いわゆる「フツー」とは違った子を持つ親子と障がい者夫婦、

6組が登場するドキュメンタリー映画で、

それぞれの生き方や愛情が映し出されている。

 

原作と登場人物

原作は2012年出版のベストセラー「FAR FROM THE TREE:Parents,Children and the Search for Identity」(日本では2019年出版予定)

 

登場するのは、自閉症の少年ジャックとその両親、

44歳のダウン症者ジャックとその母でエミー賞受賞脚本家エミー、

犯罪を犯した息子トレヴァーとその両親リース夫妻と彼の弟妹、

原作本の著者で、ゲイのアンドリューと父親、

低身長症の20代女性ロイー二、

そして低身長症のリアとジョセフ夫妻。

 

内容

各々の障害や心の傷を乗り越えるまで、映像には記録されていない
たくさんの、たくさんの、苦しみや悲しみがあって、
今の安らぎに到達したであろうことが、ひしひしと伝わってくる。
 
自閉症でストレスを溜めてキレていた、息子との暮らしを
振り返る時の母エイミーの涙目は胸に迫るし、
 
ダウン症の息子ジェイソンに
「彼はとても賢いのに、単調な仕事しかさせてあげられない」
と語る母エイミー・キングスレーの悔しさに共感する。
 
若いロイー二に「あなたはとってもキュートだから、自信を持って」
と伝えたくなるし、
 
ゲイのアンドリューには「あなたはそのままで素晴らしい人よ!」
と励ましたくなる。
 
自分達の生活に満足している、低身長症のリアとジョセフ夫妻は、
見た目以外、世間一般の夫婦と何も変わらない。
 
いつの間にか、彼らの子どもを望む願いが叶って欲しいと思ったり、
子どもが生まれると、なんだか友達の事みたいに嬉しい。
この家族に幸せになってほしい、と願っている自分に気づく。
 
唯一、雰囲気が違うのは、トレヴァーの一家だ。
なぜ息子がそんな事件を起こしたのか、
自分達の育て方がよくなかったのか、
苦悩する両親。
 
両親の苦しむ姿を見て、将来子どもを持ちたくない、と
考えているトレヴァーの弟と妹。
 
それでも「息子を愛することを止められない」と語る母リサ。
 
事件は家族を苦しめるが、今は皆で前を向き、現在の彼を
そのまま受けとめている。
 
一家離散となってもおかしくない状況にも関わらず、
家族皆がまとまって乗り越えてきた忍耐強さと、深い愛情が素晴らしい。
 
これは、会ったこともない6組の家族の幸せを願って、
暖かい気持ちになれる幸せな映画だ。