元気のでる本。


なかにし礼さん著・新潮文庫。


数年前、「てるてる家族」のタイトルで大阪の朝ドラになりました。


何年か前に読んだのですが、ヨメになってから読んだのは初めて。


「わたしたちの人生にいつも青空がありますように!」


落ち込みがちだったのですが、寝る前の数分とかを利用して楽しみました。


ページをめくっていくうちに笑いが止まらなくなったこともありました。


照子さんの人生の節目節目はいつも雨が降る。


生まれた日、お宮参りの日、初節句、入学式、卒業式、運動会、学芸会・・・。


いつでも雨。


きわめつけは結婚式。なんと米軍の爆弾の雨が降った。


「前途多難だなあ・・・。」


照子さんのご本尊はお手製のてるてる坊主だ。


軒下に掛けたとたん、ポツリ、と雨が降り出すこともあったけど。


ところが・・・。


        ☆☆☆


とても明るい戦後史なのですが、照子さんの上昇しなければ気がすまない、

その気性が大変よかったです。


夫の春男もまたとてもよい。


ぼんやりしているようですが、要所要所、目を見張る役割を果たしはります。


この二人の化学反応プラスイースト菌で四人の娘たちのうち上の二人、

春子と夏子があっと驚く「上昇」を成し遂げます。


魂の錬金術の話などとてもよかったです。


スポーツのこと、今の「下流志向」の若者に聞かせてさしあげて!って感じです。

(今週のカンゴロンゴはずばりテーマがそうでした)


昔の人は金を作ろう作ろうと研究や実験を重ねた結果、

金はついに作れなかったけど、さまざまな副産物をもたらしました。


スポーツなどにおいても同じこと。


最初と最後の語り手が四女冬ちゃんというのも良い(朝ドラではヒロイン役)。


三女秋ちゃんとともに照子さんにはいつもほったらかしにされています。


そして堂々と普通で平凡な人生を歩みます。


照子に憧れ、冬子に共感できるのです!


枕元において何回も読み直したい一冊です。