はじめて彼の治療を受けた日、
私は、通常の症状に加えて呼吸が苦しくなる症状がでていた。
それは、退職の記事で書いた辛い出来事がピークになっていたから。
何も言っていないのに、彼は、その症状で考えられる原因として、ストレスではないか、
と言った。私は一瞬驚いて表情が固まり、黙ってしまった。
それ以上彼は何も言わず、首元からデコルテの辺りに、治療(ハリ)をすると言った。
私はそれまでの先生には、主に脚と背中(腰や内臓関係)をやってもらっていたから、
うつ伏せが殆どだったんだけれど、呼吸の症状をはじめて訴えたものだから、
彼は、私に、仰向けでTシャツがじゃまにならないよう、手で首元のところを抑えておくよう
指示した。わたしは、いつものように目をつぶったまま、Tシャツを両手で抑えた。
彼は、『そう』と言った。(それでいいよ、という意味)
目をつぶったまま、じっとしていたその時、
私の左手の甲に、少し冷やっとした、やわらかいものが触れた。
一瞬、頭の中が??となった。
なんだろう、
ふわっとしたやわらかい感触だった。
何? と思ったけれど、私は目をつぶったままだった。
すぐハリの治療がはじまった。
その日は、家に帰ってから、そのことを考えていた。
たまたま手のひらか何かが当たっただけかな?
と思って、自分の手のひらのやわらかい部分などを試しに当ててみたりしたけれど、
なんか違う、もっとやわらかかった気がして、
自分の唇を当ててみた。
いや、そんなことないよね、、
カーテンで仕切られているとはいえ、ちょっと誰かが当たっただけで、隙間だらけだし、、
でも、、