元記事→サンドバック社員 1
ある日G君がテーブルに山と積まれた紙を、右から左にゆっくりと一枚づつ置いていました。
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私はG君に声を掛けました。
「ナニやっているの?」
「あ、あの、コピーを頼まれまして、枚数が合ってるか数えているんです」
「数えるって500枚以上あるでしょ、それ全部数えるの?」
「間違えちゃいけないと思って」
「あほかーっ!コピー機に500なら500って入力すればすむでしょ!大体、一枚づつ横に置いて数えるなんて幼稚園児なの?無駄な時間使って仕事してる気になってんじゃないわよ!」
そのころ新規事業で行き詰まっていた私は、ここぞとばかりに自分のストレスをG君にぶつけました。
万事において要領の悪い彼は私の恰好のストレスのはけ口となり、事あるごとに私に暴言を吐かれるようになりました。
普通の人間だったら怒って会社を辞めるのですが、G君は会社を辞めても次に行くところが無い。
彼もそれが分かっていました。
私はそこに付け込んだのです。
何しろ経営者がイジメの首謀者ですから、社員達の感性がおかしくなるのも無理はありません。
利益を得るという共通の目的を持った社員達は、日々のストレス発散にG君というサンドバックを選んだのです。
続きます。