遠近効果 | 人事コンサルタントのブログ

遠近効果

 「半年も前のことは覚えていない」と、人事考課実施時の直前の事実だけで評価していませんか?

 考課実施時の直前の事実は大きく見え、3か月前・5か月前の事実は小さく見えるために生ずるエラー。最近化傾向ともいう。

  

○ よくあるエラーの例
 F君は期の始め頃は毎週月曜日に遅刻をしており、最初の1か月間だけで5回もしていたが、再三の注意が功を奏してか、その後ぴたりと遅刻をしなくなった。上司の課長は、この遅刻の件について、改善しているということを考慮して今期は不問(標準点)とした。

○ 解説
 これは間違い。遅刻など行動や勤務態度の評価は、定められた期間を対象に評価するものである。いくら評価する時点で問題なくても、その期間全体を通して評価すべきである。

 ただし、評価期間の後半の事実(直近事実)で評価する場合もある。
 知識や技能などは保有能力といわれ、今日できれば明日もできるので、考課期間の「より最近の出来事」(直近事実)で判断する。

○ 例

 Fさんは考課期間の当初、報告書等に誤字脱字が多くたびたび注意をしていたが、その後、本人が漢字や専門用語の勉強を積極的に行い、考課期間の後半では誤字脱字もまったくなく、専門的な用語も理解しているようになったので、知識の評価については不問(標準点)とした。これは正解。