Comtesse de Polignac;
Tiens, c’est monsieur le Comte de Fersen .
Est-ce que vous le connaissez , Majesté ?
Oui bien sûr . C’est une vieille connaissance !
ポリニャック伯爵夫人;
あら、あれはフェルセン伯爵ですわ。
彼をご存じですか、陛下?
マリー・アントワネット;
ええ、もちろんよ。古い知り合いですもの!
これはMarie-Antoinetteが1778年8月、
4年ぶりにフェルセン伯爵に会った時に
言ったフランス語です。
少し時間がさかのぼりますが、
長女のマリー・テレーズを妊娠中でした。
この4年前に
二人はオペラ座の仮面舞踏会で出会っています。
当時はまだ王太子妃でした。
お互い仮面をつけていたので、
身分を知らないまま話をしたようです。
そのうちにAntoinette一行の身分がばれて
ロイヤルボックスに引き上げたのですが、
その時の出会いをお互い覚えていたのでした。
フェルセン伯爵はスウェーデンの貴族で
スウェーデンの国王にも近い家柄でした。
冒頭の肖像画の人物です。
フェルセン伯爵の肖像画としては
これが有名です。
なんだかにやけた兄ちゃんに見えますが、
いろんな文献によると、
彼はとてもハンサムで
物腰も上品なナイスガイだったみたいです。
のちにAntoinetteの恋人と言われますが、
一般にはオペラ座での出会いが
一目ぼれで
瞬く間に恋に落ちたように言われています。
でも、出会いから4年も後、
2度目のこの出会いの時は
Antoinetteは初めての子を妊娠中です。
王妃となって自分の権限が
身近な人に影響することを知って
友だちを優遇したり、
知り合いの後ろ盾になったりすることに
喜びを覚えていたころです。
フェルセン伯爵も
そんな取り巻きの一人となったのですが、
気に入っていたのはその通りでしょうけど、
最初から恋していたかどうかは
実際のところ、どうでしょうね?
Alors, nous allons étudier .
Tiens, c’est monsieur le Comte de Fersen .
あら、あれはフェルセン伯爵です。
Tiens
あら/おや/ほら/あれ
ふいに何かに気が付いたときに言います。
または、うとうとしている人を軽く起こしてあげる時や
ねぇねぇ、と肘で突いたりする時に
Tiens, tiens !
と繰り返して声をかけたりします。
c’est ~
あれ/これ/それは~です
おなじみの表現ですね。
文中では「あれは~」と訳しましたが、
状況によっては
「こちらは~」とか「そちらは~」になります。
人の紹介に使えます。
Est-ce que vous le connaissez , Majesté ?
彼をご存じですか、陛下?
Est-ce que 主語・動詞?
この文が疑問文だと示しています。
以前に勉強しましたね。
vous le connaissez
あなたは彼を知っている
vous あなたは~
王妃が話し相手なので丁寧語として使っています。
le 彼を
フェルセン伯爵のことを指しています。
connaissez 知っている
connaître のvousの活用です。
Majesté 陛下
Oui bien sûr .
はい、もちろん。
これはこのまま覚えたらいいと思います。
説明することがないので…。。
C’est une vieille connaissance !
古い知り合いです!
C’est~
ここでは特に訳してません。
その方が自然な日本語かなと思ったので。
une vieille connaissance
ある古い知り合い
une 一人の/一つの
女性名詞についているのでこの形です。
(男性名詞に付くならun)
vieille 古い
これも女性名詞についているのでこの形です
(男性名詞に付くなら vieux 全く形が違いますね)
名詞の性数によって形が変わるのは以前も勉強したのですが、
覚えていましたか?
connaissance 知り合い/面識/知識
女性名詞です。
connaître 知っている
の名詞です。
Quoi?
え?
と思った方はいますか?
Attendez !
待って!
フェルセン伯爵は男性でしょ?と…。
そうです、フェルセン伯爵は男性です。
でもconnaissance
という名詞は女性名詞なんです。
この女性名詞に合わせるので
une や vieille となるんです。
違和感ありますか?
Mais c'est toujours comme ça.
でも、いつもこんな感じです…。
Bon, 今回は「~を」の言い方を勉強しましょう。
Est-ce que vous le connaissez , Majesté ?
彼をご存じですか、陛下?
と言っているところです。
以前、19.兄に久しぶりに会った時~
に勉強したことと似ています。
Je suis heureux de vous rencontrer .
あなたに会えて嬉しいです。
というのがありました。
「あなたに」と言っているところです。
どこでしょう?
~de vous rencontrer
の vous
がそうですね。
また、10.日の出を見たくて~
Ça ne me dit rien
私には興味がありません。
(それは私に何も言わない)
「私に」にあたるのは?
~me dit~
の me
です。
15.離宮をプレゼントされた時
J’ai un bouquet à vous offrir .
あなたに差し上げる花束があります。
「あなたに」は?
~à vous offrir
のvous
ですね。
このように、
目的語の「私」「あなた」「彼」は動詞の直前
に入ります。
19.10.15.の時は「~に」だったのですが、
今回は「~を」
ですけど、同じようにします。
~ vous le connaissez
のleが「彼を」となります。
Vous connaissez le Comte de Fersen
あなたはフェルセン伯爵をご存じです。
というのを「彼を」と言い換えています。
le Comte de Fersen
のle は英語のtheにあたる冠詞です。
なのでこの冠詞が残って動詞の前に入ったわけではありません。
見た目は一緒ですが、意味は違いますので注意です!
ちなみに「彼女を」となるとどうなると思いますか?
la
を使います。
Vous la connaissez .
となります。
この le la は物にも使えます。
男性名詞のものを指すなら le
女性名詞のものを指すなら la
で「それを」と言えます。
ちなみに「彼に/彼女に」という時は
違う形になるんです…!
なんだかややこしいですよね。。
Le français est toujours comme ça ...
フランス語っていつもそんな感じなんですよね…。
C’est difficile .
難しいです。
難しいところは、そのうち分かればいいので、
いまのところは
そんなのもあるんだ…
くらいに思っておいてください。
文法用語は
補語人称代名詞
と言います。
詳しく調べたい方はどうぞ。
参考文献
A・フレイザー「マリー・アントワネット」ハヤカワ文庫
B;ヴァンサン「ルイ16世」 祥伝社
H . DELALEX 他 「Marie-Antoinette」 CHÉNE
森本英雄他「新・リュミエール」