自発残業の扱い | 人事コンサルタントのブログ

自発残業の扱い

 社員が勝手に残って残業している時間についても、残業手当の対象になるのですか。また、支給しないとサービス残業(賃金不払残業)になってしまうのですか。

 

 難しい問題ですね。

 
 「労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることは明らかである」(労度時間適正把握基準)として、厚労省は使用者に労働時間の把握を求めています。

  

 したがって、「部下が自発的に居残り残業をしているのに、上司が中止命令を出さないのは、黙示の残業命令として割増賃金の対象になる」(結果説)という考え方もないわけではありませんが、判例上は、「業務上の必要性、緊急性等の事情と使用者の残業認識意思とを合わせて判断しなければならない」(客観説)となっています。

  

 吉田興業事件(1990年5月30日名古屋高裁)では、「就業開始時刻である午前八時より前に行った労働及び公団職員退庁後にしたものであっても翌日の就業開始後にすれば足りる後片付け等をした労働は、被控訴会社ないし公団の指示に基づくものと認めることはできず、控訴人の自発的な行為というべきである。」として、労働時間に含まれないと示してします。

  

 簡単に言うと、上司の指示がなく、業務の必要性がない(翌日勤務中に行えばよい)仕事を、自分勝手に行っても時間外手当の対象にならないということです。

 

 逆に、上司の指示がなくても、業務の必要性がある場合は、時間外手当の対象になると判断できます。

  

また、上記のような必要のない残業が習慣化しており、上司も黙認している場合も、時間外手当の対象になると判断されるようです。

 

 いや、難しい問題ですね。

 

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