少女監禁事件
「うちの家系には賭け事をやる人間は一人もいなかった」
小学校4年生が下校途中で佐藤という男に拉致されトランクに詰め込まれた
自宅に連れて帰り表階段から自分の部屋に直接少女を連れ込む
誰にも見られてない
母親は何も知らずにいた
佐藤は女の子が勝手について来たと自供してるがトランクには入れないだろう
まさかその日から10年近い年月をそこで暮らすなどと少女は考えていなかっただろう
逃げたら一家皆殺しにしてやると言われた少女は逃げるのをやめた
窓ガラスは全て黒いビニールで囲われて外が見えないようにした
少女と二人の生活はじわじわとはじまっていく
この少女は19歳まで監禁されていた
どこにも出れずに体の筋肉さえも老人のように退化してしまった
やがて大きくなって佐藤の観るテレビの番組は競馬に野球に競艇だった
佐藤は少女に競馬新聞を与えて予想をしろという
少女は言われたままに予想をしていた
しなければ殴られたりする
少女が10年間で家族がいないときに風呂に入れたのは2回だけだった
食事も2日に1回とかのものだ
佐藤は少女の下着を買えなくて万引きをした
そしてパクられたのが一貫の終わりだ
全てが白日のものとなった
佐藤の家に民生委員と婦警が入る
そこは汚物にまみれた階段で上がるのに大変だったと言う
部屋は暗くベットには毛布に包まった小さなものが動いていた
それをはがすとガリガリに痩せた少女がいた
名前を聞いたらスグに答える
家族に連絡
対面をしたのは新潟の三条警察だった
母親は初めて我が子をみて
「A子ちゃんなの?」と言う
「お母さん・・・」と少女は婦警に支えられながら母親の胸にヨロヨロとした足取りで抱かれた
10年の年月はそれほどに変えてしまったのだろう
自宅に戻った少女は競馬に夢中でテレビにかじりついていた
そして冒頭に言った言葉は母親の言葉だ
佐藤と言う奴は許せないヤローの一人だ
一人の何も罪の無い人間をそこまで追い込んだのだ
しかし逮捕された年は37歳
その部屋の片隅には少女の赤いランドセルが転がっていた