高群逸枝さんや山頭火さんはどれだけしんどかったやろう、と思う。
たった一泊でこんなに故郷が恋しくなるとは。
なんやかんや言いながら、勤め先や、その他の世界におるのがどんなに安心で幸せなことか。つくづくそう思った。汗をダラダラ流しながら。落雷におびえながら。
「しょっぱなから雷なんて、不吉」なんてひとつも思わなかった。初・四国が猛暑&大雨でも、特にどうとも思わなかった(私は本来悪いほう悪いほうへ考えてしまうタチ)。「まあ、こんなもんやろ」と思った。奈良や京都へ繰り出すときは完璧なスケジュールを作成し、実行するが、四国ではさっぱりうまくいかない。こんなもんや、と思う訓練をしている。
お金もかかる。そして予想よりはるかに多い、コンクリの道。照り返しが苦しい。趣のある「へんろみち」が少ない・・・。でもやはり旧道はすばらしい。昔ながらの街並み。静まりかえった商店街。ちょっと五條や十津川に似ている気がした。北国人から見て冬支度対策が徹底していないのが、いかにも「南国」。山が低く、広々としていた。そこのところは口能登に似ていた(現在わたしは奥能登の嫁さん。へんろノートにこんな感想が記してあったので、たいへん驚いた)。
北国とまるで景色が異なる・・・が、いくらなんでもしんどくて、写真ひとつ撮れない暑さ。三番さんでベンチに腰掛けて、肩で息をしていた。年配の、「少人数マイクロバスお遍路さん」らしきお方に声を掛けていただいた。
「若いのに歩いていやはるの」「えらいなあ」「こないに暑いのになあ」「お若いのになあ」とさんざん褒められ、大変恐縮した。ああ、滅相もない。いくら「いけのたに」から十輪寺さんとういう普通のお寺さんを経て来たからと言って、たったの三番さん。「ありがとうございます!」と何度も頭を下げた。
お線香6本。ろうそく2本。本堂と大師堂に差し上げた。
納め札と御朱印もいただいた。