Louis ⅩⅥ ;
Madame , vous avez comblé mes vœux
Vous êtes mère d’un dauphin !
Louis ⅩⅥ ;
あなたは私の、
そしてフランスの祈りをかなえてくれましたよ。
あなたは王太子の母となったのです!
これは1781年10月22日の1時15分過ぎに
Antoinetteが王子を出産した時に
夫のLouis ⅩⅥに言われたフランス語です。
その日Antoinetteはよく眠れて、
朝から少し痛みがありましたが沐浴をしました。
昼になって、そろそろかもしれないと言うことで、
Louis ⅩⅥは狩猟の予定を取りやめました。
第一子の出産のときは
大勢の人が詰めかけて
息が詰まって死にかけたので、
今回は立ち合える人を
家族と親しい女性たちの少人数に限りました。
また空気が薄くならないように
王は部屋の喚起をさせて準備しました。
よっぽど前回がひどかったのでしょうね…。
無事に出産して今度は気を失うこともなく、
夫から
こんな優しい言葉をかけてもらったのでした。
本当に待望の王子でした。
結婚から11年、
それが目的と言ってもいいほどの王子の誕生は、
どんなに感激し、またほっとしたことでしょう。
宮殿にその知らせが伝わるのもあっと言うまで、
上を下への大騒ぎだったと言います。
新生児を抱いたゲメネ公妃は
椅子に座ったまま椅子ごと運ばれて
洗礼式のために教会へ向かいました。
王は感激して涙を流したと言われています。
世界中に祝福された王子は
Louis Joseph Xavier François
ルイ・ジョセフ・グザビエ・フランソワ
と名付けられました。
Alors, nous allons étudier .
初めて出てきた表現のありますね。
Madame , vous avez comblé mes vœux
et ceux de la France .
あなたは私の、
そしてフランスの祈りをかなえました。
Madame
LouisⅩⅥが妻に呼びかけるときの呼称です。
普段、私たちは
ご婦人に声をかけるときに使いますね。
日本語にはしにくいです。
夫が妻を呼ぶ時は日本だと、
「おーい」とかになってしまいそうですね。。
vous avez comblé ~
あなたは~を満たした/叶えた
combler
(欲求などを)満たす/叶える
という動詞の過去形です。
vous avez というのが avoirのvousの活用で
それに 過去分詞 comblé
が続いていますね。
mes vœux
私の祈り
vœu 願い/誓い
の複数形
vœux 祈り
複数形が来ているので「私の~」はこの形です。
Qoui ? え?複数形って’s’が付くんじゃないの?
と思った方もいらっしゃるでしょう…。
フランス語では‘u’で終わる名詞を複数にするときは
‘x’
になるんです…。
C’est toujours comme ça.
こういうイレギュラーなことが
起こるのがフランス語です…。
et ceux de la France
そしてフランスのそれ
et ~ ~と 英語のand
ceux
これら/それら/あれら
前述の男性名詞の複数のものを指しています
この場合は mes vœux ですね。
la France フランス
国名を言っています。
フランスは女性名詞なので
laが付いています。英語のthe です。
ちなみに日本は
le Japon
と言います。
そう!男性名詞なんです。
あなたは王太子の母となったのです!
Vous êtes ~
あなたは~です
être 動詞のvousの活用ですね。
mère 母
d’~
de ~ ~の
が省略されています。
Pourquoi ?なぜ?
次の単語が母音ではじまるからですね。
un dauphin 王太子
男の子一人のことなのでunです。
フランスの王位継承者はこう言います。
Bon ,
今回初めて出てきた表現を見てみましょう。
vous avez comblé mes vœux
et ceux de la France .
あなたは私の、
そしてフランスの祈りをかなえました。
自然な日本語になるようにこんな風に訳しましたが、
直訳すると
あなたは私の祈りと
フランスのそれを満たしました。
と言う感じでしょうか。
ceux
これら/それら/あれら
前述の男性名詞の複数のものを指しています
ではほかの名詞ならどうでしょう?
celui 男性名詞
celle 女性名詞
ceux 男性複数
celles 女性複数
となります。
これを使うと、
同じ単語を繰り返して文が
野暮ったくなるのを防げます。
文法用語は、
指示代名詞
と言います。詳しく調べたい方はどうぞ。
でも今、全部を覚えてしまわないでも、
こんなのがあるのか、と思うくらいでもいいですよ。
またAntoinetteたちが言ったら復習しましょうね。
参考文献
A・フレイザー「マリー・アントワネット」ハヤカワ文庫
B;ヴァンサン「ルイ16世」 祥伝社
H . DELALEX 他 「Marie-Antoinette」 CHÉNE
森本英雄他「新・リュミエール」