5月29日 | がんの人      by さちよ76歳

がんの人      by さちよ76歳

昨年1月に悪性リンパ腫と診断された夫との日々のつれづれ

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仲間のクリスチャンが、三々五々とおとずれて、わたしの話しを傾聴してくださる。主人のアルバム見せたり、ペンケース見せながら、時には笑ったりして話すことも多い。話しているうちに、心に溜まっている悲しみが少しずつ溶けていく感じ・・・



お花やおかずの差し入れが毎日のように届いて、料理しないでいい日が2週間も続いた。「魚久のお弁当食べたいんだけど」なんて注文出すこともある。



同じマンションで、自称便利屋さんのMIPOKOちゃんからは、「ゴミ捨てありませんか、買い物ありませんか」と、御用聞きカードが、たびたび朝刊に挟んであって笑ってしまう。



「外に出てお食事しませんか?」「神代植物園にバラ見にいきませんか」と、
声がかかることもある。この一年半あまり、外食の機会もなかったので、
久しぶりのナンカレーおいしかった。



一緒に食事したGさんが以前に送ってくださった「あなたらしい最期を生きる本」最終医療のガイドブックは、今回の在宅ホスピスケアで大いに役立った。


医師による死に方のガイドブックで、医師サイドからの実際的なアドバイスがたくさん載せられているもの。この本を読んだおかげで、
在宅医療は、患者と家族が主人公という認識をしっかり持つことができた。



主人公たる患者の意思、家族の気持ちを何より優先したいという思いが、
今回の点滴拒否・胃ろう拒否という選択につながったし、
食べられないこと飲めないことを自然のこととして受け入れることもできた。


思い返すと、この1年半、主人もわたしも、人の情けのようなものに包まれてきたような気がする。愛や、心遣いのシャワーをいっぱい浴びてきたような気がする。ホントあたたかい思い出ばかり・・・



子どもたちはもちろんとして、お医者さんや看護師さん、ケアマネさん、ヘルパーさん、妹、友人たち・・・・みんなに、不慣れな在宅介護を応援してもらった。ほんとうにありがとう!



「言うこと無し、ありがとう」と、目の前から消えた主人に

わたしも言ってあげたい、「これ以上はやれませんでした。悔いなし」と。



涙はこれからも、まだまだいっぱいこぼれ続けるかもしれないけど、
悔いなしの宣言は、きっとこれからの生きる力になるだろう。



何だか早く立ち直れそうな気がする。

                                     おわり