難儀なことに父と主人が別々のキリコなのだ。
サツマのキリコの人々に大変に面倒をかけていただろう・・・。
それでも若い衆は「つながってもろて、ありがとう」とおっしゃる。
頭が下がる。
主人をあちこち走らせたりして、主人にも迷惑をかけた。
サツマとトクガワ問題もハッキリさせたい。
トクガワの町内に住まっていながらキリコは元の町内につながっている人は、いる。
さて、父を山の上のイエへと引っ張り、横にならせることに成功。
束の間、生家の母としみじみと語り合うことができた。
うれしい時間だった。
母は片付け、掃除、アイロン掛けなどしていた。
オードブルが来るのでイエで一人留守番をしてもらっていたのだ。
だが、オードブルはまだ来ていなかった。
夕方主人が帰ってきた。
「ヨバレ」
という接待をおこなうのだ。
セッティングをする。
主人は休む暇もない。
ひざがとても痛い、と私に言っていた。
辛そうだった。
我流でテーピングを巻いていた。
茶の間にテーブルを四つ出した。
座布団と灰皿を並べ、オードブルを待つ。
しかしオードブルが来る前にお客さんが来てしまった。
おおいに慌てる。
「つきだし」を持つ手も震える。
ここのお母さんは料理が得意だ。
しかもやすくて作るのが簡単なのを得意としている。
(わたし生家の母は料理が苦痛なようだ。)
温泉卵をいただいた。
お母さんのとくいなもののひとつ。
「チェリーを乗せて出さし、○ちゃん。」
しかし私はちチェリーを買い忘れた。
オクラを刻みもするのだが、まったく忘れていた。
しかたがないのでそうめんツユをかけて出すしかなかった。
でも「おんたま」のおかげさまさまであった。
わたしの下手な酢の物だけではどうにもならなかっただろう。
下手というより手抜きだ。
われながらなんだか適当なのだ。
ココロがこもってないような気がした。
お客様は冬にウチで一緒に鍋をつついた人だ。
ものすごくシャイで、ポツポツとしかしゃべらない。
ビールを1ケース抱えて来てくださった。
手土産など、いらないのに。
手ぶらでぶらっと来てくださるのが何よりもうれしいことなのだ。
このかたは外〇地域の方だった。
ここ内〇地域までわざわざ足を運んでくださったのだ。
車なので一滴も飲むことはなく、お茶を飲んでいらした。
オードブルと刺身皿が来た。
山海の珍味の数々。
箸を持つ手がためらっているのがわかった。
目の前にこんなものすごいオードブル、最初に手をつけるなんて・・・・しんどかっただろうな・・・。
さぞ食べにくかっただろうな~。