■ 年俸制の基本
時間的に言えば、賃金の額を一年あたりで決定する制度を年俸制と呼ぶことができます。もちろん、実際の支払は、労働基準法24条2項により最低月1回の支払が必要になりますので、年俸額を分割して毎月(ボーナス月に多く振り分けることもあります)支払うことになります。(一日あたりで額を決定する日給制、一月あたりで額を決定する月給制などと同様に考えると)
実際には、賃金額を年単位で決定するというだけでなく、年俸額が、前年度の業績の評価などに基づき、労働者と上司等の間の話し合いないし交渉によって決定されるという点が特徴といえるでしょう。
年俸制は、いわゆる成果主義賃金制度の典型であるといえます。
年俸制のもとでは、各労働者について毎年の目標を設定して、年度の終わりにその達成度を評価するなど、いわゆる「目標管理」が重要となります。
企業としては、いわゆる総額人件費管理という観点から、賃金総額が毎年上昇してゆくのを避けるために年俸制を導入しようとすることもあります。
1.年俸制の本質
① 社員と会社の収支を年間で合わせる仕組み
② 質のよい人間を時価で調達する仕組み
③ 年収を賞与化する仕組み(アップ、ダウンがある仕組み)
④ 人件費の再配分システム
2.年俸制を阻む要因
① 業績評価方法の不備 → 業績管理、目標管理の確立
② 報酬ダウンへの戸惑い → ダウンの伴わない年俸制は導入不要
③ 社内の抵抗 → 導入の仕方を考慮
3.工夫された日本型年俸制
① 導入…定着に時間をかける。現行制度と調和を図る。
② 対象…上級管理者に限定。転職市場のできあがった職種に限定。
③ 年俸…年収の一部に限定。賞与で変動。基本年俸と業績年俸と分けて運用。
④ 評価…目標管理と自己申告だけでなく、プロセス評価なども実施し本人の納得性を上げる
⑤ 格差…業績部分や賞与部分の査定幅を大きくし、基本給部分は少ない。
4.導入してよかった点
① 管理者意識が向上し、積極性が出た
② 能力主義実力主義の風土が生まれた
③ 面談を通じて、コミュニケーションがよくなった
④ 評価プロセスが明確になり、納得性が高まった
5.年俸制を導入して悪かった点
① 目先の業績面談、個別交渉に時間がかかる
② 評価の基準が決めにくい
③ 減俸が実際には難しい
④ 短期的な成果に重点をおく
⑤ 個人プレーに走る
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