「私の息子はサルだった」佐野洋子 | よさこいの夏

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2023年12月からこちらへ引っ越しました。

Img_20221028_0001 家族のことを赤裸々に書き続けた佐野洋子さんのエッセイ。
「シズコさん」「今日でなくてもいい」で心配してしまったことへの一つの答えが見つかった・・・。
この本は、2010年に癌で亡くなった佐野さんの死後に見つかった原稿を一冊にまとめた本です。
息子さんの幼年期から大人になるまでのことがスポットで書かれています。
そして、最後に息子さんご本人が「あとがきのかわり」という一文を添えられています。

 

やっぱり嫌だったんだ!
息子さんは度々母のエッセイに自分が登場するのがとても嫌だった。
そこには”少しの大袈裟と嘘”が散りばめられていたから。
自分が感じている世界と
母親が感じて文章にする世界とは違っている。

 

街で突然知らないおばさんに腕をつかまれて、
「私、あなたのこと知ってるわよ。他人のような気がしないのよね」と言われた日に、
お母さんに「自分のことは書かないでくれ」と怒る。
そして、佐野さんは渋々それを受け入れ、以後は公には息子さんのことは書かなくなった。

 

でも、やっぱり佐野さんはこういうものを書き続けずにはいられなかったのだろう。
だってそれが作家のサガというものだから。
我が子のことは良くも悪くも逐一一番心に響くものであるはずだから、そりゃあ書かずにはいられないでしょう。
でも、息子さんとの約束を守って、表には出さずにひっそりと眠らせてあった。

死後、5年が経ってから出版された本。
もちろんGoサインを出したのは息子さんでしょう。
表紙の絵も息子さんの広瀬弦さん作。
実はこの広瀬弦さんもれっきとした絵本作家さんです。

「言いたいことは山ほどあるけど、もう好き勝手に書けばいい」。
最後にもう一文。
そこにペーソスとユーモアが感じられるのはやっぱり佐野さんのDNAに違いありません。
ぜひこれは実際に読んでみてください。

 

この本には息子さんへの愛がいっぱい詰まっている。
何より「子ども時代を精一杯生き抜け!」という佐野さんのメッセージが溢れている。