人物評価や好き嫌いの評価 | 人事コンサルタントのブログ

人物評価や好き嫌いの評価

 考課者訓練で「人事考課は仕事上の行動や結果を評価するものであり、性格や人柄などの人物評価ではない。」と言っているが、そこがなかなか難しいらしい。

 

 いくら仕事上の行動や結果を客観的に評価すると言っても、気に入った人はよい行動ばかりが目に映り、気に入らない人は悪い行動ばかりが目に映る。
 考課者は好き嫌いで評価している自覚はなくても、結果的には、気に入った人はよいことばかりが記憶や記録に残り高い評価に、気に入らない人は悪いことばかりが記憶や記録に残り低い評価になってしまう。結局は、好き嫌いの評価と同じになってしまう。

 

 考課者の心の中までは見えないので、意識的に好き嫌いで評価している人もいれば、上記のように、無意識のうちに好き嫌いで評価している人もいるであろう。そのようなことを全くゼロにすることは不可能であろう。

ある程度は考課者の感情に左右されるものであると考えざるを得ない。その上で、考課者が好きになる被考課者はどのような人かを考えると、見えてくる。

 

 上司の仕事と部下の仕事がしっかり連鎖している組織であれば、考課者(上司)が好きになる部下は、仕事をしっかりしてくれる部下(被考課者)ということになる。仕事をしっかりしている部下というのは、すなわち客観的に見ても「よい行動をし、よい成果を出している」ということである。仮に、考課者の感情が入ったとしても、それは何ら問題ないことであり、逆にそれが正しいかったということになる。

 

 ところが、上司の仕事と部下の仕事が連鎖していない組織では、考課者(上司)が好きになる部下は、仕事をしっかりしてくれる部下(被考課者)ではなく、「組織ではなく、自分にとって都合のいい人」「ゴマをすってくれて心地よくしてくれる人」「自分に文句を言わずに服従する人」などになってしまう。逆に、上司より仕事をしっかりしている人は煙たがられ嫌いな人になってしまう。

 

 このようなことは、甘い体質の企業や公務員的組織でよく見受けられるが、人事考課を実施する前に、組織管理体制の見直しや管理者意識の向上を高めることが必要である。
それをしないで、人事考課制度だけを導入して実施すると、最悪の結果になってしまう。