人事コンサルタントのブログ -394ページ目

小規模企業での評価制度の導入

 当社は、従業員数が非常に少ない小規模の企業のため、従業員の1人1人が、それぞれ違う担当業務に就いており、評価基準として同職の者との比較等が非常に難しく、実際に能力成果主義のような賃金体系を構築しようにも、人事考課の評価基準に関しては、どうにも定義付けが難しく思えます。私どものような小規模企業では、能力成果主義賃金の体系は取り入れにくいものなのでしょうか。(社員10人の会社の経営者Kさん)

  

 社員数に関係なく、人事評価制度は導入できます。社員数はあまり関係ありません。

 

 まず、評価の仕方は社員同士を比較する相対評価ではなく、一人一人の仕事振りと基準とを比較する絶対評価で行います。この基準はそれぞれ一人一人に設定します。

 

したがって、人数の少ない方がより明確に設定できます。

 

社員数が多い場合でも、一人の人が評価する人数は10人以下にして、一人一人設定します。(1次考課の場合)

 

 問題は評価の基準ですが、一つは一人一人に対して、今期何をして欲しいのか、どのような成果を出して欲しいのか、あるいはその仕事を全うしたらどうなるのか、を明確にします。

 

これが成績考課の基準です。 半年後に結果はどうであったかを評価します。

 

 もう一つは、その役割を全うするために何をするのか、どのような行動をするのかを明確にします。これが行動評価の基準です。半年後に、実際に行ったかどうかを評価します。

 

 成績考課で求める成果は、当然、賃金の多い人は多くなりますし、少ない人は少なくなるはずです。

 

しかし、達成不能や簡単すぎるも目標は意味がありませんので、現実に即したレベルに設定し、そのレベルが賃金に対して高い場合は、それを達成したらAということにします。

 

賃金と比較して低い場合は、それを達成してBまたはCという風に処遇上対応すればよいと思います。

 

いずれにしても、企業の社員数には関係なく、役割を明確にすることが大事です。

  

 また、人数が少なければ、会社の業績イコール社員の成果になりますから、賞与総原資を会社の業績に連動するようにするだけで、意識はぜんぜん違います。すぐにできますので、ぜひ導入してください。

 

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よい状況での人事制度導入

 ここ数年で、いつの間にか人数も増え(20名程度)、大卒者もいるので、今後の事業展開を考えるとそろそろ明確な人事評価・賃金設定をしていきたい。現在支給している額面をあまり崩さず、また、みんなのやる気をそぐことなく、明確なルール作りをしたい。 現在、社員の雰囲気は大変よい。

 事業も順調に成長しているため、従業員も張合い・責任感を感じている様子。 みんなの能力をみんなが賛成して評価できるシステムを構築するために、よきアドバイスがいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 

 「社員の雰囲気は大変よい。事業も順調に成長しているため、従業員も張合い・責任感を感じている様子。」 ということで、非常によい状況ですね。

 
このような状況のときに、世間で言われている「処遇で差をつける、メリハリをつける」制度は導入しない方がよいと思います。


個人ではなく、会社がよくなれば、みんながよくなる、というような仕組みがいいと思います。 社員同士取り合いするような仕組みはよくありません。

 

 まず、会社の経理内容をオープンにして、社員に会社の状況がわかるようにします。


その上で、どのような数値(売上や原価、利益)になった時には、どれくらいの賞与が支給できるのかを明確にします。


そして、社員が協力してその数字を達成すれば、それ相当の賞与が出来ということを明確にするのがよいと思います。 「賞与の総額は、会社の業績に連動する。」だから、「みんな協力して頑張ろう。」です。

 

その賞与総額は、社員の評価に応じて配分するようにします。 これはムリに差をつけるということではなく、明らかに頑張った、明らかに問題があった場合は別にして、 みなそれなりにやっていれば、それなりに配分するのがよいと思います。(賃金比例など妥当な方法で)

 

 賃金は、社員の評価ではなく、担当する仕事の価値で決めるようにするのがよいと思います。 「君の能力が○○だから、いくらだ。」というようなやり方ではなく 「君の担当する仕事は○○だから、いくらだ。」とうような決め方です。


能力でランク付け(等級決め)するのではなく、 当社で必要な仕事を書き出し、その仕事の値段を決めて、その仕事を担当する人にその金額を払う、という考えです。このようにすると、仕事が変わらなければ、賃金は変わりません。

 

能力をつけ、努力すれば、生産性が上がり会社の業績はよくなります。
そうすれば、賞与の総原資が増えます。したがって、賞与が増えます。
経営者も社員も都合のよい仕組みになります。

 

また、評価に関しては 最終成果だけでなく、プロセスも評価の対象にすることが大切です。


例えば、お米を作る場合、最後の収穫として米100俵だけを評価するのではなく 途中の「肥料をやる」「水をやる」「雑草を抜く」「害虫駆除」なども評価の対象にするということです。
 

昨今の最終成果のみを評価する「成果主義」で失敗した企業が多くあります。 期待成果と期待行動(プロセス)を明確にし、それを評価するようにするとよいと思います。

 

以上、よろしくお願いします。

 

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人事制度を社内で

 人事制度と呼べるものは全くないのですが、ホームページ には社内で人事制度を導入することが可能と書かれてあります。現状の会社のレベルや人事部門の知識レベルにもよるかと思いますが、どのような状態でも社内のみで導入することは可能なのでしょうか。(社員数60名、創業10年)

 

 現状で、評価制度等が全くない状態ということですが、そのようなことはないと思います。社員の方が50人以上もいらっしゃって、10年近くも存続しているわけですから、立派な人事の仕組みがちゃんと機能しているはずです。そうでなければ、存続していないと思います。

 
ただ、その人事の仕組みが社長さんの頭の中にあって、他の人にはわからないだけだと思います。

 

ですから、まず、社長さんの考えていらっしゃる評価の基準や賃金の決め方を見えるようにすればいいわけです。その中で、現状に合わせて微調整しながら作り上げていくのが一番いいと思います。
 

他社のマネや外部コンサルタントの言いなりになって今までと全く違った人事制度をいきなり導入しても、社内が混乱するだけで良い結果にはなりません。人事担当部門の自己満足に終わってしまうだけです。

 

社長さんの考えていることを、社長さんが自らオープンにするか、誰かがヒアリングして解き明かしていくか、あるいは、それにプラスして今までの決定方法や幹部の方の意見を聞いて推測して、現状の人事の仕組みを見えるようにすれば良いわけです。

 

その気になれば、社内で充分できますし、逆に社内の人の力がないとできないことです。

 

ただ、そうは言っても現実的には社長さんから社員がヒアリングをして、本音を聞きだすということが難しい場合がありますので、そんな場合は、私のような外部の人間がお話を聞いて作り上げていくという方法をとった方が良いと思います。

 

人事コンサルタントの活用 もご覧ください。

 

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人事制度は万能薬?

 新しい人事制度を導入すれば、「今まで悩んできた人に関するあらゆる問題が解決する」と思っている人がいる。

 

 制度を導入しただけでは何も変わらない。その後、運用をすることで徐々に効果が現れる。
また、制度を作って導入する過程で、自社の人に対する考えや仕事や成果に対する考えを明確にして訴えることで、徐々に変わっていく。

 

1.人事制度を作ろうとすることで、今まであやふやだったものが明確になる。

 
2.人事制度を導入しようと説明することで、会社の考えが浸透する。

 
3.人事制度を運用しようとすることで、管理者の教育を行う。
 

4.人事制度を運用することで、納得性や信頼性が高まり、業績向上に結びつく。

 
5.これら一連の流れがあってはじめて効果が現れる。

 

 作っただけ、導入しただけでは何も変わらない。人事担当者の自己満足で終わってしまう。

 

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人事制度改革

 2代目社長です。先代社長の時代から引きずってきたしがらみを断ち切りたいと「人事制度の改革」に取り組もうと思っています。その際、どのような点に注意すればよいでしょうか。

  

 進め方そのものは、色々な状況によりますから、ここでは言及しませんが、一番大事なことは目的を履き違えないと言うことです。

  

 人事制度の構築や導入を進めていく過程で抵抗が大きいと、その抵抗に対抗しようという気持ちがだんだん大きくなり、導入することが目的になってしまうことがあります。導入してひと安心。導入することにエネルギーを使い果たし、その後の運用まで手が回らなく、呼び名などは変わったが、結局は今までとほとんど変わらないということがあります。

 

人事制度改革を推し進めることは次のような意味があります。

 

1.人事制度を作ろうとすることで、今まであやふやだったものがになる。

 
2.人事制度を導入しようと説明することで、会社の考えが浸透する。

 
3.人事制度を運用しようとすることで、管理者の教育を行う。

 
4.人事制度を運用することで、納得性や信頼性が高まり、業績向上に結びつく。

 
5.これら一連の流れがあってはじめて、「制度改革」の効果が現れる。

  

制度の構築・導入だけでなく、しっかり運用して、「制度改革」の効果を実現させていただきたいと思います。

 

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謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。

本年もおろしくお願いいたします。


今年のローガンは、


嬉しい、楽しい、幸せ、愛している、大好き、ありがとう、ついている 、を日ごろから言う」です。

 

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やっぱり社員満足

 やっぱり社員満足が大事だ。

  

 よく「顧客満足」が大事であるといわれるが、その顧客に満足を与える側の社員が会社や仕事に不満を持っていては、顧客に満足を与えることはできない。

 

 顧客満足を実現するためには、まず社員が会社や仕事に満足していることが不可欠である。社員が会社や仕事に満足感を持ってイキイキと仕事をすることが、顧客満足につながり、業績向上に結びつくのである。

 

 例えば、金銭による「アメとムチ」で社員を煽る(あおる)ようなやり方が、社員満足につながるのだろうか。

 

その前に、社員が会社や仕事に満足している状態にすることが先決だ。

  

① 社員が自社の商品やサービスを心のそこから「いいものだ」と思っている。

 
② お客様に自社のすばらしい商品やサービスを通して満足してもらいたいと思っている。

 
③ そのような活動を通して社会に貢献したいと思っている。

 
④ お金のためだけでなく、仕事にプライドと喜びを感じながら働いている。

 
⑤ 自分も成長し、会社も成長しているとみんなが感じている。

 

以前のブログ記事「社員満足の人事制度 」 もご覧ください。

 

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ダラダラ残業

 同僚はのろのろ仕事をして、毎日1時間程残業(おしゃべり)してタイムカードを押します。私は自分の分が終わったら同僚の仕事を手伝い、終わらせて定時で帰ります。

 

なのに同僚の方が給料が多く、定時で帰る私は白い目で見られます。残業手当がない会社なので、残る人の方が社長からウケがいいのです。納得いきません。良いアドバイスをください。

 

 残業手当が出ないというのが一番の問題です。残業手当を出していないから、社員は損をして会社は得をしていると考えがちですが、サービス残業は会社にとってもマイナスです。

 

 サービス残業は管理不能時間となり、ダラダラ仕事のクセがついてしまします。そして、会社のためにサービスでやっているのだからという気持ちが出て、仕事に対する取り組み姿勢が低くなってしまうのです。

 

その気持ちが、正規の勤務時間にも影響して、日ごろからダラダラ仕事になってしまい、全体の効率が落ちてしまいます。もちろん、法的に問題があります。

 

ところが、その辺のところがわからずに、「サービス残業=タダ働き=会社が得した」と思っている経営者がまだまだ多いのが現状です。

 

 そのような現状を踏まえて考えると「あえて、その会社の風土に合うように、ダラダラ残業をして、社長に喜んでもらう。」という方法も考えられますが、あまりお勧めできません。

 

やはり、今まで通り、だめな風土に合わせずにしっかり仕事をするのがよいと思います。その上で、定時の時間内でどれくらいの仕事をしているのかがわかるような仕組みを提案する(日報などで仕事量がわかるような仕組み)などするとよいと思います。

 

仕事量がわからないから、長時間仕事をしている人(長時間会社にいる人)がよくやっていると判断してしまうわけです。

 

 提案ができないような雰囲気であれば、まず自分が帰宅するときに、自分の仕事量を上司に報告して(メモなどで)、仕事量を把握してもらうようにすると良いと思います。

 

これを習慣化すれば、他の人はどうなのかが気になり、職場全体として、一日の仕事量を把握するようになっていきます。

 

あとは、このブログ内容を上司や経営者に見てもらってください。

 

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新人事制度の導入後

 今年の4月に新人事制度を導入した会社の社長さんから、その後の状況について話を聞いた。

  

今まで明確な制度がなかったので、人事の仕組みを明確にして、

 ・ 欠勤や遅刻がほとんどなくなった。
 ・ 一部の人を除いて、仕事ぶりが目に見えてよくなった。
 ・ 会社の目標や状況について、関心を持つようになった。
 ・ 管理職や考課者が部下の仕事ぶりに関心を持つようになった。
 ・ 何よりも全体的に、職場が明るくなった。

とのことであった。

 

 社員説明会はもちろん、被考課者訓練、考課者訓練をしっかり行い導入したので、誤解もなく導入できたのとのことだ。

  

 また、これまで管理者は管理者としての意識が低く部下に関心がなかったが、人事考課をしっかりするために部下の行動に対して関心が高まり、考課者訓練で勉強したとおり、その場で「ほめる、叱る、注意する」を実践するようになった。

 

 部下も、最初は不安げなものもいたが、目標面接でしっかり話をきいて、すっきりしているようである。また、面接で色々話ができてよかったと言う社員もいるそうだ。

 

まだ、導入して7ヶ月が過ぎたところであるが、社員の意欲や雰囲気がよくなってビックリしているとのことであった。

 

 IT関係の若い社長さん(30代)で、最初はメリハリのある成果主義の人事制度を考えていたそうであるが、私のホームページを見て「社員満足の人事制度 」に共感していただき、相談を受けたわけである。

 

話を聞いていて思ったことは、「制度の内容はもちろん大事であるが、導入後の運用をいかに真剣に行うかがもっと大事なことだ」ということである。

 

せっかく良い制度を導入しても、その後の運用に関心がなく、機能していない会社もあれば、担当者が熱心ですごくうまくいっている会社もある。 

 

やはり、自社に合った運用しやすい制度を導入し、しっかり運用することが一番大事なような気がする。

 

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新賃金制度への移行

 成果主義導入をめぐる判例「ノイズ研究所事件」では、会社が賃金原資総額を減少させなかったことで合理性が認められたようですが、賃金体系を変えるにあっては、社員ごとに、「現行の月額固定給-新手当=新基本給」とし、新基本給を仮設定(あとで微調整)すれば問題ないでしょうか。

  

 仕事内容が変わらないのに、賃金制度が変わったからといって、賃金が上がったり下がったりすることは好ましいことではありません。

 

おっしゃるように移行前の所定内賃金の金額と移行後の金額が同じになるように設定することが必要です。

 
 その場合、手当などを差し引いて残った分を基本給と設定すると、確かに大きな問題は出ませんが、結局、移行前と何も変わらない(賃金の明細が変わっただけ)ことになります。もちろん、移行後の運用によって今後変わっていくので、「これでよし」ということでもよいと思います。

  

 もっと早く、新制度として機能させる場合は、手当などを差し引いて残った分をそのまま基本給とせず、基本給はあるべき姿で設定して、その差額を調整給でプラスマイナスして、移行時の賃金に合わせるという方法があります。この場合、その調整給を数年後には廃止します。

 

 例えば、新制度移行前、能力や職務価値が低いのに高賃金の人は、移行後、低い等級に格付けになり基本給が下がります。調整給を加算して一定期間保障しますが、いずれ調整給はなくなり減額になります。その逆で増額になる人も発生します。

 

 ご指摘の判例は、これらのプラスマイナスがあっても、賃金総額で減額にならず、また、調整給がはずれて賃金が下がる人に対しても、「その期間中の努力により減額にならない方法を示す」ことにより合理性を認められた判決と記憶しています。もちろん、当事者によく説明して納得してもらうことが大事です。

 
 私は、このような方法で、より早く新制度の趣旨に合うようにしていくことが必要だと思います。いつまでも、調整給をつけたままで、既得権益を残していると結局は不公平になります。

 

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