「芸術と科学のあいだ」「生物と無生物のあいだ」福岡伸一 | よさこいの夏

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2023年12月からこちらへ引っ越しました。

Img_20220129_0002 「生命とは自己複製するシステムである」

 

地球上のすべての物は一時たりとも同じ状態を保つことなく、二重らせん構造のDNAを複製させ、動的平衡を保ちながら新しい構造を作り続け変わっていく。
生物学の面白さ、命の不思議、ミクロの原子から作り出されている人間の体がこんなに大きいのはなぜなのか、etc・・・。

科学者であり、芸術を愛する人である福岡ハカセのエッセイ。
科学的は解説はよく分からないながらも、とても魅力的な2冊です。
科学と芸術を表裏一体として捉えれば、見える世界が少し広がる気がします。

 

生命を捉えるとき、私がキーワードとしているのは「動的平衡」という概念である。たえず合成しつつ、常に分解し続ける。この危ういバランスの上にかろうじて成り立っている秩序が生命現象だ。恒常的に見えて、二度と同じ状態はない。大きく変動しないために、いつも小さく変わり続ける。動的平衡は決して新しい考え方ではない。有名な方丈記の冒頭の一文、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」を引くまでもなく、この世界観は、私たちの文化史の中に繰り返し現れている。

 

この世界に存在する原子の総量はほぼ一定である。それは文字通り、あるときは結合し、また別のときには切断され、ぐるぐると環境中を回り続けている。そしていっとき、私の身体を構成し、次の瞬間、自然の中に拡散していく。そしてまた次の何かに宿る。・・・「芸術と科学のあいだ」聖女プラクセデス

 

一枚のアートな写真をモチーフに芸術と科学を分かりやすく解き明かしていくユニークな一冊です。

ノーベル賞を受賞した何人もの科学者たちがどのようにしてその発見に辿り着いたかも解説されています。
ニューヨークの大学の研究室にこもって、ひたすらデーターを集めた自らの若き日の事、出会った科学者の人となり、
幼い頃に蝶々を追いかけて、その命の美しさに心惹かれ、科学の道を歩み始めたこと。
本物のフェルメールの絵に自分の目で直接観るために世界中の美術館に足を運ぶこと。

世界のアーティストの作品へのオマージュ。
相対性や均一性、その表現の捉え方。
それがあまりにも多岐に飛んでいることに驚かされます。
芸術を科学的に見る目。
科学を芸術的に捉える目。

 

世界の成り立ちをこういう風に見ることもできるのだ。Img_20220129_0003
私にもう少し科学を理解し得る賢さがあれば
もっともっと面白く読めるんだろうなあ。

 

これはむしろ女性よりは科学的思考ができる男性が読んだ方が面白い2冊なのかもしれない。