることで、
腰部に過剰な負担が掛かり腰痛(筋筋膜性腰痛が多い)となります。
また慢性腰痛や不良姿勢は、
急性腰痛を引き起こす要因の一つとなります。
・変形性脊椎症
加齢に伴う脊椎の退行性変化です。
上体の重さを支えきれず、より多くの筋活動を強いられ、
筋疲労となりやすく腰痛(筋筋膜性腰痛)となります。
また加齢によって椎間板が薄くなると、椎間関節に負担が掛かり
椎間関節に炎症が起き、椎間関節性の腰痛が起きます。
脊椎に骨棘ができ、それによって周辺の組織がストレスを受けても
腰痛となります。脊椎の変形は姿勢性腰痛につながります。
・腰椎分離症、すべり症、分離すべり症
変形性脊椎症が高齢者に多いのに対して、
これらは青少年に多い疾患です。
変形性脊椎症、腰椎分離症、すべり症、分離すべり症は
椎間関節性腰痛の原疾患となりえます。
解剖学上、椎間関節が受けるストレスによって、
脊髄神経の前枝が興奮することはあまりないのですが、
変形した骨棘が、神経根部に入り込んでしまうと
「下肢症状のある腰痛(腰下肢痛)」となります。
脊髄(腰)神経前肢興奮は腰部だけでなく下肢の痛みを伴います。
腰下肢痛のところでお話しますが、
「臀部外側や大腿部外側の痛み」は、椎間板ヘルニアなどによる
神経根症ではない場合が多い(とは言っても、
私は患者として、椎間板ヘルニアよる大腿外側の痛み(おそらく)を
経験しています)です。
何故かといえば、臀部外側や大腿部外側は
L3L4(大腿外側皮神経)支配で、
この部分(第3、第4腰椎体や椎間板、神経根)は力学的に
負担がかかりにくいから。つまり椎間板ヘルニアも起こりにくく、
よって神経根症も起こりにくいということで、
臀部や大腿外側部の痛みは
デルマトームに一致しない痛みとして考えます。
臀部や大腿外側部の痛みの多くは、脊髄神経前枝の興奮によるもの
(他に股関節異常、仙腸関節異常など)などです。
・骨破壊
骨癌が原発であることは稀で、他部位からの転移が大部分。
骨までに癌が転移することは、
全身的に癌があることを意味しています。
こ場合腰痛以外にも自覚症状があるのが普通です。
ここに挙げたものは、それがあるからといって
必ずしも腰痛が起きるわけではありません。