梅の掛け軸は、一番たくさんある主題。
なので、この季節2週間に1度くらい掛け替えないと、ローテーションが間に合わない。
ま、春を待つ気持ちが、梅を愛する気持ちとリンクして、多くの人に好まれたからでしょうね。
ということで、毎年出している梅に鶯の軸。
軸と言ってももともとは短冊。
7-8cm幅、縦寸3-40cmの小さな短冊を、小さな掛け軸に仕立てたもの。
柱にかけるには大きいけれど、半間の床の間にはピッタリの小軸です。
作者の中島来章は、幕末の京都画壇の有力者。
円山応瑞に師事した円山派の系譜に属し、塩川文麟、岸連山らとともに、幕末の京都画壇をリードしました。
弟子に、川端玉章や幸野楳嶺らがおり、明治以降の京都画壇形成に影響を与えました。
ネットでほかに中島来章の作品を探してみると、滋賀県立美術館に2点ほどありました。
こちらが、武陵桃源図屏風の部分。
いわゆる桃源郷が主題ですね。
この木々の形に、円山応挙以来の、独特のクセがある。
続いて、十二ヵ月図屏風。
おそらく春の、梅か。
うちの梅に鶯とは少し雰囲気が違うけど、画面の大きさが桁違いなので、そのせいなのか。はたまた年代が違うか。
いずれにしても、応挙の雰囲気を残す枝ぶりで、幕末期に少し変化した円山四条派の画風が、明治初期の幸野楳嶺らによって、竹内栖鳳に連なる画壇のスタイルを形成することになります。
春まだ浅い、梅の枝が、京都画壇の黎明を告げるようでもあり、二重の意味の春かも。
(^_^)☆